自衛隊、次期海上幕僚長就任“確実”だった山下元海将は、なぜ“潰された”のか?

Business Journal / 2019年4月22日 8時0分

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 4月15日付当サイト記事『自衛隊トップ人事で大番狂わせ?海上幕僚長就任確実視だった山下元海将、ひっそり勇退の全真相』において、自衛隊高級幹部人事の裏側を紹介した。海上幕僚長就任は確実と目されていた山下万喜元(かずき)海将が、あまりにも優秀すぎるがゆえに、部下たちから敬遠されてしまい、結果として海幕長に就任することなく勇退したのだ。

 自衛隊という組織の人事は、このように隊員たちの動きによって左右されるものなのかと、違和感を持つ向きもあるだろう。

 そもそも人事とは、そこに所属している人たちがつくるものである。だが、これを覆すのもまた、人にほかならない。

“山下元海将外し”に奔走した将補、1佐クラスの人たちの間では、次に誰を持ってくるかについてはそれぞれ腹案が異なっていたが、「山下氏の海幕長就任はNO」という点では一致していた。とはいえ、内部でそんな声は上げられない。次の海幕長を誰にするか調整している間に、万一その動きが表面化すれば、自らの立場を危うくする。そこで彼らが頼ったのが「外の人脈」だ。

 ともすれば「世間知らず」といわれる自衛官は、民間社会での人脈に明るくないと思われがちである。だが、防衛大学校卒業の幹部自衛官たちに限っては、必ずしもそうとはいえない。

 そもそも、防大には進学校卒業生が集まっている。防大の偏差値は理系59、文系68(いずれもBenesse調べ)で、理系では地方の国立大、文系では旧帝大とほぼ同ランクといわれている。

 そんな進学校出身である彼らの高校時代の同窓生には、国会議員、議員秘書、政党職員といった政治関係者をはじめ、大手新聞社や広告代理店に籍を置く人も多数いる。それに一般大学卒で入隊した幹部候補生同期入隊者を通した人脈も加えると、たとえ海自という組織の内々の決定に関しても、政治や世論を通して外から覆すことも可能だ。それは「場外乱闘」、あるいは「空中戦」と呼ばれる。

 一部の幹部自衛官グループは、出身高校の同窓人脈を駆使して、政党関係者やマスコミ、意外なところでは労働組合関係者にまで接触し、山下元海将に「名提督」「名司令官」として勇退してもらう流れを形づくっていったといわれている。つまり、空中戦によって、就任が確実視されていた山下元海将を表舞台から引きずり下ろしたのだ。

「数多くの重要ポストを歴任し、組織は山下元海将ひとりに負担を強いている。かなりお疲れのはずだ。海自には、ほかにも人材がいる」というのが、そうした場で語られた“理由”である。

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