首都直下地震と南海トラフ巨大地震、要警戒レベルに…半割れケースなら想定死者数32万人

Business Journal / 2019年5月11日 19時0分

●首都直下地震の発生確率は「30年間に70%」

 東京都民、首都圏住民を直撃するM7クラスの首都直下地震。その発生確率は「30年間に70%」と中央防災会議は推定する。M7級の地震発生で、被害想定は死者が建物倒壊などで最大約1万1000人、市街地火災で約2万3000人出ると推定。停電や交通マヒ、生産停止などで経済的被害は約95兆円にも上るとみる。

 中央防災会議によると、津波については東京湾内で津波高は1メートル以下と心配ないが、問題は首都中枢機能と超過密都市を襲う地震被害の深刻さだ。1923年の大正関東地震(関東大震災)ではM8.2級が襲ったが、M8クラスの地震発生は200~400年の間隔とみられ、当面このようなタイプの巨大地震が発生する可能性は低いとする。

 代わって押し出されてきた可能性は、M7クラス地震の複数回発生だ。新たに明らかになった課題を念頭に、政府全体の業務継続体制の構築や情報収集・集約、発信体制の強化に加え、建物の耐震化や火災対策などを訴える。

 東日本大震災の教訓を生かした防災対策は、これからが真価を問われる。福島県が3月に公表した津波の浸水想定区域図は、最悪の事態を前提とし、浸水域は震災時より3割も拡大した。「想定外の事態」を二度と起こさないための最新のリスク情報だ。独自の想定でハザードマップを作成していた自治体は見直しを求められる。

 今後の課題は、最悪リスク情報の周知徹底に加え、市民の防災意識の向上だ。東京23区は海抜ゼロメートル地帯が広がる東部をはじめ、災害後に被災者が避難生活を送る指定避難所の5割が浸水想定区域にある。

 昨年7月の西日本豪雨で河川が決壊した岡山県倉敷市真備町では、決壊時に想定される浸水域を示した市の洪水ハザードが実際の浸水域とほぼ重なった。だが、51人の死亡者を出した。のちの市民への聞き取り調査で「マップを見たことがある」との回答は約3割にとどまり、市民の大半はマップを知らなかった。

 行政は防災対策のレベルを引き上げ、住民は自然の暴走に一層慎重に備える必要がある。
(文=北沢栄/ジャーナリスト)

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