『白衣の戦士!』久々の看護師コメディに厳しい声が相次ぐ理由…致命的な問題点とは

Business Journal / 2019年5月16日 21時0分

●ベタは好きでも古さは許さない視聴者

 視聴者の感情移入を分断すること以上に問題なのは、どれも1980~90年代のノリであり、コメディとしての質が古いこと。ドラムロールなどを使った効果音、喜んだり怒ったりすると全身から線が飛び出す漫画的な映像加工、ギャルのキャラクター造形……。ここまで徹底している以上、「現在の視聴者はこれくらいベタなほうがウケる」という判断に基づいた脚本・演出であることは間違いない。

 しかし、現在の視聴者は、『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)を見ればベタな展開が好きな感こそあるが、ディテールの古さは見逃してくれない。しかも、制作サイドにとって恐ろしいのは、脚本家や演出家の過去作品はおろか、年齢まで調べられた上で、「だから古い」と断定されてしまうことだ。

 もし通用するとしたら、古いノリを知らず“初見”となる上に、中条のファンが多い10~20代前半なのかもしれない。すると、必然的に水曜22時台という大人層向けの放送時間ではなく、19時台か20時台が最適帯となる。

 たとえば、80年代の中山美穂主演『な・ま・い・き盛り』、南野陽子主演『熱っぽいの!』(看護婦が主人公の作品)、90年代の宮沢りえ主演『いつか誰かと朝帰りッ』、松雪泰子主演『白鳥麗子でございます!』などを放送していた「フジテレビ木曜20時台のラインナップとみなせば、ちょうどいいかもしれない」と感じてしまう。

●終盤に意外な感動を得られる可能性も

 15日放送の第5話では、はるかと斎藤、夏美と本城に加えて、主任の村上真由(片瀬那奈)の恋も描かれるなど、予告映像は恋愛モード一色。「どんな病気のどんな患者が現れるのか」がわかるところは一切ない。こんなところにも、「看護師の仕事や医療にかかわる内容はライトなもので」という制作サイドの方針が表れている。

 久々の看護師コメディだけに、その方針は必ずしも悪いとはいえないのだが、ならばもっと“看護師あるある”をフィーチャーしてもいいのではないか。4話の冒頭で、「健康相談会になりがち」「お酒強いだけで『白衣の天使のイメージ崩れた』と言われる」「下ネタを言ったらドン引きされる」という合コンにおける“看護師あるある”を連発して笑いにつなげていたからだ。

 ドジとドタバタを繰り返す古い脚本・演出ではなく、看護師の今をとらえた “あるある”で笑わせるほうが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の動きも活発になるだろう。

 前述した80~90年代に放送されていた20時台の作品は、「演技経験の浅いアイドル女優の成長を見守る」という楽しみ方もあった。同様に『白衣の戦士!』も、水川に引っ張られて中条が成長した姿を見せられれば、終盤に意外な感動を得られる可能性がまだ残っている。それは「中条と水川は自分ができる精一杯の仕事をしているから」にほかならない。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

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