東京都庁舎、維持費だけで年間40億円…区庁舎建て替えラッシュの裏に“豊島区モデル”

Business Journal / 2019年5月26日 20時0分

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 東京五輪開催が目前に迫り、東京の都市改造も慌ただしくなってきた。各所で工事が続けられているなか、五輪とは関係ない公共工事も多い。そのうちのひとつが、区庁舎の建て替え工事だ。

 東京23区の区庁舎は、終戦後から順次建設が進められた。そのため、多くの庁舎が竣工から60年を経過している。老朽化の観点からも建て替えは必然的だが、多くの区で時期が重なっていることで人手が奪い合いになり、それが工費を押し上げる要因になっていた。また、東京五輪も追い打ちをかけた。

 東京都の財政は、一般的に潤沢といわれている。しかし、今後は東京23区も人口減が避けられない。人口減による税収減や、高齢化による社会保障費増というダブルパンチで、とても新庁舎を建設できるような財政的余裕はなかった。

 無理に新庁舎を建設するなどと言い出せば、区民感情を逆なでする。区長や区議は次の選挙が危うくなるだろう。そうした意識から、区庁舎の建て替え案は長らく浮上しなかった。   

 しかし、新庁舎に後ろ向きだった自治体の姿勢にも少しずつ変化が生じている。今年1月15日に渋谷区が区庁舎の建て替えを終え、新庁舎で業務を開始。そのほかにも中野区や世田谷区、北区、荒川区が新庁舎の建て替え計画や議論を進めている。

●豊島区、“実質0円”で区庁舎建設

「はっきり言うと、豊島区が2015年に竣工した新庁舎の存在が大きいと思います」と言うのは、ある東京23区の職員だ。職員が名指しした豊島区の旧庁舎は、JR池袋駅から徒歩5分ほどの距離の明治通り沿いにあった。決して不便な場所ではなかったが、建物の老朽化は激しく、区議や区職員からも早急な建て替えを望む声が強かった。

 豊島区の財政は決して楽観視できない状態にあったが、そうしたなかで豊島区は新庁舎への建て替えを決断。新天地を区庁舎から近い、東池袋に決める。

 新庁舎の計画が進むなか、豊島区には大きな衝撃が走った。元総務大臣の増田寛也氏が座長を務める日本創成会議が、14年に消滅可能性都市を発表。それは、約1800ある市町村のうち896が40年までに消滅する危機にあるという内容だった。増田レポートとも呼ばれる発表は、総務省や地方自治体関係者を震撼させた。また、消滅可能性があると名指しされた自治体の住民間でも大きな波紋を呼んだ。

 新庁舎の建て替え計画を進めていた豊島区にとっても、増田レポートで激震が走ることになった。なぜなら、増田レポートで豊島区は「東京23区で唯一、消滅可能性がある」と指摘されていたからだ。豊島区は若者であふれる池袋を擁するだけに、人口減・高齢化とは無縁のように思われてきた。それだけに、増田レポートは豊島区を大きく揺るがす。

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