最近、クルマのタイヤの“ある変化”に気づいてますか?

Business Journal / 2019年6月17日 21時0分

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 ゴム製のタイヤが初めて開発されたのは、1867年とされている。木材や金属で成型された車輪にゴムを巻いたものがルーツだ。空気入りの自動車用タイヤが公道を走ったのは1895年。フランスのミシュランが公道レースで初めて使用した。自動車用タイヤが黒くなったのは1912年。BFグッドリッチがゴムにカーボンブラックを配合。それ以来100年が経過しても、自動車用タイヤは「黒くて丸いゴムの塊」であり続けている。姿形がこれほどまで変化せずに進化を続けている工業製品も珍しい。

 クルマと路面の唯一の接点はタイヤだというのに、長い間、クルマにとって縁の下の力持ちとして控えめな存在を続けてきた。タイヤは乗り心地やグリップを左右する。クルマの性能に強い影響力を持つにもかかわらず、見た目はあまり代わり映えしない。つまり、華やかさがないのである。

 ところが最近、タイヤが自らの存在を主張しはじめた。タイヤのサイドウォールがにわかにデザイン性を帯びてきたことにお気づきの方はおられるだろうか。

 タイヤは、大きく2つの面に分けることができる。回転し、路面と接する面をトレッド面という。クルマを横から眺めたときに、ホイールの外周を巻いているのがサイドウォールだ。タイヤメーカーは、そのサイドウォールに着目した。自らのメーカー名や、高性能を誇るスポーツブランドロゴが目立つように細工を施し始めたのである。

 といっても、赤や黄色といったビビッドなペイントで文字を浮き立たせているわけではない。レースで見かけるように、サイドウォールにロゴをペイントしたり、ホワイトリボンと呼ばれた色塗料で派手さに演出しているのとも異なる。あくまでベースはカーボンブラックの黒なのだが、細かいシボ(しわ加工)やドットを打ち込むことで、陰影を巧みに利用している。さりげないロゴが粋である。

 写真をご覧いただきたい。ミシュランの誇るスポーツブランド「パイロットスポーツ」を撮影したものだ。ベースに微細な打点を残すことで、「MICHELIN」のロゴが浮き立つ。光の力を巧みに利用している。頭にはミシュランのマスコット「ビバンダム」が微笑む。「PILOT SPORT」ロゴへと流れたあと、チェッカーフラッグで結んでいる。光の入射角と反射角の変化によって表情を変えるところが愛らしい。

「タイヤだって目立ちたいんです」

 ミシュランのタイヤ開発担当者は、こう言って笑った。平たく言えばそのとおりなのだろうが、本当の狙いはブランドの訴求である。

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