『パーフェクトワールド』なぜ珠玉のラブストーリー→今期“評判最悪”ドラマになったのか

Business Journal / 2019年6月13日 19時0分

 自分たちが幸せになるために周りの人を不幸にしたのだから、鮎川と川奈が怒りや恨みを買うのは当然なのだが、そんな予告編映像にかぶせられたテロップは、こともあろうに「逆境に立ち向かう不変の愛」。逆境ではなく自業自得にすぎないし、一度は別れたくせして今さら「不変の愛」もないだろう。制作側がこのドラマを美しい純愛ストーリー路線にしたいのならそれでもいいが、それならそれで、もう少し川奈を悪者にしない方法だってあったのではないか。鮎川と別れた後に是枝と付き合うくらいはいいが、婚約して式場まで決めてしまうところまで進展させたのはやりすぎだったのではないか。ここまで周囲を巻き込んでみんなを不幸にしてから、最後にはみんなもわかって祝福してくれました、という大団円に向かうのは無理があるだろう。

 第8話はこのほか、鮎川が巻き込まれた地震に関する描写があまりにも雑だったことも目立った。震度5で足場が倒れるほどの揺れだったにもかかわらず、特にそれ以外に被害もなく、それでいて避難所には大勢の被災者が寝泊まりしているという、よくわからない状況。鮎川は倒れてきた足場や材木にはさまれて身動きが取れなくなったが、駆けつけた川奈がちょっと持ち上げただけですぐに脱出。「あんなガリガリの川奈が持ち上げたくらいで出られるってどうよ」と、視聴者からのツッコミも相次いだ。しかも、何時間かぶりに救出された鮎川には明らかに外傷があったのに、病院に行くわけでもなく、その後は元気に振る舞う。あまりにも一貫してリアリティーに欠けており、ストーリーを進めるための材料として地震を使ってみた、程度の脚本家の軽薄な姿勢が透けて見える。

 全体的にどんどんつまらないドラマになってきており、鮎川と川奈の行く末も、もはやどうでもよく思えてきた。唯一の癒やしは、川奈の妹・しおり(岡崎紗絵)と鮎川の職場の後輩・渡辺晴人(ジャニーズJr./SixTONES・松村北斗)のフレッシュな2人が繰り広げる恋人未満の軽妙なやり取りだけ。互いに無駄な気を遣わずに言いたいことをずけずけと言い合う自然な関係が見ていて心地よい。岡崎はかわいいうえに謎の色気を振りまくし、さわやかなイケメンの松村が見せるくったくのない笑顔も魅力的だ。むしろこの2人が繰り広げるストーリーを見てみたい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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