航空機の乱気流の揺れ、実はパイロットのミス…ベルト着用サインをナメると命の危険

Business Journal / 2019年6月17日 9時0分

●Cbとの戦い

 さて、ここからが本題であるが、よく乱気流に遭遇して死傷者が出る事故が報道されると、一般の方は気象状況が原因でやむを得なかったと考える傾向がある。

 しかし、本当の原因はパイロットがCbに気付かず突入したか、避けきれずにその中に入ってしまったかのいずれかである。気象レーダーといっても最大約500キロメートル前方までしか雲をとらえることはできず、その距離は時間にして約30分ほどで、パイロットが頻繁に画面を見ていないとCbが目の前に近づいてくるのを見逃すことになる。

 加えて、距離に応じて気象レーダーのビームの角度を変える作業(ティルトと呼ばれる)を行わないと、画面に赤く映らない。つまり前方確認とティルトを定期的に正しく行わないと、Cbに突然入るという悲惨な結果が待ち受けているといってよい。その他、Cbを避けようと迂回していても十分離れていないと揺れに遭遇することもある。さらに前方にCbをとらえていながら、やむを得ずその中を飛行しなければならない場合もある。

 東南アジア便や赤道を越えて南半球に向かう便では、しばしばCbが壁のように連なって航空機の行く手を阻んでいる状況に出くわすのである。そのような状況では経験上、ときにルートから100キロも横に飛行してそれを避けたりすることもある。

 また、管制官から迂回許可がすぐに得られないこともある。そうなると、パイロットは覚悟を決めて気象レーダーをうまく使い、できるだけ影響の少ない空域を選んで飛行するが、その間どうしても揺れが続くことになる。

 その場合、事前にCAにあとどのくらいでどの程度の揺れが起こるかを連絡し、乗客にもアナウンスを入れてベルト着用サインを点灯させる。連絡を受けたCAはカートを片付け、ロックをしっかりして全員がサービスを止めて着席することになる。こうしてCBによる被害を出さないように飛行しているのである。

●乗客にはベルトサイン点灯、CAには作業を許可のダブルスタンダード

 乱気流による死傷事故のもう1つの原因に、日本の航空会社でもかつてよく見られたベルトサイン点灯中のCAによる機内サービスがある。これはCAは一般の乗客よりも揺れに慣れていて、とっさに身の安全を保てるはずだからとして、ベルトサインを点灯させておきながらサービスのための離席を認める悪しき習慣のことである。

 実際、日本航空(JAL)でも過去にCAからどうしてもサービスをしたいと要求され、機長が「ではベルトサインは点灯しておくけれど気をつけてサービスを」というような指示を出していた時代があった。しかし、それによってサービス中のCAが天井に頭を打って死亡する事故など数多くの経験をしたことによって、現在ではベルト点灯中は一切のサービスを中止して席に戻り、ベルトを着用することになった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング