三菱航空機、スリーダイヤを使用できず…三菱グループが商標権管理にこだわる歴史的必然

Business Journal / 2019年6月25日 7時0分

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●「三菱」から「スペース」へ

 2019年5月、三菱航空機株式会社が、国産ジェット機「三菱リージョナルジェット」(略称:MRJ)の開発戦略を大幅に見直すことが報じられた。2008年に事業化が決定したMRJ(90席)の開発と併行して、新たに70席級の新機種開発を進め、両機種の名称を「スペースジェット」に変更するというものだ。「スペース」の意味として「機内の広さ」をアピールする狙いがあるという報道もあるが、MRJの度重なる納期延期で、「ミツビシ」ブランドを取り上げられた……と考えるほうが筋が通っているだろう。

 MRJならば機体にスリーダイヤを使用する可能性もおおいにあったろうが、スペースジェットではまず無理だろう。意外に知られていないが、三菱自動車工業は創業時にスリーダイヤを使うことが許されず、しばらくはMMCマークを車体に付けて販売していた。ミツビシおよびスリーダイヤ・ブランドは海外で抜群の知名度を誇っているので、それが使えないとなると、海外販売戦略はきわめて苦しくなる可能性が高い。

●三菱とスリーダイヤは勝手に使えない

 三菱航空機の社章は「スリーダイヤ」である。自社製品に社名のミツビシや社章のスリーダイヤが使えないのはおかしいのではないか。そう思う向きもあるだろう。しかし実は、製品にミツビシやスリーダイヤを付ける権限を三菱航空機は持っていないのである。それを決めるのは、三菱社名商標委員会という社外の組織なのだ。

 そもそも、戦前の三菱財閥では、新設会社に社名を付けていたのは創業者・岩崎家だった。三菱重工業、三菱化成工業(現・三菱ケミカル)の「重工業」「化成」という、いまではポピュラーな社名も、元はといえば、三菱財閥四代目・岩崎小彌太(こやた)の造語だったという。

 ところが、第二次世界大戦で日本が敗戦を迎え、財閥解体が進められると、その一環として三井・三菱・住友などの財閥商号(社名)、スリーダイヤなどの商標は使用禁止とされてしまう。実際、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)は千代田銀行、三菱化成工業は日本化成工業などと社名変更していた。

 しかし、商号・商標の使用禁止に猛反発した三井・三菱・住友の経営者たちは、知恵と資金を出し合い、米国の弁護士や吉田茂総理大臣などに掛け合って、最終的にはこの法令を骨抜きにすることに成功した。そこで三菱グループでは、各社が集まって三菱社名商標委員会という組織を立ち上げ、商号・商標管理を開始したのである。

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