GPIF改革が年金を破壊?巨額損失の危険も 株価対策に年金を利用という愚策

Business Journal / 2014年7月2日 14時0分

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「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/6月28日号)は『海外投資家の正体 アベノミクス相場第2幕を仕掛けるやつら』という特集を組んでいる。「日本株市場が上昇軌道をたどるかどうかは、今や売買シェア6割超を占める海外の投資家がカギを握る。今年に入り鳴りを潜めていた彼らはまだ日本株を買ってくるのか? どの銘柄を狙っているのか? 緊急アンケートを通じて海外勢の本気度を探り、その実態に迫った」という特集だ。

 昨年15兆円買い越し、株価上昇を主導した外国人投資家は、年明けから5月までに約1.5兆円売り越した。移り気な投資家は、インドなどに目を向け始めている。インドはモディ新首相が掲げる経済政策のモディノミクスが始動し始めたからだ。

「株価に敏感な安倍政権は成長戦略に本腰を入れ、6月13日には安倍首相自らが経済財政諮問会議で法人税を『数年内に20%台に引き下げる』と明言した。しかし、株式市場の反応は鈍い」(同記事)

●GPIF改革で株価上昇?

 それでも今回の特集では、ヘッジファンドを中心に海外機関投資家の動向に詳しい日本のパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの協力を得て、欧米とアジアの機関投資家に投資意向の緊急アンケートを行っている。その結果は、日本株を買い増ししたいと考えている外国人投資家が増えている。「今後1年間で組み入れ比率を引き上げたい株式市場として日本は欧米主要国を上回っている」(同記事)というのだ。

 その理由として挙げられるのは、成長戦略のほかに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株比率の見直しだ。GPIFは公的年金積立金(約130兆円)を運用する世界最大級の年金基金。アセットアロケーションは、国債など国内債券の比率がきわめて高く、直近で全資産の60%が国内債券に振り向けられている。一方、国内株式の比率は13%でしかない。

 過去12年間の平均運用収益率は約2%にとどまっており、株式運用の比率が高い欧米などの年金基金に比べると利回りは見劣りする。また、政府の年金財政検証によると、将来の給付水準の目標を保てる標準的なケースは、4.2%の運用利回りが前提となっている。年金財政の強化という観点からも長期的な収益率の改善が求められており、株式などに運用対象を切り替えるのは合理的ともいえる。

 また、GPIFが株式での運用比率を高めれば、株価が上がることが見込まれる。米沢康博GPIF運用委員長が、日本株の比率を引き上げる意向を示したと伝えられただけで、日経平均株価は1万5000円台を回復したほどだ(6月3日)。今後は、9~10月をメドに資産構成で日本株を増やす方針だという。「GPIFによる日本株比率の引き上げ前倒しが明らかになれば、日経平均は7~9月に1万6000円、企業の業績予想の上方修正が続けば、2015年3月には1万7000円を超す」というチーフストラテジストの見立てを紹介し「株価の上昇基調を保つには気まぐれな投機マネー頼みでなく、長期投資家の本格参入が不可欠。それには企業業績だけでなく、政府による真摯な構造改革が必須だ」とまとめている。

●GPIF改革に投げかけられる疑問

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