男性から女性に性転換した人は、赤ちゃんを産むことができるのか?

Business Journal / 2014年10月12日 14時0分

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 こんにちは。江端智一です。

 今回は、「性同一性障害の女性が施術によって男性になった場合、法律上の父親になれるか?」「男性から女性になった人は、赤ちゃんを産むことができるか?」についてお話しいたしますが、その前に簡単に復習させていただきます。

 9月9日付当サイト記事『戸籍上の父は性行為の日で決まる?DNA鑑定のみで親子関係を決められないワケ』において、民法772条について説明いたしました。第1項では、「結婚中に妻が妊娠した場合、その子の血縁上の父がどこの誰であろうとも、今結婚している夫の子として戸籍に記載する」旨を規定しています。母が出産によって確定的に決まるのに対して、子を産む能力のない父の身分は不安定なのです。

 なぜ、このような法律が必要になるかというと、子が生まれてから何年も経過してから父子関係を否定できることになると、子を守れなくなるから――ということになっています。

 また、第2項には、「離婚後300日を経過する前に生まれた子の父親は、母親の離婚前の夫とする」旨を規定しています。離婚後300日以内に生まれた子は、生物学的に離婚成立前の性交渉によってできた子どもと推定するためです。

●「300日問題」の司法判断

 そして、戸籍へそのように記載されることを避けるため、母が子の出生届を出さず無戸籍の子ができてしまうことを「300日問題」といいます。

 しかし、仮に「300日問題」があったとしても、「妻が元夫の子を妊娠する可能性のないことは『客観的に明白である』」と証明できれば、血縁上の父の子として戸籍に記載できます。

 ここで私は、はたと考え込んでしまいました。「客観的に明白である」とは、どういうことなのだろうか? 離婚前に元夫と同居しつつ別の男性と肉体関係があったとしても、元夫の子を妊娠する可能性を完全には否定できず、「客観的に明白である」ことにはなりません。それでも、DNA鑑定などで元夫の子でないことが判明すれば、それは「客観的に明白である」事実といえます。

 これが現実の事件として、最終的に最高裁判所で判断されたのが、「親子関係不存在確認請求事件(最高裁平成26年7月17日第一小法廷判決)」です。

この事件の概要は以下の通りです。

(1)ある夫婦の間に子ができたが、その子の血縁上の父は妻の浮気相手であった。これは、後に行われたDNA鑑定でも99.999998%の確率で事実であると証明されている。
(2)出産後に妻からその事実を知らされた夫は、「自分の子」として育てることにした。
(3)しかし、破綻した夫婦関係は長く続かず、離婚することになった。
(4)妻は子を連れて家を出て、子の血縁上の父と暮らし始めた。
(5)夫との離婚後、しばらくの日を経て、妻は子の血縁上の父と再婚した。

ビジネスジャーナル

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