リニア新幹線、突貫&ずさん工事による危険事故の懸念 海外投資支援機構が発足

Business Journal / 2014年11月20日 6時0分

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 10月17日、リニア中央新幹線の工事計画が国土交通大臣に認可され、本格的に動き出すことになった。品川―名古屋間が2027年につながり、名古屋―大阪間が45年に開通する予定だ。最高時速505kmで、品川・名古屋間が40分、名古屋・大阪間が27分で移動できる。

 工事には課題が山積している。品川―名古屋間の286 kmのうち86%が地下を走り、都心では地下40mも潜ることになる。深く潜るのは騒音や振動対策でもあるが、利用客の導線をうまく設計しなければ、せっかくの時短がムダになりかねない。また、トンネルも多く、南アルプスなど日本の山岳地域を通るので当然だが、同区間の9割近くがトンネルとなる。

 そこで思い出されるのが、山陽新幹線のトンネル事故だ。1999年6月、福岡トンネル内で内壁の重さ約2kgのコンクリートが落下し、新大阪発博多行きの「ひかり351号」の屋根を直撃。幸いなことにけが人は出なかったものの、大きく報道された。

 その後もコンクリートの崩落が報道された。当時、筆者は取材で現地に飛んだことがあり、JR西日本が公開した事故現場であるトンネルにも入った。小倉駅から徳山駅まで、新幹線が走る橋梁の様子を見てまわった。橋柱にはコンクリートがはげ落ちた痕があり、高架の下の草むらにはかけらが落ちていた。原因は経済事情による突貫工事。さらにコンクリートに不可欠な川砂が規制により採取できなくなり、塩分を含んだ海砂が使われたことだ。工事を急いだ結果、塩分を十分に抜くことができなかった。山陽新幹線より11年早く開通した東海道新幹線について堅固な工事を評価していた、『コンクリートが危ない』(新潮新書)著者の故・小林一輔東京大学名誉教授も当時、山陽新幹線の危険性を指摘していた。

●インフラ輸出の起爆剤となるか

 東海道新幹線同様、リニアも国威をかけた事業であり、安倍晋三首相自ら海外へのトップセールスに力を入れている。

 2013年2月の訪米時には、オバマ大統領にリニアを提案。さらに今年4月に行われた日米首脳会談では、リニア技術の無償提供を表明している。米国はワシントン―ニューヨーク間に導入する予定だ。

「これまでは海外にインフラを輸出する場合、公的な支援しかありませんでした。これからはもっと支援していきたい」

 こう語るのは衆院議員の竹本直一氏だ。竹本氏は国交省出身の元キャリア官僚で、自民党超電導リニア鉄道に関する特別委員会委員長だ。同時に海外インフラ輸出を促進する議員連盟の会長でもある。

 一般的に海外に投資する場合、想定外の損害も生じがちで治安上のリスクも高いが、そういったリスクを低減し、企業の海外投資を支援する目的で、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構が10月20日に発足した。同機構は日本の鉄道技術を導入するインドDMICのほか、イギリスの都市間高速鉄道計画向けのプロジェクトファイナンスなども支援する。

 少子高齢化が進展する日本は、海外に成長の活路を見いださなくてはならず、優れた技術を持つ輸送インフラの輸出は有望だ。すでに新幹線については、省エネ面や安全面でその優秀さは世界が認めるところだが、リニアも評価され、輸送インフラ輸出の起爆剤となる可能性を秘めている。

 東京―大阪間が全面開通すれば、50年間で16兆円以上の経済効果をもたらすと試算されているリニア。その完成を世界が注目している。
(文=安積明子/ジャーナリスト)

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