自民党選挙報道要望書、自粛し騒ぎ立てるマスコミの異常さ 言論の自由侵害に該当せず

Business Journal / 2014年12月2日 21時0分

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 自民党がNHK及び在京民放テレビ局に対し、衆議院解散前日の11月20日付で「選挙報道の公平中立」などを求める要望書「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」(同党筆頭副幹事長・萩生田光一氏および報道局長・福井照氏名)を渡していたことが判明し、波紋を呼んでいる。その内容は「出演者の発言回数や時間」「ゲスト出演者の選定」「テーマ選び」「街頭インタビューや資料映像の使い方」など詳細にわたる「異例のもの」(テレビ局関係者)で、編集権への介入に該当する懸念も指摘されている。

 そのような中、当初は各党議員と政治家以外のパネリスト数人が討論するという構成であった討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系/11月29日放送)が、放送日直前に議員のみの出演に変更されていたことが明らかとなった。出演予定者だった評論家の荻上チキ氏のTwitterによれば、放送日2日前の27日に番組スタッフから電話があり、「ゲストの質問によっては中立・公平性を担保できなくなるかもしれない」との理由で議員のみの出演に変えると伝えられたという。

「番組スタッフに『誰かが何か言ってきたりしたんですか?』と確認しましたが、あくまで局の方針と番組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番組スタッフも戸惑っていた模様です」(荻上氏のTwitterより)

●要望書は、言論の自由を脅かす行為か?

 自民党の要望がテレビ局の番組制作に影響を与えている様子がうかがえるが、AVANCE LEGAL GROUP LPC 執行役員の山岸純弁護士は、マスコミの反応を次のように批判する。

「自民党が『要望書』と題する文書をテレビ局に回付したことについて騒ぎ立てるマスコミのほうに疑問を持たざるを得ません。なぜなら放送業を営む事業者を規律する放送法には、『(放送事業者は)公安及び善良な風俗を害しないこと』『政治的に公平であること』『報道は事実をまげないですること』『意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること』が明記されており(法3条)、今回自民党が回付した文書には『この法律どおりに行ってください』と書いてあるだけだからです。自分たちの重大な権利が侵害されたかのごときテレビ局側の対応が散見されます。さらには、『言論の自由を脅かす行為である』と騒ぎ立てる識者もいますが、法律をしっかりと確認すれば、自らの論争の方向性が誤っていることに気づくことでしょう」

 さらに山岸氏は、今回の要望書をめぐり起こっている議論の方向性に対しても、次のように疑問を投げかける。

「要するに、『あなた(=自民党)の言っていることは正しいし、法律にもそのとおり書いてあるが、あなたがこの時期(=衆議院選挙公示直前)に言うなよ』という低いレベルの論争にすぎないということです。確かに、テレビ局側になんらかの『自粛』が発生したことは否定できません。しかし、『特定の政党を批判・応援する発言は控えてほしい』という番組スタッフの発言等があったとしても、前記のとおりあくまで法律に従った行動であり、特段に騒ぎ立てるべきものではありません」

 テレビ各局を含めたマスコミは、冷静な対応を求められているといえよう。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士、AVANCE LEGAL GROUP LPC 執行役員)

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