ベネッセ、危機は本当か?流出事故で「血の入れ替え」加速、人員削減の裏に「攻めの戦略」

Business Journal / 2014年12月5日 6時0分

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 ベネッセホールディングス(HD)は2日、希望退職者約300人を募ると発表した。同社としては希望退職者募集は初。原田泳幸会長兼社長は「改革スピードを速めるしかない」と判断したとされる。

 今回の決断は7月に発覚した会員情報流出事件の結果だ。原田氏が現職に着任したのが6月21日で、その直後に事件が発覚。同社を揺るがせる経営問題に発展した。

「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」などの通信講座の10月時点の国内会員数は、1年前より7.1%(約25万人)少ない325万人まで減少し、情報流出が発覚した7月から9月までの新規会員は前年同期に比べて6割減った。

 一連の影響を受け、10月31日に発表された2015年3月期の連結最終損益では10~90億円の赤字(前期は199億円の黒字)になる見通しとなった。最終赤字は1995年の上場以来初めて。会員情報流出事件への対応費用のほか、約50億円の構造改革費用を計上する。売上高は前期比で微増の4670億円、営業利益は22%減の280億円を見込む。

 原田氏は12月2日の会見で「余剰人員があることは就任前からわかっていた。ゆるやかに経営を変革しようと考えていたが、事件があった以上、スピードを加速するしかない」と語ったが、この言葉から、事件を逆手に取った原田氏の“修羅場くぐり経営者”としての辣腕がうかがえる。

 今回の発表では、人員削減という「守りの戦略」というべき施策のほかに、実は「攻めの戦略」がいくつも明らかにされた。まず、執行役員クラスで8~9人を外部から迎えるとしている。さらにグループ各社から700人を介護子会社、ベネッセスタイルケアや全国500カ所に設ける学習相談スペース「エリアベネッセ」などに15年3月末までに移す配置転換も行う。経営幹部を入れ替え、人員は減らし、事業をまたぐ人員の再配置も大幅に行う。まさに「血の入れ替え」というべき荒療治だ。

●災い転じて好機と成すか

 今回の施策について、「原田社長はこれまでの手法をベネッセにも持ち込んで難局を乗り切ろうとするが、外部人材登用などは生え抜きからの反発も考えられる。手法が通用するとは限らない」(12月2日付日本経済新聞より)との見方もあるが、これだけの改革を行って内部から反発がないはずがない。そんなことを気にしていたら修羅場の社長は立ちゆかない。

 筆者は3カ月前に自身のブログで「この事件をきっかけとして原田氏はベネッセで強固なリーダーシップを確立すると見ています。転任経営者としてはむしろ『災い転じて好機と成す』を果たすのではないでしょうか」と書いた。そして具体的には、原田氏が組織改革に大ナタを振るい、求心力を一気に確立してしまうだろうと予測したが、その通りのことが起きていると読むべきではないか。筆者も経営者として何度も同じような企業再生の修羅場に立たされてきたので、原田氏のようなプロ経営者なら当然取るだろう経営行動が理解できる。原田氏はこの出来事を奇貨として、着任したベネッセでの経営権を確立してしまうだろう。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

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