漁師ってカッコいい!を伝えたい/【飛びこんだひと③】榊裕美さん

cafeglobe / 2019年5月29日 5時15分

医師、板前、パイロット、鳶職……。

近年、職業における性別の垣根もだんだんなくなってきています。MASHING UPは、「男性の仕事」とされてきた業界への扉を叩き、誇りを持って仕事に日々情熱をそそぐ女性の働き手たちを「飛びこんだひと」として紹介します。

第三弾は、漁師に憧れ、漁業の世界に飛びこんだ女性です。

榊さん_top 漁業体験のワークショップで、地元の小学生に話をする榊裕美さん。 榊裕美さん(合同会社はまから)Q:職業を教えてください。A: 漁業を盛り上げる様々な活動に携わっています。

福島県いわき市の久之浜漁港を中心に、水産物の販売、地域の子どもたちへの漁業体験イベントの企画・運営などを行っています。漁師を目指す若者の指導育成にもこれから力を入れていく予定です。

Q:なぜその職業を選んだの?A: 漁師ってカッコいい!を伝えたくて。

大学時代、遠洋漁業の漁師さんとお話しをする機会があり、「南米まで行って巨大なイカを獲ったんだ」なんて武勇談を豪快に語る姿に「漁師さんってカッコいい!」と憧れを抱きました。また、東日本大震災のあと、ボランティアで福島県いわき市に足を運んでいたのですが、震災以降、原発事故の影響で久之浜漁港の水揚げ量が震災前の15%程度に減った、という現状を知り、自分になにかできることはないか?と思ったのがきっかけです。

はじめは地元のNPOである特定非営利活動法人Wundergroundに声をかけてもらい、活動していたのですが、昨年の暮れ、本腰を入れようと合同会社を立ち上げました。

Q:その業界に飛びこむのに恐怖心はありませんでしたか?A: ワクワクが強く、恐怖心はまったく感じませんでした。

憧れの業界に入るワクワクが強かったです。一緒に働いている漁師さんたちの、まっすぐ海と向き合う姿勢には、今でも尊敬の念を抱いています。

fisherman 震災以降、福島県の複数の漁港では規模を縮小した「試験操業」を行っている。 Q:周囲の反応はどんなものでしたか?A: 漁師さんに驚かれることも。

漁船に乗ることも多いので、両親は「危険なのでは、力仕事で大変なのでは……」と心配していましたね。でも最終的には「自分で決めたことだから自分で責任を取れ」と背中を押してくれました。むしろ、一緒に仕事をする漁師さんから「女性なのにどうして」「いい大学出たのに」などと驚かれることもあります。

Q:性別による壁を感じたことは?A:自分ができることを追求しています。

私は技術的にも体力的にも漁師さんを超えられないし、男の人と同等の仕事はできないと思っているので、広報や新しいプロジェクトの企画など、自分ができることを追求し、漁業の魅力を伝えていこうと思っています。

Q:仕事のやりがいはどんなことですか?A:誰もやったことのないことにチャレンジすること。

いま取り組んでいることが、地域を元気にして、次世代の海の環境づくりにつながっていく。多忙な日々ですが、自治体や地域の人々を巻き込んで誰もやったことのないことにチャレンジする毎日が楽しくてたまりません。活動をとおしていわきの漁師さんたちが誇りを取り戻したり、子どもたちが漁業に関心を持ってくれたりするのもうれしいですね。

榊裕美さん_2 出身は青森県八戸市。「りんごちゃん」の愛称で親しまれている。 Q:この職業を目指す人にアドバイスをするとしたら?A: 実はとっても身近な漁業。色々な関わり方があります。

男性のイメージが強い漁業ですが、漁師さんが獲った魚が最終的に私たちの食卓に並ぶわけで、私たちの生活にとても近い産業ですよね。消費者が何を口にするかによって魚の値段が変わり、漁師の収入が左右される。環境的な側面からいえば、海を汚すのも守るのも私たちの暮らし方しだいです。

漁業の問題は、漁師さんだけの問題でなく、社会全体の問題。そんなことを考えながら、たくさんの方が様々な関わり方でこの世界に飛び込んでくれればと思います。

写真/榊さん提供

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