私たちの改革は始まったばかり。大胆に、ユニークに社会を変えていこう:G(irls)20レポート[後編]

cafeglobe / 2019年6月18日 5時15分

社会を変えようとする若い女性をサポートするカナダの団体、G(irls)20。毎年、G20サミットの開催国でG(irls)20サミットというイベントを開いています。

この記事では、2019年5月29日に東京のカナダ大使館で開催された第10回サミットの様子をお届けします。MASHING UPは、メディアパートナーとしてイベントをサポートしました。前編(ワークショップの様子)はこちら→

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私たちの力で世界を変えられる

サミット序盤、G(irls)20 CEOのヘザー・バーナビーさんの挨拶に続き、この団体の設立者で現在はマララ基金のCEOを務めるファラー・ムハンマドさんが壇上に立ちました。

G(irls)20_S_2 G(irls)20の設立者、ファラー・ムハンマドさん。

G(irls)20が発足した10年前、資金も拠点もないなか「女性の経済力向上は世界の経済成長に直結する」という信念だけがあったとムハンマドさん。当時は一般的ではなかったその考え方も、今では国際機関や各国政府で共有されるようになりました。

「改革は始まったばかりです」。ムハンマドさんは、仲間と連帯しながら変革をもたらしてほしいと参加者を鼓舞し、24人の各国代表は熱い拍手でこれに答えました。

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その後のトークセッションでは、STEM分野への女性進出、メンタルヘルスを含む健康問題と女性の経済的自立の関連性など、様々なトピックが議論されました。

そのひとつ、女性の立場向上とキャリア推進についてのセッションについて詳しくお届けします。

登壇者は、米国のコンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニー日本法人の塚本幸子さん、ジェンダー平等を目指す国連関連機関WE EMPOWER Japanのナショナルコーディネーター斎藤万里子さん、名古屋大学で教鞭をとるカナダ出身の政治学者、スティール若希(ジャッキー)さん。モデレーターはMASHING UPコンテンツ・ディレクターの中村寛子が務めました。

セクハラはNO! 企業がしっかりコミットして

業務のかたわら、女性社員のための職場環境整備とキャリア形成支援に取り組むチームを率いてきた塚本さんは次のように語ります。

G20_s_4 ベイン・アンド・カンパニー日本法人の塚本幸子さん(左から2番目)。

「ダイバーシティを担保するため、数値での見える化を徹底しています。各部署や役職の女性の比率を常にモニターし、目標値に達しない場合は原因を徹底してつきとめます。

さらに、企業文化の醸成にも力を入れています。何がセクシャル・ハラスメントに当たるのかを理解してもらう。そして、子育ては父と母、両方の責任であるという認識を広げ、男性も積極的に産休・育休を取るよう促しています」(塚本さん)

家庭内のケアワーク=女性、を変えよう

WE EMPOWERで官民の専門家の力を借りながら日本独自のジェンダー問題に取り組んでいる斎藤さんは言います。

G(irls)20_s_5 WE EMPOWER Japanの斎藤万里子さん(左)。

「女性の社会進出と経済的自立を阻んできた要因として、家庭内のケアワークがあります。多大な労力と時間がかかる子育てや介護は、伝統的に女性が無償でする仕事として見なされてきました。これを変えなければなりません。

ダイバーシティ推進に関しては、2016年の女性活躍推進法をきっかけに具体的な取り組みに着手する企業が増えたように、政府主導で企業にインセンティブを与えることが有効です」(斎藤さん)

スティールさんは、ジェンダー平等やダイバーシティに関する日本の公共政策について研究してきました。日本の育児支援制度を評価しながらも、利用対象者を非正規雇用の人にまで広げていく必要があると指摘します。

男の子には出世、女の子には地元に残ることを願う親たち

G(irls)20_S_6 モデレーターを務めるMASHING UPコンテンツ・ディレクター中村寛子。

議論が進むなか、モデレーターの中村から都市部と地方の落差について問いかけがありました。

斎藤さんは、教育機会や仕事の選択肢が少ない地方では、女性はさらに不利な立場にあると言い、これは世界共通の問題だとします。

塚本さんは、「男の子には都会に出て出世することを期待しながら、女の子には地元に残ってほしいと願う親が多いですよね」と指摘。役割分担に関して、もっとニュートラルな考え方を定着させる必要があると言います。

スティールさんは「嫁」に期待される役割の理不尽さをあげました。

G20_s_7 名古屋大学で教えるスティール若希さん(右)。

「地方に限りませんが、家族経営の会社や店で働いているにも関わらず、手伝いという位置付けで正式に雇用されていない女性が大勢います。老後は夫の年金に頼らざるを得ず、問題が起きた場合は貧困に直結してしまいます」(スティールさん)

さらにスティールさんは震災後に東北で起業を目指す女性が増えたことをあげ、資金と技術の両面で女性起業家を支援する制度ができることを期待すると言いました。

大胆に、明確に、ユニークに!

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セッション終盤。「世界の首脳へ向けた提言書を完成させる上で気をつけるべきポイントは?」と問われ、登壇者それぞれが参加者の若い女性たちにアドバイスをおくりました。

「大胆なミッションを掲げ、明確なアクションプランを立てること」(塚本さん)

「W20(G20のエンゲージメント・グループ)やW7(G7のエンゲージメント・グループ)の提言書を踏まえ、独自の視点を加えること」(斎藤さん)

「施策に実効性を持たせるため、進捗に関するデータの開示を求めること」(スティールさん)

会場からの質疑応答の時間も挙手が絶えず、関心の高さが伺えました。

G(irls)20代表たちによる共同声明ができました G20_手交式1 G(irls)20各国代表から、G20サミット担当大使の富田浩司さん(中央)に提言書を手渡した。

4日間のワークショップとサミットでの学びを受けて、G(irls)20各国代表の24人が議論を重ねてつくりあげた提言書(共同声明)が、サミットの数日後、G20サミット担当大使の富田浩司さんに手渡されました。全文をこちらから読むことができます(英語)。

提言書では、ジェンダーギャップ解消のため、STEM教育への女子の興味促進、メンタルヘルス含む包括的な健康問題への投資、農村部・都市部での持続可能な企業モデルの促進などがうたわれています。

世界の首脳へ向けたこの提言書はいわば、世界中の若い女性たちを代表して集まった24人の、汗と涙の結晶。よりよい社会を実現するために、異なる文化背景を持つ仲間たちと共に学び、考え、議論を戦わせた一週間。24人にとって、忘れられない一週間となることでしょう。おつかれさまでした!

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写真提供/G(irls)20

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