Z世代とミレニアル世代間の性的価値観にギャップ。各ブランドはZ世代顧客獲得にどう挑む?

cafeglobe / 2020年10月19日 8時0分

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ビューティやウェルネス業界全般においてセクシュアル・ウェルネスや女性の健康は重要なテーマとなっているが、関連する製品やマーケティングについてZ世代がどのように受け止めているのかについてはまだ定かではない。

ピュー研究所(Pew Research Center)によれば、米国内のZ世代は約6700万人で、そのうちの35%が18歳以上。この消費者層は思春期に入り月経を迎え、やがて性行為を経験する年代であるわけだが、ミレニアル世代とはきわめて異なる観点や価値観でそれらの製品をとらえているという。

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セクシュアルケアやインティメイトケア(デリケートゾーンのケア)製品のオンライン小売業者、ブルーミ(Bloomi)の設立者レベッカ・アルバレス・ストーリー(Rebecca Alvarez Story)氏は、同社のブログの読者層をみると、メインの顧客ではないZ世代がかなり多くの割合を占めている点に気づいた。

Z世代はブルーミの顧客の約全体の8%で、大抵は生理用下着やヨニエッグ(膣に入れる卵型の器具)といった生理衛生用品を購入している。ところがブログ読者層になると25%以上がZ世代であり、その割合は女性が73%、男性が27%だ。もっとも読まれているのは、月経周期に関する記事やアナルセックスのような過激な性の話題に関する記事だという。ブルーミが2020年4月にスタートし、毎月開催しているバーチャルワークショップには、ミレニアル世代とZ世代がほぼ同数の割合で参加しているとストーリー氏は語る。

「今までの経験から理解しているのは、18歳から24歳の若者は性的な自我が形成される時期にあるということ。安全なセックスの方法など基本的な情報を読みたいという気持ちがあり、そうした好奇心からさらにミレニアル世代は読まないような話題にも興味を持つようになっています」(ストーリー氏)

ブルーミのバーチャルワークショップでも、一般的にミレニアル世代の女性は、性的スティグマや性行動に対する多くの先入観を捨てる必要があるのに対し、Z世代は自信を持って自分のセクシュアリティを受けいれているとストーリー氏は説明する。

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Z世代の価値観に、市場は対応できていない

商品政策に関しても、企業と消費者であるZ世代に大きなギャップが存在する。Z世代は「フェミニンウォッシュ」などといった遠回しな表現にも批判的で、その商品が何かということをオープンに説明することを好んでいる。レディスイート(Lady Suite)やヘルシーフーフー(Healthy Hoohoo)などのブランドはいまだに「インティメイト・クレンザー」や「フェミニンウォッシュ」といったフレーズを使用している一方で、ブルーミでは「外陰部の肌にうるおいを与える」というより直接的なネーミングの商品カテゴリーを設けている。

こうした商品説明に関する話は、女性の健康とセクシュアル・ウェルネスにZ世代がどうアプローチしているかの一例にすぎない。ミレニアル世代と比較すると、Z世代はジェンダー・アイデンティティについてもより進歩的な考えであることが証明されている。

またZ世代は、日常的に行うセックスの回数も少ないという点も理解しておく必要がある。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が毎年発表している「若年層のリスク行動調査」によれば、2017年に性行為をした学生は40%にとどまり、2007年の48%から減少しているのだ。『ジ・アトランティック』誌は2018年の記事で、若者たちは年を取ってからセックスをするか自慰行為で満足してしまっていて、人と性的な関係を築かなくなっていることに着目している。

この傾向を前提とするなら、セクシュアル・ウェルネスやフェミニンケア市場は、性に関する表現やセクシュアルアイデンティティだけでなく、実際の性行為に関する急激な変化にも対応できていないのかもしれない。マーケティングにおいてナラティブはすばやく適応できるとしても、それは消費者が求めている製品なのかというのはまた別の問題なのである。

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思春期の女性をターゲットにした製品に問われる倫理性

インティメイトケアのブランド、ヴァジシル(Vagisil)は、2020年4月にティーン向けのサブブランド「OMV」を、7月の全米展開前に先立ちウォルマート(Walmart)などの小売店を通じてソフトローンチした。同ブランドの主力商品は、ビキニライン用インティメイトウォッシュ、ウェットティッシュ、かゆみ止めのセラムなどだ。

ヴァジシルのCEOキーチ・コーム・シェッティ(Keech Combe Shetty)氏によると、ヴァジシルとOMVは10代の少女がパーソナルケア製品に何を求めているのかを理解するため、2019年に2,500人の少女と母親を対象にした消費者リサーチを行ったという。例をあげると「生理前後の自信と安心感」や「フレッシュな清潔感」が求められていたとコーム・シェッティ氏は話す。

Z世代と最終的に購買決定権を持つ親へは、ABCやCBS、Bravoといったテレビチャンネルで彼女らが見ている番組にリニア広告を流しリーチした。またOMVは、ケンダル・リッチ(Kendal Rich)とイヴィ・リッチ(Evie Rich)という母娘デュオのインフルエンサー(ふたりあわせて11万5000人のフォロワーがいる)ともインスタグラムで提携しており、時期は未定だがTikTokのアカウントも立ち上げる予定だ。

一方で、こうしたインティメイトケア製品は医学的にみて不必要であるだけでなく、「あらゆるレベルで侮辱的だ」と指摘しているのが、ノースウェスタン大学フェインバーグ・医学院の臨床教授で産婦人科医のローレン・ストレイチャー(Lauren Streicher)医師だ。なぜならこうした商品は、「性器周辺の臭いを隠すために女性には香水が必要」だと言っているようなものだと彼女は指摘する。

「健康にとって非常に重要なのは膣のpHバランスであり、臭いは膣自体から発生するので、外陰部にいくらpHバランス洗浄剤を使用しても、膣の健康や臭い自体には影響しません。口臭があるからといって、一日中顔を洗っても口臭が変わることはありません。外陰部や膣も同じことです。自分の体の変化に不安を感じている非常に脆弱な女性に対して、こうした製品は不適切なメッセージを送っています」(ストレイチャー医師)

ヴァジシルやOMVのような製品に対する批判についてコーム・シェッティ氏に尋ねると、多くの女性にとって思春期は辛いものであり、その期間の少女は著しく自信を喪失することがあるという指摘が返ってきた。この考え方は、こうした製品があるから買う人がいるのか、それとも対象となる消費者のためにそうした製品が生まれるのか、どちらが先かという問題を裏付けている。

つまり、思春期の悩みは本質的なもので、社会的な影響を受けないのか、もしくは社会的なスティグマが生み出したものなのか、という問いである。これまでも美容業界やパーソナルケア業界は、顧客の正当な要求に対する解決策を提供しつつも、非現実的な美の基準を押しつけるような製品を販売しているという問題に直面してきた。これが問題を解決するにはまだまだ時間がかかりそうである。

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ミレニアル世代向けアプリがZ世代の心を掴んだ理由

セクシャルウェルネスと健康アプリ「コーラル(Coral)」の創設者でCEOのイシャルナ・ウォルシュ(Isharna Walsh)氏はこう考える。

「セクシュアル・ウェルネスと健康について考えるとき、通常、人はまず製品に目を向けます。データでは、人々は製品を購入しても数回使用しただけでやめてしまうという傾向があります。つまり、製品というのは、社会や人間関係を変えるような代物ではないんです」(ウォルシュ氏)

2019年11月にローンチしたコーラルは、60USドル(約6,300円)の年間サブスクリプションで、性的な欲求や興奮、快感を得たり与えたりする方法といったトピックの読み物や教育的な記事、クイズなどのコンテンツを提供している。コーラルは300万USドル(約3億円)の資金調達を行ったばかりで、新型コロナウイルスの期間中にはダウンロード数が300%増加したという。

ユーザーのコア層は21~25歳の女性だが、ウォルシュ氏いわく、コーラルはミレニアル世代向けの製品ということを念頭にアプリを作成したため、Z世代がここまでエンゲージメントしていることに驚いたという。20歳以下の若者も多くアプリをダウンロードしているが、25歳以上の層よりも購読率は低いそうだ。コーラルは具体的なデータの提供は拒否している。

「私たちが共感を呼んでいるのは、コーラルは若者層が求めているレベルの充実した情報を発信しているからです。若い人たちは自分の体についてもっと理解したいと思っているし、今のこの年齢層はメンタルヘルスや最高の人生を送ることに関しては(私がその年齢だったときよりも)はるかにしっかりした考えを持っているのです」(ウォルシュ氏)

原文[How Gen Zers are confronting feminine health and sexual wellness]

Emma Sandler(翻訳:Maya Kishida)

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