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研究職をキャリアの選択肢に。ロレアルが若手女性科学者を奨励する授賞式を開催

cafeglobe / 2021年12月3日 18時30分

「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」授賞式の様子

日本の科学者のうち女性の割合は2割にも満たず、これまで長きに渡って男女の格差が埋まらないことが問題視されている。諸外国に比べ、女性研究者の割合の水準が低い背景には、ジェンダーギャップやバイアスが関係しているようだ。

世界150ヵ国で事業を展開する化粧品大手のロレアルグループの日本法人 日本ロレアルは2021年11月4日、若手女性科学者の活動を奨励することを目的とした「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の授賞式を開催。パネルディスカッションでは、Gender Action Platform 理事の大崎麻子さんをモデレーターに、女性研究者たちが自身のキャリアやこれまで感じたジェンダーギャップについて思いを語った。

高い探究心を持って研究を楽しんでいるかを評価

「2021年度 ロレアル-ユネスコ女性科学賞」を受賞した野崎京子さん 「2021年度 ロレアル-ユネスコ女性科学賞」を受賞した野崎京子さん。

2021年度のロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞には、物質科学と生命科学から合計4名が選出。審査委員を務めた京都大学名誉教授の永田和宏さんは、「いかに女性研究者が独創性を持って研究をしているかを基準に選んだ」と語り、研究成果だけでなく、高い探究心を持って研究を楽しんでいるかを評価したという。

また国際賞である「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」には、東京大学大学院 工学系研究科化学生命工学専攻 教授の野崎京子さんが受賞。科学者として長きにわたり活躍してきた野崎さんは「女性科学者が少ないこの現状は30年以上続いています。何か行動を起こさなければ本当に変わらない」と危機感を抱いている。

「私が学生だった当時、男女雇用機会均等法が制定されて、研究職の求人広告が『大学を卒業する男子』から『大学を卒業する男女』となりました。今となっては男女で区別することも問題ですが、当時は大きな変化でした。私が所属していた大学のクラスでは、50人のうち女子学生が2人。30年経ってもこの現状は変わりません。若い女性科学者にスポットライトを当てるロレアルの取り組みは、必ず世の中を変えると信じています」(野崎さん)

女性をサイエンスから遠ざける世間のイメージ

科学界のジェンダーギャップについて語る大崎さん 「世間のイメージが女性の理系進学や就職を遠ざけている」と語る大崎麻子さん。

授賞式後には、大崎さんから日本の科学界におけるジェンダーギャップについて伝えられた。内閣府のデータによると、日本の研究者のうち女性の割合は約17% 。日本の科学分野におけるジェンダーイクオリティは遅れていると言える。しかし、「日本の女性が持つサイエンスや数学に関わる能力が低いわけではない」と大崎さん。OECDが37の加盟国の15歳から16歳を対象にした調査によると、科学・数学的リテラシーにおいて日本の女性は高い水準であることがわかった。

「日本の女子学生は、先進諸国に比べてもスコアが非常に高いことがわかっています。科学分野では3位、数学は2位と順位も高いです。他の国の学生と比べても、遜色ない能力を持っています」(大崎さん)

続けて大崎さんは、大学に進学する際に理系を選択する女性が少ない背景に、世間のイメージが大きく影響していると語る。女子学生へのアンケートでは、多くの人が教師や親、メディアから理系進学に対してネガティブなイメージを押しつけられた経験があると回答している。また女性自身が性別役割として、女性は理系の職業に向いていないと考えてしまう人も多いのだという。

「理系関係への就職や進学が女性には向いていないと考える女性が、若年層の間で多いというデータが出ています。さらに男性側もそのように考えているという状況です。このような現状を踏まえて国でも取り組みを進めていこうとしています」(大崎さん)

科学の道に進んだきっかけは「実験の楽しさ」

授賞式後に行われたパネルディスカッションの様子 左から、Gender Action Platform 理事の大崎麻子さん、日本ロレアル ヴァイスプレジデント、コーポレート・アフェアズ&エンゲージメント本部長の楠田倫子さん、慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任助教のジョゼフィーヌ・ガリポンさん、東京大学大学院 工学系研究科化学生命工学専攻 教授の野崎京子さん、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 研究員の小川由希子さん。

授賞式後に行われたパネルディスカッションでは、野崎さんをはじめ慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任助教のジョゼフィーヌ・ガリポンさん、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 研究員の小川由希子さんも参加。サイエンスの道に進んだ理由についてモデレーターの大崎さんから問いかけられると、3人とも「実験が好きだから」と回答。自身で研究を進める過程が楽しかったことが科学の道を選んだきっかけだという。

「私は、子どものときから研究者になりたいと考えていたわけではありませんでした。幼少期から何かを作ったり、考えたりすることは好きだったのですが、実際に研究者を目指したのは、自分の手で研究を始めた大学4年生のとき。その頃から、本当に研究にのめりこんでしまいました」(小川さん)

学生の頃に科学者になることを考え始めたという3人だが、日本では高校生の段階で文理選択が行われるため、周囲の環境やイメージからなんとなく文系を選んでしまう女子学生が多い。ガリポンさんは「もっと早い段階で科学に触れてもらう機会が必要」と語る。

「私も、大学4年生になるまで研究室で実験をすることはなかったのですが、取り組み始めると、結果を見て仮説検証するプロセスが楽しいと気づきました。でも実験してみるまではそれがわからない。学生はもう少し早い段階で研究室に入って、実験に加わってもいいのかなと思っていますね」(ガリポンさん)

「普通」に囚われなくていい

日本ロレアル ヴァイスプレジデント、コーポレート・アフェアズ&エンゲージメント本部長の楠田倫子さん 「女性研究者をキャリアの一つとして選択できるよう支援する」と語る、楠田倫子さん。

ジェンダーギャップやステレオタイプの話題になると野崎さんは、「『女性が研究者で大丈夫? 』という声は以前からありました。でも世間が持つ『普通』を跳ね除けられたのは、自分の研究が好きであることと、普通ではなくてもいいと思えたこと」だという。また「研究者も普通の職業。誰もが目指していいキャリア」と小川さん。

「どうしてもメディアが作るイメージだと、研究者に女性が少ないということもあって、少し変わった人が研究者になると思われるかもしれません。でも私自身は平凡な方ですし、取材を受けると『思ったよりも普通なんですね』と言われることが多いです。たとえ自分のことを普通だと思っていても、研究者になれるということを伝えたいですね。自分の手で実験をしてみて、新しいものを見つけることは非常に楽しいことです。ぜひ一緒に未知の領域に挑戦しましょう」(小川さん)

最後に日本ロレアル ヴァイスプレジデント、コーポレート・アフェアズ&エンゲージメント本部長の楠田倫子さんは、「女性科学者を増やすには、若年層への働きかけが必要。周囲の圧力を気にせずに女性が生きられるよう支援したい」と語った。

「科学領域で女性の研究者を増やすことは、ジェンダー平等の観点だけでなく、科学そのものにとってもよい発展につながると考えています。日本では同調圧力もあって好きなことを極めるということが難しい場合があります。だからこそ科学が好きな女性がいれば、科学を職業にできるよう支援をしていきたいと思います」(楠田さん)

各分野で進むジェンダーイクオリティ。今回の授賞式では、女性科学者たちの新しい可能性が垣間見えた。女性研究者がキャリアの選択肢として当たり前になる未来が訪れることを期待したい。

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画像提供:日本ロレアル

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