これからどうなる?就活ルールの廃止が学生に与える影響とは

キャリマガ / 2019年5月7日 11時0分

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2020年卒を最後に就活ルールを廃止することが2018年9月に発表されました。
ここではそもそも就活ルールとは何か?就活ルール廃止が学生の就活にどんな影響を与えるのかなどについて詳しく解説していきます。

そもそも就活ルールとは

就職協定

日本ではじめて就活ルールが定められたのは、日本が戦後復興から高度経済成長期を迎えた1953年。本格的な人手不足の時代を迎え、優秀な人材を求める企業の新卒採用はどんどん早期化。学生が学業に専念できなくなることを危惧した大学側の要請で、大学・日経連・文部省・労働省を中心とする「就職問題懇談会」により採用活動ルールを定めた就職協定が設定されました。

就職協定では「企業の採用活動開始は4年生の10月から」と定められていましたが、大企業を中心に優秀な人材確保を目指す多くの企業が協定を無視。早いところでは3年生後期の段階で選考開始するなど、協定の有名無実化が問題となりました。こうした協定破りの行為に対して、一定のペナルティは設けられていましたが、もっとも厳しいものでもメディアでの社名公表に留まったため抑止力とはなりませんでした。

就職協定撤廃、新たに倫理憲章の制定

1996年、日経連(現在経団連に統合)より「協定と実態の乖離」「通年採用の一般化」「Webを活用したリクルーティングの定着」などを理由に協定の抜本的な見直しが提案され、最終的に協定は廃止し「企業側が定めた倫理憲章=就活ルールを企業・大学が相互尊重する」という新ルールが定められました。

倫理憲章において内定開始は卒業年10月1日以降と明記されましたが、外資系および経団連非加盟企業に対しては拘束力がなく、採用活動早期化の歯止めとはなりませんでした。これに対し経団連は2003年・2013年に倫理憲章改定を行いましたが、採用早期化を是正するにはいたりませんでした。

就活ルール廃止へ

2018年9月、就活ルールが形骸化して久しいこと、通年採用の必要性が増していること、そして経団連新会長の改革路線を理由に正式に就活ルールの廃止が決定。これを受け日本政府は、今後は政府主導の新たな方式を作ることを発表。2021年春入社に関しては現行ルールを維持し、2022年春入社以降については「未来投資会議」にて新ルール制定のための議論を重ねていくとしました。
しかし、経団連による「就活ルール廃止」のインパクトは大きく、今後は企業ごとの独自スケジュールによる採用が一斉にスタートし通年採用に近い形になることが予測されています。

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就活ルールの廃止が意味するものとは?

2021年卒においては現行ルールを維持するという政府の方針が発表されたものの、採用活動早期化の動きは加速すると見られています。経団連が定めた就活ルールは、その効力が経団連加盟企業に限定されていたたため、外資系・ベンチャー・IT系を中心とした経団連非加盟企業は独自の採用スケジュールにて採用を行い、優秀な人材を早い段階で確保していました。これまで優秀な人材確保において出遅れ感のあった経団連加盟企業は一気に採用スケジュールを前倒しすることが予想され、大学1・2年生を対象にしたインターンシップ開催などを検討する企業も少なくないようです。

採用は長期化する

新卒一括採用というスタイルは終身雇用・年功序列の日本型雇用慣行のもとで守られてきたものですが、近年の人材の流動化やグローバル人材観の定着など日本人の価値観の変化とともに実態にそぐわないものとなってきました。

近年人手不足傾向が強まり、企業が優秀な人材を確保するには「早期活動開始」と「予定数を確保まで長期継続」が必要となり通年採用が一般化すると予想されます。

就活ルールの廃止が学生に与えうる良い影響

就活ルール廃止による学生にとってのメリット

通年採用の一般化で選考の機会が増える

就活ルール廃止により企業は独自スケジュールでの採用活動を行えるため、採用活動のピークが分散されることになります。これにより、選考を受けることができる企業数は増え、内定のチャンスが増すかもしれません。

不本意な採用のリスクが軽減できる

採用の長期化により、納得した就活を進めることが可能となります。「不本意な就活」の要因は準備不足が圧倒的な要因ですが、採用の長期化により時間的な余裕が持てるはずです。

早期内定で有意義な学生生活が過ごせる

早い段階で内定を得ることができれば、入社後に備えての資格取得や海外留学など自己研鑽に充てる時間が増えるため、よりスキルアップして入社することが可能です。

時間的余裕はあっても、スタートは早めに

採用長期化により時間的な余裕が生まれるのは確かですが、早目のスタートと万全な準備は必要です。企業側としても優秀な人材は早目に確保したいというのが本音ですので、余裕を持ちすぎてはいけません。

就活ルールの廃止が学生に与えうる悪い影響

就活ルール廃止による学生のデメリット

学業に専念する機会が奪われる

早期に就活がスタートし、長期間就活に専念すると学業が疎かになるリスクがあります。「単位未修得で留年」ということになっては本末転倒。学業と就活のバランスに注意しましょう。

内定後に志向が変化するリスク

就活開始当初は大手を志望し、2年生の段階で意中の企業から内定を得たとします。しかし、その後ベンチャー志向が強まり「数年後の起業も視野に入るようになった」としたらどうでしょう。これではやりたいこととのズレが大きく、早期退職のリスクが高まります。

ダラダラと就活を続けてしまうリスク

採用が長期化しても内定が出やすくなるわけではありません。目標を立て、きちんとスケジューリングした就活をしないと、延々と就活を続けることになりかねません。選考機会が増えるというチャンスを生かし、有意義な就活を心がけましょう。

自身のキャリアはじっくり考えよう

早ければ大学1年から本格的な就活がスタートすることになるわけですが、内定をもらうことに焦る必要はありません。まずは将来ビジョンが明確にすることを軸にし、じっくり企業研究を重ね「自分のやりたいことの発見」に努めてください。

人材コンサルティング専門家の見解【就活ルール撤廃後の就活の変化】

新卒一括採用という雇用慣行は日本独自のものであり、高度経済成長期の終焉までは機能していたと言えます。バブル経済崩壊、リーマンショック、失われた10年を経て日本人の価値観そのものが大きく変化し、人材は流動するのが一般的となりました。こうした時代の変化に対し、欧米型の通年採用へ移行しようとする動きは必然であると考えます。

就活ルール廃止後の就活の変化

廃止後の動きとして予測されるのは、採用スケジュール前倒しが顕著になるであろうということと、就活生の負担増です。過去の例を見ると、採用力の高い大手・有名企業の場合、早期にインターンシップに名を借りた「学生の囲い込み」を有名大学に限定した形で行うなどして優秀な人材を確保してきましたが、こうした傾向は強まると思われますし、早期内定者に対し誓約書の提出を義務付け、内定後の活動を制限することも考えられます。

これまで示した通り就活ルール廃止にはメリットもデメリットもあります。選考機会の増加は学生サイドには大きなアドバンテージとなり得ますが、長期化する就活は学生生活との両立において大きな負担となるため、就活そのものに疲弊して脱落してしまう学生が増えるかもしれません。

長期的にキャリアを捉える視点が重要

近年、第二新卒者は新しい採用マーケットとして確立されており人材の流動化が進むなかで、新卒入社者が早期退職でキャリアチェンジを図ることも極めて一般的となっています。つまり長期的なキャリア観こそが重要で、仮に不本意な就活だったとしてもいつでもチャレンジし直すことが可能であり、就活の結果によって将来が決まるわけではないということを念頭においてほしいと思います。

就活ルールの廃止は学生にとって少なからず影響がありそう

就活ルールの廃止は学生にとってメリット・デメリットの両方が考えられます。長期化が予測される就活ですが、学生生活との両立を第一に考え、のめり込み過ぎないよう注意しましょう。

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著者:平野輝樹

フリーランスライター
1989年リクルート入社。情報誌の企画・制作業務に携わる。
2001年フリーランスとして独立。現在は企業向けに人材採用・教育、広報関連のコンサルティング業務と各種メディアでのライティングを行う。
1965年生まれ・52歳 栃木県在住

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