年間来場者数800万人!地元密着のレジャー施設・刈谷ハイウェイオアシスのあゆみ【注目の地方企業#5 前編】

キャリマガ / 2019年4月2日 11時2分

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就職活動でおろそかにできない企業研究。就活サイトや口コミなど、インターネットにはさまざまな情報があふれています。そんな中、誰もが知る大手企業や都市部の企業にばかりに目が向いてしまっていないでしょうか。

ユニークな取り組みを行っている優良企業は、実は全国各地にあります。そんな見落としがちな地方企業にフォーカスする本企画。今回は、愛知県・岐阜県・三重県をつなぐ伊勢湾岸自動車道(新東名)にある複合施設「刈谷ハイウェイオアシス」の運営会社、刈谷ハイウェイオアシス株式会社を訪ねてみました。

刈谷ハイウェイオアシスは、単なるサービスエリアではありません。ホテルラウンジのような高級感ただよう「デラックストイレ」をはじめ、地元の名物が食べられるフードコート、新鮮な魚介や野菜が買える産直市場、さらに安価で楽しめる遊園地や天然温泉を併設したテーマパークのような存在です。2014年には、国内テーマパークの来場者数ランキングで、東京ディズニーリゾート、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に次ぐ第3位と報じられ、話題になりました。

そんな刈谷ハイウェイオアシスは、どのような企業が運営しているのでしょうか。同社取締役・管理部長の石川博一さんに伺ってみました。

サービスエリアを旅の目的地に――新しいことにチャレンジする事業

旅行客が増える休日はもちろん、平日も地域住民をはじめ、子どもからお年寄りまで幅広い利用者でにぎわう刈谷ハイウェイオアシス。しかし、立ち上げ準備中の2004年当時における世間の認識は、サービスエリアは旅行や仕事で車移動をするときの通過地点に過ぎず、トイレや食事休憩に立ち寄る場所に過ぎませんでした。

「ただのサービスエリアを作っても、地元への観光客は増えないし、お金も落ちません。何か新しいやり方はないだろうかと考え、創業者たちがたどり着いたのが、『地元の人に愛される地域密着型の複合施設』というコンセプトでした」(石川さん)

このコンセプトはさまざまなところに反映されています。その一例が、観覧客500人を収容できるオアシスステージの無料貸出です。

f:id:hito-contents:20190401170454j:plainステージと音響設備が無料利用できるオアシスステージ

レジャー施設のステージといえば、戦隊モノやアイドル、お笑い芸人などの有名人を招いた集客が一般的です。しかし、刈谷ハイウェイオアシスのオアシスステージは無料で借りられるため、近隣の小学生のダンススクールや吹奏楽団の発表会にも使われているのだとか。

「例えば、お子さんがダンスの発表会があれば、ご両親と祖父母の3世代が集まります。そうなると『せっかく久しぶりに集まったんだし、何かおいしいものを食べよう、公園もあるし遊んで帰ろう』という流れになるんですよ。最初からそれを狙ったわけではないのですが、自然とそういう循環が生まれましたね」

スタート当初こそはなかなか利用者が集まらなかったものの、今ではリピーターが増え、4月から10月の土日のステージ予約はほぼ埋まっているそうです。

さらに土日だけではなく、同サービスエリアは平日も子供連れの利用者が少なくありません。これは『トヨタ自動車』のお膝元・豊田市のすぐ近くという、刈谷市周辺の地域柄が関連しています。

「トヨタ自動車や関連企業で働く方のなかには、夜勤の方も少なくありません。そんな夜勤帰りの家族が昼間の自宅でゆっくり休めるよう、親御さんはお子さんを連れて刈谷ハイウェイオアシスに来て遊ばせたりするんですよ」

気になる入場料や駐車場料金は、なんと無料。さらに遊具も自由に使うことができ、ゴーカートやメリーゴーランドなどの有料アトラクションも50〜100円などしかかからず、非常に安価に設定されています。

「当然、利益は多くありません。しかし、『刈谷ハイウェイオアシス、楽しかった! 今度、一緒に行こうよ!』と、来場者のみなさんが言ってくれています。そして、温泉施設やフードコートなども含め、リピーターとして何度もご利用いただいているんですよ」

f:id:hito-contents:20190401170653j:plain100円で乗れるゴーカートやメリーゴーランドは、子どもにも人気

まずはお客さまの目線に立つことが大切

そのほか、ついついリピートしたくなってしまうユニークな取り組みは各所に用意されています。特にオープン時から大きな話題になったのがデラックストイレ。来場者に、非日常感を楽しんでほしいという思いから作られました。

f:id:hito-contents:20190401170807j:plain初期投資1億2000万円、3回のリニューアルを経て総工費2億円を超える

女性用トイレの内装は高級感ただよう絨毯敷き。中央には、国産家具メーカーのカリモク家具のオーダーメイドソファが置かれています。トイレであることをすっかり忘れてしまうようなエレガントな雰囲気から、当初はトイレ内のソファスペースで食事をとる人もいたのだとか。

また、「母と赤ちゃんの部屋」や「母と子の部屋(親子トイレ)」など、子連れにうれしいスペースも。そのほか、パウダールームや更衣室、喫煙室と、利用者のさまざまなニーズに応えた空間づくりをしています。

f:id:hito-contents:20190401170943j:plainフードコートやおみやげコーナーにも、東海地域のものが並びます

サービスエリアの主役といえば、やはりフードコート。こちらでは、流行のグルメから東海地区の名物までバラエティに富んだメニューを用意しています。インテリアはカリモク家具のオーダーメイド家具や絨毯を導入し、ヨーロッパの雰囲気を演出。さらにテラスにも約100席も併設しました。こちらは、こちらはやはり、ペット連れの来場者に大人気となっているようです。

「ペットは店内に入れないため、テラス席ではペットと一緒に食事したり、読書をされたりするお客様が多いですね。犬はもちろん、オウムや九官鳥を肩に乗せた方や、ブタを散歩させている方もいらっしゃいました。ペットを連れているお客さん同士の交流も自然と生まれているようです」

そのほかの施設も充実。産直市場「おおしすファーム」には新鮮でお手頃価格の魚や野菜が並び、連日多くの地元住民が訪れています。そして、約40種類のえびせんべいの試食・販売を行っている「えびせんべいの里」は観光客にも人気です。また、刈谷市初の天然温泉施設「かきつばた」は足湯も完備し、ドライブ途中の休憩にも。

f:id:hito-contents:20190401171106j:plain刈谷市初の天然温泉施設「かきつばた」。屋外には、運転の休憩にうれしい足湯も

このようなユニークな取り組みをする理由はどこにあるのでしょうか? 「利潤をいきなり追求しているわけではなく、まずはお客さまの目線に立つこと」と石川さんは話します。

「これだけの施設に投資していると、早く回収しないといけないだろう、利用料をとったほうがいいんじゃないかと言われることもあります。しかし、私たちの発想はそうではありません。ご来場いただいたお客さまに、まず設備の良さに感動してもらいたい。そうやって何か珍しくて面白い経験をすると、自然と口コミで評判が広まっていくものなんですよ」

独自の取り組みや地元密着の発想が評判を呼び、さまざまなメディアからこぞって取材され、さらに来場者が増えて評価がうなぎのぼりになるという正のスパイラル。広告費をほとんどかけず、その分の費用を来場者に還元してきた経営戦略が見事にハマった好例ではないでしょうか。

飽きられないよう、さらなる変化を目指し続ける

徹底した利用者ファーストを貫いてきた刈谷ハイウェイオアシス。交通の要所として、地元で今後どういった展開を考えているのか、最後に質問してみました。

「ずっと同じものを提供していては、そのうち利用者に飽きられてしまうでしょう。これまでもデラックストイレやフードコートの改装をはじめ、ご来場いただける皆さまの変化を捉えてきました。これからも、思わず何度も立ち寄りたくなるような場所として、変化し続けたいと考えています」

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これだけ変化の激しい時代において、旅の通過点では終わらない地域密着のレジャー施設であり続けるにはどうすればいいのか。利用者に喜んでもらう場を作る仕事の大変さはもちろん、やりがいや情熱を感じるインタビューとなりました。

後編では、就活生が気になる社員採用や社員育成について伺ってみましょう。

《後編に続く》

 

取材・執筆:小澤志穂 編集:鬼頭佳代(ノオト) 撮影:かとうなをこ

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お話を伺った方:石川博一さん

刈谷ハイウェイオアシス株式会社 取締役・管理部長。愛知県出身。1980年、カリモク家具へ入社。その後、2004年に刈谷ハイウェイオアシスオアシスに次長として入社。2016年より現職。

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