就活生は有価証券報告書をチェック!業界研究で周りと差をつけよう!

キャリマガ / 2017年10月26日 12時0分

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「業界研究」はインターネットや会社四季報、新聞などを活用します。ただ、同じ会社の志望者も同様の媒体を使用している可能性は高く、大きな差はつきません。周りと差をつけるには、「有価証券報告書」の活用をお勧めします。

業界研究でも役に立つ有価証券報告書とは?

有価証券報告書とは、企業(上場企業)が株主へ情報公開するために作成する財務上の報告書のことです。就職活動生への提案資料ではありません。証券取引所に上場する企業に対し投資の判断材料とするために公開する資料として作成します。株式会社で最も意見が尊重されるのは「株主」です。専門用語で、これを「コーポレートガバナンス」といいます。コーポレートガバナンスを実現させるための手段として、情報開示体制の確立が求められます。有価証券報告書は情報開示体制のひとつにあたります。

この中には「売上」は「利益」といった企業にとって最も大切な情報を記載することも定められています。最近ニュースでよく耳にする「粉飾決算」は、この売上や利益を事実と乖離した数字を掲載すること。株主尊重の考え方において、決して許されることではありません。法律としても定められており、有価証券報告書違反は、経営者の逮捕や企業への上場廃止などで厳しく罰せられます。

有価証券報告書は、各会社のホームページ(IRページ)で入手できるほか、会社が定期的に開催する決算発表会で入手することができます。

業界研究で有価証券報告書をチェックした方がいい理由

業界研究で有価証券報告書を活用するメリットについて考えてみましょう。繰り返しになりますが有価証券報告書は就職活動生に向けた内容ではなく、株主や投資家に対する内容です。つまり、現時点の報告はもちろん、「将来性」について認識することができます。これは就職活動生を対象にした会社説明会では得ることのできないものです。ライバルと差をつけるためにお勧めです。

また、有価証券報告書をチェックすることは、現時点の会社の状態を確認することに加え、数年後に会社がどのような方向に向かっているかを確認することができます。まだ売上には出ていないけれど、今後の主力となる可能性が高い新規事業についても、有価証券報告書からチェックすることができます。そして、これは就職活動生向けの資料「のみ」で企業研究をしている周りのライバルにはなかなか真似のできないものです。

ただ、活用するにあたってひとつ注意点があります。参考にしている有価証券報告書を作成したのは、採用担当者とは異なるにせよ、その企業の方ということを念頭に置くという点です。いざ面接という時に、企業の方が作った有価証券報告書の内容を表面でなぞっただけの分析や、就職活動とは関係ないネガティブな評価を口にすることは、採用担当者に悪い印象を与えてしまいまう恐れがありますので注意するようにしましょう。

【初級編】有価証券報告書を活用した業界研究の方法

では具体的に、有価証券報告書を活用した業界研究の方法を考えてみましょう。題材として取り上げるのは日本を代表するコンビニエンスストア、セブンイレブンです。セブンイレブンは単独では上場しておらず、イトーヨーカドーなどとともに「セブン&アイHD」として上場、有価証券報告書を発表しています。そのため、セブンイレブンについて調べたい場合は、コンビニエンスストアの事業部分を見ます。最新の、平成29年3月から5月までの第一四半期決算報告書をチェックします。

まず本業の収益である営業利益について。前年、平成28年の四半期売上1兆3947億円から、1兆4680億円に増加しています。本業の売上、および費用の管理が順調であることが示されています。ここに営業外収益と営業外損失を加えた経常利益も、8,238万円から8,361万円と増加傾向にあります。なお、注釈を見ると、アメリカからコンビニエンスストア事業を買収し、あらたな発展の礎として取り組んでいることが読み取れます。このような事例は成果が出るまで入社資料などには反映しないことが考えられます。まさに有価証券報告書をチェックしているからこそ、他のライバルは得ていない、掴むことのできる情報です。

【中級編】有価証券報告書を活用した業界研究の方法

更に同社の有価証券報告書を見ていきましょう。「キャッシュフローの分析」を読み解くと、まさに就職面接に活用できる情報が網羅されています。

まず言及しているのは「セブンプレミアム」です。2017年、プライベートブランドのさきがけは10周年を迎え、コンビニエンスストアは「価格が高いが早く買える」から「オリジナルの商品を購入できる」に変わりました。第一四半期におけるセブンプレミアムの売上は3,050億円と、前年比と比べ107.4%と順調に推移しています。一方で海外コンビニエンスストアの売上減少にも触れています。海外においてセブンイレブンは「後発」であり、既存のコンビニエンスストアモデルとどのように差を詰めていくかが大きな課題としてあります。前項の買収は、ここに関わってくるのです。

また、コンビニエンスストア事業以外も読み飛ばしてはいけません。たとえばセブン銀行やグループ統合ECサイトである「omuni7」は、銀行ATMの設置などコンビニエンスストア事業にも深く関わってくる部分です。これらの現状も理解しながら、なぜセブンイレブンに就職したいのかを面接で伝えることができれば、周囲の就職活動生と大きな差となります。

【上級編】有価証券報告書を活用した業界研究の方法

これらの推移が何よりも読み取ることができるのが「数値」です。セブンイレブンの有価証券報告書から見てきたとおり、企業の実績を数字から読み取ることができます。

最近は就職活動生に向けた説明会の資料などでも、業績を報告する会社があります。それは就職活動生(の親も含め)から信頼を得るにあたって、とても大切なことです。ただ、説明会の数字は「抜粋」されています。それは悪意のあるものではなく、会社案内の限られた時間の中で提供できるいっぱいともいえます。

報告書をチェックすることは、その時に抜粋された情報から会社の実情、そしてこれからを研究することです。周囲の就職活動生と差をつけるばかりではなく、企業の面接官サイドにとっても、「そんな情報まで抑えているのか」とプラスにとって貰える可能性が高いです。インターネット時代、有価証券報告書は各企業のIRページで確認でき、費用のかかるものでもありません。

今回の記事はコンビニエンスストア業界の代表的なセブンイレブンの有価証券報告書を確認しました。同じコンビニエンスストア業界でもほかに上場している会社がありますので、複数の企業を確認することで「業界研究」に活用することができます。

有価証券報告書は業界研究を掘り下げるツール

企業にとって、株主への説明資料として作成する有価証券報告書。いわゆる会社の「現在地」を網羅した資料は、入社する学生にとっても重要な資料でもあります。かつ、まだ就活の資料として活用している人は少ない。業界研究を掘り下げるツールとして活用するようにしましょう。

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企業研究のクチコミ・掲示板 - みん就(みんなの就職活動日記)

著者:工藤 崇

FP-MYS代表取締役社長兼CEO。
ファイナンシャルプランナー(FP)として教育費やライフプラン、キャリア構築の相談に関わる。WEB執筆における連載多数。
資格学校勤務経験、公務員セミナー講師経験あり。

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