家族介護者を支える仕組み作り−名古屋市瑞穂区の取り組み vol.6

けあZine / 2014年12月12日 7時0分

瑞穂区発のオレンジカフェ。第三弾は名古屋の文化でもある喫茶店を舞台にした『オレンジカフェモーニング』。開催のねらいは、瑞穂区内でも学区を絞り込み、その地域に住んでいる方を対象に、なじみの地域資源を活用して、自然体でその地域に住む方々のつながりの輪を深めて広げていくことを目的としている。

朝の短時間だから参加できる人がいる

 オレンジカフェモーニングは、瑞穂区内の2学区を中心に町内会長や民生委員などの地域の顔役、その地域を担当しているケアマネジャーらを通じて呼びかけを行った。会場はその地域にある喫茶店で30ほど席があり、その一角を貸していただく形だ。昼間に時間の取れない人を対象に、短時間参加できるカフェとして5〜10名の参加を見込んでいた。

 この企画を考えたのは、実際にお仕事をされているある介護家族の方だ。「ふだんは仕事でまず行けないが、朝のこの時間なら何とか参加できるから、開催してくれればぜひ参加しますから」と声をかけてくださったのがきっかけだ。参加人数は少ないかもしれないが、今までつながれなかった方と知り合ういい機会になれば、という期待を抱いて開催に臨んだ。

第1回オレンジカフェモーニングの概要

開催日

平成26年11月19日



場所

瑞穂区内の喫茶店



開催時間

8:00〜10:00



内容

8:00〜30分ほどモーニングを食べながら隣席の方と懇談を楽しむ

8:30〜30分ほど認知症についてのミニ講座。『わたしの手帳』を活用して「認知症の当事者の気持ちを理解してあげられる人になろう」をテーマに話をする

その後、専門職もテーブルに加わりテーブルごとに座談の輪を拡げ交流する







参加費

一人350円(モーニング付き)





想像を超えた出席者数。開催の成果が新しい発見と気づきに

 開催当日、我々の想像を大きく超える出来事があった。一番の驚きは参加者の数である。当日スタッフの数を含め37名、一般参加者だけで22名の方が訪れてくれたのである。会場を提供してくださったお店の全席が埋まる状態で、一般のお客様からも関心を持っていただくことができた。これだけの参加者が集まったのは、声をかけてくださった一人一人のおかげである。それと同時に、地域の方の関心の高さも伝わってきた。

 喫茶店というなじみの空間で開催した点も功を奏し、自然に会話が弾み、話が盛り上がって、参加者同士の交流を図ることができた。通常、このような会ではまず講座等があり、その後交流会になってからお菓子や飲み物が出る。しかし、今回は、先にモーニングを食べて小腹を満たし、リラックスした状態で始めることができたので、ミニ講座に集中しやすい環境が自然と生まれたようだ。また、講座の所要時間も30分前後で集中しやすかった点も評判がよかった。

 以下は、参加した皆さんの声である。

参加者の声より(一部抜粋) よかったと思う点 ミニ講座がよかった。わかりやすく「認知症」を学ぶことができた。知っているようで知らない話を聴くことができた。実姉が認知症で少しでも対応の仕方がわかったような気がした

知らない人とも会話ができてよかった

飲み物があって会話も自然に出てくるから、思っていることが自然に話せて、身構える必要がない

なごやかな雰囲気でよかった

コーヒーのサービスで始まってとてもよかった。香りを楽しんでお腹もふくれ、皆が生き生きして見える

いろんな方と認知症についての意見交換できた

皆さんの日ごろの介護の話が聞けたこと



今後企画してほしいこと 介護体験談も聞いてみたかった

薬との関係も知りたい

「わたしの手帳」の活用法について

私たちの年代は介護・旅行・年金に興味がある

ミニコンサートでもよいと思う

座ってできる体操などもあるとよいのでは

相続税の話なども今後はお願いしたい



その他のご意見 家族の方の認知症への理解はもちろんだが、地域の方々の理解(浅くても良いので)が必要だと思った

席はくじ引きか、途中でシャッフルするしてもよいのでは

モーニングセミナー・休日の午後セミナーを開いてほしい。仕事の都合上ですみません

少し時間が早いと思う

この会合をもっと普及してほしい。PRをお願いします

今後とも企画してほしい。次回もよろしくお願いします

定期的にモーニングを行うといいと思った。少しずつ輪が広がると思う

ここで定期的に開催してほしい

次回は主人も出席させたいと思う



今までつながれなかった人に「想い」を伝えたい・・

 オレンジカフェナイトと同様に開催時間は2時間。早朝にもかかわらずこれだけ多くの方の参加があり、このモーニングのプロジェクトが、参加者からも「継続していくことに価値がある」と評価をいただくことができて、成果となった。

 早朝の時間帯に開催して何がよかったのか? 参加者の立場や状況によって異なると思うが、ふだんこのような会に参加したことのない人が参加できて、新鮮な気づきや新しい人のつながりを得る機会を持つことができたことではないだろうか。「またこういった場所で開いてほしい」という要望もあり、「次回は家族や知人を連れて来て、輪を広げたい」という声も多くあがった。

 今回のオレンジカフェモーニングは、私たち家族介護者支援チームが日ごろ願っている、「頑張っている家族の方々へ、今まで届けられなかった情報や声を伝えたい」という支援者としての想いを伝えることができた点が大きい。地域の住民の皆さんが声を掛け合い、つながるという感覚が、実感できた瞬間でもあった。

 オレンジカフェのプロジェクトは、啓発する場をつくることではない。カフェはあくまでも目的達成のための手段・方法であって、真の目的は、支援を受けるということに対するハードルの高さや誤解を解き、いままで正確な情報が伝わっていなかった方に、想いと声を届けることにある。それは支援者自らが直接投げかけるよりもむしろ、口コミの輪を広げ、水面に投げた石が波紋を広げるように、多くの参加者から伝わるほうが確実である。

 私たちの投じた想いは少しずつではあるが浸透し始めている。この波を一時的なものに終わらせないように、継続的に続けられるように、これからの取り組みをすすめていきたい。

けあZine

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