乳がんと闘うアーティスト グランパスの選手から思いがけないサプライズ 乳がんを公表し周囲の変化に「発信してよかった」

CBC

名古屋を拠点に活動する2人組バンドQaijff（クアイフ）。

2016年から名古屋グランパスのオフィシャルサポートソングを担当しています。

2023年4月、ボーカルの森彩乃さん（35）が乳がんであることを公表しました。

（Qaijff　森彩乃さん）「5月2日、初めての抗がん剤治療、点滴終わりました」

（ガッツポーズお姉さん　城所あゆねさん）「お久しぶりです」
（Qaijff　森彩乃さん）「お久しぶりです」

グランパスの曲を歌い、病と闘う森さんの今の思いを、グランパスサポーターを代表して「ガッツポーズお姉さん」で知られる城所あゆねさんに聞いてもらいました。

（城所あゆねさん）
「先日、乳がんを公表されて素直に私驚いたんですけど、どんな異変が？」

（Qaijff　森彩乃さん）
「普段全くやらない筋トレを２月末にやっていたんですよ。腕を上げるトレーニングの時に、胸のあたりが突っ張る感じするなと。数日それが続いて」

その異変の正体は、乳がんのステージ２。
およそ1年半にも及ぶ治療が必要だと診断されました。

（Qaijff　森彩乃さん）
「『怪しいから大きい病院で検査しましょう』って言われた時は、恐怖で震えて泣けてきて」

ライブで歌いながら、過去の自分に励まされる

乳がんと診断された数日後、元々予定していたライブで森さんは過去の自分に励まされることになりました。

（城所あゆねさん）
「4月にライブがあったと思うんですけど、ライブのパフォーマンスはどんな思いで？」

（Qaijff　森彩乃さん）
「所々自分たちの歌 歌ってて、今まではそんな風に思わなかった歌詞が、今の自分で自分に『ガンバレよ』って歌ってるような気持ちになって」

［4月1日東京ワンマンライブの様子］
♪Qaijff「だって」
歌詞：わたしはわたしをやめられない
どうあがいたって何者にもなれやしないの
わたしがわたしを愛さなきゃな　誰よりも
間違いじゃないって証明したいのさ

（Qaijff　森彩乃さん）
「所々は自分の病気のことを考えて、自分でちょっとグッてきちゃったりとかしながらやりましたね」

予定していたライブを全て終えたQaijffは森さんの乳がんを公表。
抗がん剤治療開始まで2週間を切っていました。

（Qaijff　森彩乃さん）
「もうすぐ初めての抗がん剤治療があるんだって時に、結構不安になってきちゃって 怖くて」

そんなとき森さんの元へ、グランパスから試合観戦の招待がありました。

（Qaijff　森彩乃さん）
「『言葉にならない』ってこのことだって思って」

7年余りグランパスを歌でサポートし続けてきた森さん。
招待された4月の湘南戦では選手会長の森下選手が中心となって、試合後、観戦する森さんへ横断幕を掲げました。
選手たちからのサプライズでした。

（グランパス　選手会長　森下龍矢 選手）
「森さんに届いてくれたらいいなって気持ちでグラウンドみんなで周っていましたけど、選手一人一人、Qaijffさんも含めて、クラブ全体が一つとなってグランパスだと思うので、本当に「仲間」っていう気持ちでいます」

Qaijffの2人はその後ピッチに連れられ、選手と記念撮影。
森さんの目には涙があふれていました。

（Qaijff　森彩乃さん）
「こんな機会をもらっちゃって本当にありがたいなって。なんか言葉にできてないよね。ありがたいしか言えてないんだけど」

（城所あゆねさん）
「ゴール裏にいて『俺らいるぞ』って言ってる人が本当にたくさんいて、森さんの存在、Qaijffの存在はすごく大きいし、本当にファミリーだなって、あの時に私も感じました」

（Qaijff　森彩乃さん）「思い出したら泣けてきちゃった」

（城所あゆねさん）
「それだけグランパスサポーターにとっても存在がすごく大切」

（Qaijff　森彩乃さん）
「ありがたい」

グランパスから大きなエールを受け取った森さん。

乳がんを公表したことで周囲にも変化が「発信してよかった」

また、乳がんを公表したことで周囲の変化を実感しました。

（Qaijff　森彩乃さん）
「私が今回（乳がんに）なったことで、同世代の友達が『健康診断ちゃんと行くわ』とか『がん検診行ってみるわ』って言ってくれたので、そういう意味でも発信して良かったなって」

先月から、森さんは手術に向けておよそ半年間の抗がん剤治療を開始しました。
そのためライブ活動はしばらく休止を余儀なくされますが…

ニューアルバムに向けた楽曲制作を始めました。

（城所あゆねさん）
「今後どんな音楽を届けていきたいですか？」

（Qaijff　森彩乃さん）
「私もグランパスにエネルギーもらってるみたいに、自分たちの音楽が聞いていくれる人のエネルギー、気持ちをガッと動かすものになれたらいいな」

森さんはこれから1年以上病と闘いながらも、ただただ前を向いて、
これから生まれてくる音楽が今度は誰かへのエールとなるように。