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「牛が浮いていた…」 高さ2メートルの壁を越え水が流入 “申し訳ない牛乳”しか出せず毎日1トンを廃棄 大雨で深刻な被害を受けた愛知の農家を訪ねた【大石が聞く】

CBCテレビ / 2023年7月1日 7時0分

CBC

物事の核心に迫る「大石が聞く」。
今回は、6月2日の豪雨で今も深刻な影響が出ている牧場を取材しました。
その被害の実態とは。

(大石アンカーマン)
「こちらの農場は、この高い壁で囲まれています。高さ2メートルはゆうに超えます。しかし6月2日は水がこの壁を越えてきました。そしてこの農場全体を飲み込んでいったんです」

愛知県豊川市にある黄木牧場。

窪地にあるため牧場全体を高さ2メートルものコンクリート壁で囲っています。

しかし6月2日の大雨では、水が壁を乗り越え、牧場全体が水没しています。

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「ここまでは水がついていた」

(大石アンカーマン)
「その上ですか!えー!」

ここで飼育していた乳牛110頭は奇跡的に無事でした。

Q.「牛は大丈夫だった?」
(黄木牧場 黄木俊一さん)
「考えられるのは泳いでいたか。2メートルの浸水なので、さすがに死んでいるかなと思ったが、見に来た時は元気で動き回ってた」

しかし、けがをしている牛も。

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「左の前足かな。けがして腫れている」

また、水と一緒に流れ込んだ土砂で牛舎は埋め尽くされています。

(大石アンカーマン)
「沼地のように泥が。水分をかなり含んでますかね。10センチ以上ありますか」

歩きにくそうな牛。この環境が大きなストレスになるといいます。

(大石アンカーマン)
(泥に足を踏み入れて)「これ結構水分あるよ。うわー。これはね、ちょっとだめだな…」

Q.「足場が悪いと牛にどんなストレスが?」
(黄木牧場 黄木俊一さん)
「まず寝ない。人間でもこんな所に寝たくない。足がずっと濡れた状態になる。そうすると足がふやける。爪がだんだん悪くなる…」

様々な機械も水没で使えなくなり、牛乳の出荷が全くできない状況に

更に牧場内の様々な機械も水没で使えなくなりました。ここでは1日4トンの牛乳を出荷してきましたが、それが全くできない状況に。被害は甚大です。

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「これが牛乳を冷やす機械です」
「(浸水当時は)牛乳が3トンくらい入っていた。(水で)機械が浮いてしまって天井を突き破っている状態」

乳を搾る搾乳機も水没で使えなくなりました。しかし、簡易式の搾乳機を地元自治体から借りて毎日乳しぼりは行っています。

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「牛も搾らないと病気になって、さらに調子が悪くなるので…」

1日1トンほどの牛乳がとれますが…実は、すべて捨てています。

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「今は“申し訳ない牛乳”しか出せないので、捨てるのもやむを得ない」

ケガや泥の中で過ごすストレスから牛乳の質が一時的に下がったからですが、この廃棄には一日10万円ほどかかり、大きな負担となっています。

廃棄に多額の費用が掛かるのは牛乳以外にも…被害額は約1億円

そして、廃棄に多額の費用が掛かるのは牛乳だけではありません。

(大石アンカーマン)
「この棟も水に浸かったんですね」

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「これがエサの(機械の)ほうですね」
「この『夢』という字のちょっと上くらいまで、水が来ている」

エサが入っていた機械も水没。
中の配合飼料15トンや草36トンの廃棄に400万円。

エサを牛舎まで運んでいた機械も使えなくなり、従業員が、毎日1トンものエサを手で運んでいます。

(従業員)
「結構重いです。20キロ以上あるので…」

(大石アンカーマン)
「エサも牛乳も全部自動だったのが、それが手作業に…」

さらに深刻な被害が…

(黄木牧場 黄木俊一さん)
「こっちも全部水につかってしまって、従業員が取ってはいるが、まだ上の方に多少ゴミは残っている」

牛のふんから堆肥を作り、それも商品として出荷していましたが、水に浸かったことで文字通りすべてがゴミに。

(大石アンカーマン)
「本当はこんなふうに、水は貯まらないですね?」
(黄木牧場 黄木俊一さん)
「堆肥化して乾いていれば、こんなことにならない」

たい肥とフンを全て廃棄するには、実に1000万円もかかるといいます。

牛乳が出荷できず、売上が立たない中でのしかかる多額の廃棄処理費用。機械の修理費も含めると被害総額は約1億円に上る見込みです。

今回の水害を受けて、周辺の牧場を見回っている獣医は…

(NOSAI愛知 杉浦正則 獣医師)
「ストレスがかかったとき、出荷する基準で、乳の成分の中で異常乳が出ることがある。実際に出荷するときに、検査がクリアできるかが心配」

完全復旧には、1年近くかかるという中、黄木さんは…

Q.「エサ代も高い、光熱費も高い、経営圧迫の中のこの大打撃でしょう。やっていけますか?」
(黄木牧場 黄木俊一さん)
「やれるところまでやって牛を守ってあげたいという気持ち。辞めるのは簡単ですけどね」

2023年6月15日放送 CBCテレビ「チャント!」より

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