元官僚の寺脇研、前川喜平が企画した映画『子どもたちをよろしく』が初上映

シネマトゥデイ 映画情報 / 2019年8月26日 13時13分

『子どもたちをよろしく』が初上映!

 元文部科学省官僚の寺脇研、前川喜平が企画を務めた映画『子どもたちをよろしく』が25日、大分県由布市湯布院公民館で開催された第44回湯布院映画祭の特別試写作品として上映された。この日は出演者の鎌滝えり、村上淳、速水今日子、片嶋一貴プロデューサーも参加した。

 『戦争と一人の女』『バット・オンリー・ラヴ』に続く寺脇研プロデュース作品第3弾となる今作は、北関東の地方都市に住む中学生たちが、いじめ、貧困、DV、育児放棄などで追い込まれてしまうさまを描く問題作。長谷部安春監督、澤井信一郎監督らに師事し、松田翔太、新垣結衣が出演した映画『ワルボロ』で初監督を務めた隅田靖が監督・脚本を務めた。

 本作は隅田監督およそ12年ぶりの監督作となる。また、企画として元文部科学事務次官の前川も参加しており、「この作品は、中学生のいじめと自殺、その裏にある家庭の問題をリアルに描いている。とても重い映画。しかしこれは現実だ。この現実に一人でも多くの人が気付くことが大事なのだ」というコメントを寄せている。

 映画の完成に「過去に2本作った映画もそうだが、自分が観たい映画を作っている。わたしとしては世の中の悲惨さから目を背けない、こういう映画を観たかった。だから自分としてはこの映画を観ることができたので満足です」と寺脇プロデューサーが語れば、隅田監督も「観終わった後に、皆さんが重苦しい雰囲気になることはわかっていた。考えてほしいような群像劇になっています。暗い映画だったとか、皆さんで話し合っていただける映画になったので非常に満足しています」と語るなど晴れやかな表情を見せた。

 劇中に登場する子どもたちは、親のせいで苦境に追い込まれる。特に村上演じる辰郎は、アルコールに溺れ、家族にDVを振るい、娘に性的暴行をしようとするなど、ひどい父親像として強烈な印象を残す。「そんな男の役のオファーに躊躇(ちゅうちょ)はなかったのか」と質問された村上は、「(3人の女性を暴行して殺害する男を演じた)『戦争と一人の女』に比べたらそんなでもないですよ」と笑いつつも、「この話のオファーをいただいた時も、寺脇さんからのオファーだから普通の役ではないだろうとは思いました。きっと社会的に問題提起をする作品だろうと思いましたし、誰かの強い熱量を具現化するために俳優は存在すると思っていますから」と付け加えた。

 また、ギャンブル依存症で育児放棄する父親を演じた川瀬陽太。夫・辰郎からの暴力から目を背ける女性を演じた有森也実といった役者陣も、子どもたちに真剣に向き合うことができない大人たちを熱演している。

 湯布院映画祭での反応も非常に良く、「映画が暗いのではなく、教育の現場が暗いんだと感じた。映画はそういったことを乗り越えようとする意志を感じた」「子どもたちの現実を考えてほしいということだろうと思った。でも考えるだけでは駄目だろう。では自分に何ができるのだろうかと思った」といったコメントが続々と飛び出すなど、作品が問いかける問題提起をしっかりと受け止めている様子の観客たちだった。(取材・文:壬生智裕)

映画『子どもたちをよろしく』は2020年公開

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