ニコラ・フィリベール監督、河瀬直美と12年ぶり再会

シネマトゥデイ 映画情報 / 2019年10月10日 23時16分

奈良から駆け付けた河瀬直美監督と、11年ぶりに来日したニコラ・フィリベール監督

 ドキュメンタリーの名匠ニコラ・フィリベール監督が、新作映画『人生、ただいま修行中』の公開を前に11年ぶりに来日し、10日、都内でトークイベントを行なった。イベントには、10数年来の親交があるという河瀬直美監督も奈良から駆けつけ、本作の見どころや「意外に似ている」と互いに認める製作スタイルについて、笑いを交え、熱く語り合った。

 フランスで200万人を動員し世界的ヒットになった『ぼくの好きな先生』(2002)や『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(1990)などで知られるフィリベール監督。前作『かつて、ノルマンディーで』以来、約11年ぶりとなる本作は、フランス・パリ郊外の看護学校で学ぶ、年齢、性別、出身も異なる40人の学生の150日間を収めたドキュメンタリー。「誰かのために働くこと」を選んだ学生たちが、実習の現場で患者や自分と向き合い、悩み、笑い、苦しみながら成長していく姿を追う。

 「看護学校」を題材にした作品にちなみ、白衣で登場したフィリベール監督は「舞台に白衣で出るのは、今日が初めてです。僕に注射して欲しい人、手を挙げてください」とジョークであいさつすると、「今日は(河瀬)直美さんが、わざわざ会いに来てくれました。再会に感激しています」と上機嫌の表情。1997年の第50回カンヌ国際映画祭で、河瀬監督が『萌の朱雀』でカメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少の27歳で受賞したとき、審査員の一人を務めたのがフィリベール監督だった。

 それ以来の親交という2人だが、本作を観た感想を聞かれた河瀬監督は「若者たちの成長物語ですが、彼らの心の成長の瞬間と、映画の瞬間がリンクしているのは、至難のワザだと思いますね」とコメント。というのも「カメラが日常生活に介在すると、それは1つの脅威になって、日常ではなくなってしまうんですが、本作は、そこにカメラがあるのかというくらい自然に、人々が普段通りの会話をしている。撮る相手とそこまでの関係を結ぶということが、とても大切なんだと思いました」と名匠たる所以を紹介する。

 その言葉に「すごく感動しました」と反応したフィリベール監督。「僕が映画を作るのは、この世界を一緒に生きている他者の方に、一歩近づくことなんです。近づくのは怖いですが、その恐怖心を克服してこの世界を理解したい。いつも迷いながら、学んでいる最中です。カメラがその一歩を踏み出させてくれる。それがわたしの映画です」と自身のモットーに触れた。

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