韓国ドラマ「愛の不時着」なぜヒット?

シネマトゥデイ 映画情報 / 2020年7月12日 5時15分

Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中

 新型コロナウイルスの影響による自粛生活で動画配信サービスの利用者が増え、そこから火が付いたNetflix配信の韓国ドラマ。かつて「冬のソナタ」(2002)が爆発的なブームになった時は、中高年の女性を中心に人気が広がったが、今回はテレビのワイドショーや男性層が中心の経済系メディアも注目し、さらにSNSでの芸能人たちの推し発言も手伝って幅広い層に広がっている。(前田かおり)

 中でも、今年2月23日より配信されて以来、Netflix国内視聴ランキングの上位に常時ランクインしているのが「愛の不時着」。韓国財閥の令嬢で自らも起業家として成功しているユン・セリ(ソン・イェジン)がパラグライダーで飛行中に突風に巻き込まれ、38度線を越えて、北朝鮮へ。木の枝に引っ掛かっていたところをエリート将校のリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)に助けられ、匿われるうちに互いに恋に落ちていくというストーリーだ。

変化する恋の障害

 かつて韓国ドラマといえば、財閥の御曹司との身分違いの恋に、不治の病や記憶喪失が恋の障害になるメロドラマが多かった。今も格差ものは結構存在するが、近年は恋の障害も変化。現代から過去にタイムスリップするなど時空を超えた恋に、幽霊や異星人、ロボットなどとの恋も描かれている。そんな中で、本作は38度線というリアルに存在する障害を設定。恋に落ちてもいつかは離れ離れになる運命だけに、ストーリーが進めば進むほど自然と切なさモードは増し、そんな2人に幸せは訪れるのかと気にならずにはいられない。しかも、北朝鮮と韓国を舞台にして繰り広げられるドラマの中には、財閥の中での後継争いといったドロドロとした愛憎劇があり、主人公たちに対して執拗なまでに嫉妬や恨みを抱く悪役に、意地悪な恋のライバルも登場したり、「韓流ドラマあるある」をたっぷりと盛り込んでいる。その上、北朝鮮からの脱出に、韓国内での追走劇などスリルとサスペンスも満点。男性目線を意識したハリウッド映画張りのアクションまである。実に贅沢なのだ。

 注目は、北朝鮮の片田舎で暮らす人々の日常が垣間見られるという点だ。ドラマでは実際に脱北者への取材などを通して、村で頻発する停電や盗聴、当局による検閲制度の実態を再現したという。どこまでリアルなのかは別としても、セレブで韓国でも豊かな生活を送っているセリの目を通して描かれるジョンヒョクとその部下たちや、近所の主婦たちの表情がイキイキとして、ユーモアに満ちている。つい、現実の北朝鮮って一体……と興味を抱かずにはいられなくなる。

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