技能実習で来日した女性たちの苦悩描く『海辺の彼女たち』新人監督部門に選出~サンセバスチャン国際映画祭

シネマトゥデイ 映画情報 / 2020年9月16日 22時1分

 藤元監督は「それは配給を断る方便だったのかもしれませんが、悔しかったです。その壁を越えるためにも、世界5大映画祭に数えられるSSIFFへの出品を当初から念頭においていて、申請締め切り日に間に合うよう制作スケジュールを組みました」という。

 SSIFF決定の反響は大きかった。フランスなど海外セールス会社から「作品を見せてほしい」という連絡が多数届いたという。その中から中国のワン・ビン監督や想田和弘監督の作品を手がける香港のアジアン・シャドウズとの契約がこのほど成立。今後、同社が海外映画祭や海外配給の交渉を行っていくという。

 渡邉Pは「日本では国際共同製作の助成はあっても低予算のインディペンデント作品の募集枠は少なく、また、海外のような編集費用などの助成はありません。そんな中でどうやってインディペンデントで道を立てられるか。国内だけでなく海外でリクープ(資金を回収)することが重要となるので、SSIFFの参加が起爆剤になればと思っています」と語った。

 SSIFFでは新型コロナウイルスの影響で今年は上映本数を減らし、レッドカーペットなど人が集まるイベントを行わない縮小開催になるが、コンペティションは予定通りに実施。ニュー・ディレクターズ賞は賞金5万ユーロ(約625万円。1ユーロ=125円換算)が監督とスペインの配給会社に送られる。

 ニュー・ディレクターズ部門は1985年に創設され、過去には高橋陽一郎監督『水の中の八月 Fishes in August』(1997)、ローラン・カンテ監督『ヒューマンリソース』(1999)、ポン・ジュノ監督『殺人の追憶』(2003)、奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』(2019)が同部門最高賞に輝いている。(取材・文:中山治美)

第68回サンセバスチャン国際映画祭は現地時間9月18日~26日開催

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