『TENET テネット』ここまで本物!ノーラン究極の実写主義【ネタバレあり】

シネマトゥデイ 映画情報 / 2020年10月10日 20時2分

本当の映像を撮ることにこだわった『TENET テネット』 (C) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

 現在公開中のクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』。撮影から仕上げまでデジタルによる映画作りが主流の中、大型フォーマットIMAXフィルムによる撮影や、CGに頼らない“実写主義”を貫いてきたノーラン監督だが、今作もそんな本物へのこだわりが詰まった作品になっている。(ネタバレを含むので鑑賞後にお読みください)(文:神武団四郎)

 『TENET テネット』のオープニングを飾るオペラハウスでのミッションの後、救出された主人公は、風力発電所の円塔に身を隠す。このシーンはデンマークの港町に建つ、風力発電所で撮影された。ただし塔の内部は撮影機材を持ち込むには狭すぎるうえ、上下の移動手段はハシゴのみ。海上にあるためアクセスにも時間がかかる。スタッフはセットを作るよう進言したが、ノーランは「あのシェイプはセットで再現できない」と現地での撮影を断行した。不可能でない限り本物で撮るというこだわりは、本作の細部まで徹底されている。

 20年前より弾丸が壁から飛び出すビジュアルを思い描いていたというノーラン。オペラハウスや女性科学者による解説、逆行男との格闘、そしてキャットの被弾シーンと“逆行する弾丸”はキーアイテムとして使われた。壁の弾痕が消えゆく様は、おもに逆回転撮影の映像に硝煙や破片を合成して作製。その映像にさらなるリアリティーをもたらしたのが音響効果だ。さまざまな方法を模索したノーランは、逆再生音ではなく、着弾、発射、引き金と各サウンドはそのままに順番を逆に並べて使用。その上から隠し味として逆再生サウンドを重ね、迫力と説得力を両立させた“逆行音”を完成させた。

 逆行の秘密を求めてインドに飛んだ主人公は、高層マンションで暮らす武器商人に会うため、バンジージャンプを利用して最上階へと跳び移る。このアクションは、高層ビルのベランダにケーブル巻き取り装置を設置して、実際に撮影された。クルーは1か月かけて装置の調整やテストを行い、撮影ではスタントマンが逆バンジーでビルへとダイブ。キャラたちの顔が映るカットは、ジョン・デヴィッド・ワシントンとロバート・パティンソン本人が、ケーブルで上空へ跳び上る姿が撮影された。

 主人公が海に落とされたセイターを救うシーンに登場したのが、高速ヨットF50。時速約100キロものスピードで疾走する最先端のレース用ヨットだ。世界最速の怪物ヨットを借りるため、ノーランはレースの開催時期に合わせてスケジュールを調整。撮影はF50実艇のほか、俳優たちが操縦するカットはダミーの船体を高速船で牽引しながら撮影した。わずか数分のシーンだが、ここでもノーランの“一級品”へのこだわりが伺える。

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