カンヌ絶賛!女性監督が世界に向けて女性同士の愛を描いた理由
シネマトゥデイ セレブゴシップ / 2020年11月27日 11時8分
18世紀フランスを舞台に、望まぬ結婚を控える貴族の娘と彼女の肖像を描くために雇われた画家との鮮烈な恋愛模様を描き、第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィアパルム賞を受賞した『燃ゆる女の肖像』。セリーヌ・シアマ監督が、女性同士の恋愛を繊細に描き世界から称賛された本作に込めた想いを語った。
ノエミ・メルラン演じる画家のマリアンヌとアデル・エネルが演じるエロイーズという2人の女性が出会い、恋に落ちていく心の動きを丁寧に辿っていく本作。シアマ監督は撮影を振り返り「実際の恋愛の過程を表現するような撮り方をしています。まず欲望があり、出会いがあり、相手と徐々に近づき、結ばれて愛を生きる、別れがあって愛が思い出に変わる。その全ての過程のテンポを計算して演出しました」と観客が一緒に体験し、没入感を感じられるように工夫したという。振り付けのようにしっかり演出した部分もあれば、演じる2人が話し合って決めた部分もあるといい、そのおかげで「2人の間にあった距離が徐々に近づいていくのを感じました」とシアマ監督が語るように、静かに流れる時の中で2人が交わす視線からは、深い愛の交わりが感じられる。
劇中で描かれた女性同士のラブシーンはただただ美しく、2人の純粋で深淵な愛が伝ってくる。「ラブシーンでは全景を映して、演出としてもそれほど難しくはありませんでした。からみ合うというよりも、お互いを思いやる気持ちをしぐさで伝えるという感じにしました。2人もラブシーンは全体の中では難しくはないと思ったようで、守られている感じがしたと言っていました」
日本では未だに同性愛への偏見があり、特に女性同士の愛は男性同士よりもタブー視されている印象が強い。自身のセクシャリティーについてカミングアウトしているシアマ監督は、そのことについて「それはフランスにもいえることです。女同士だと男の存在というのがないので、男性がのけ者にされているという危機感や、父系制を脅かすものであるといった意味から、あまりいいものと思われていないところがあります」とリアルな現状を明かした。そういった背景の中で、女性同士の愛を描いた理由について「過去にも女性同士で愛し合った人がいることを知れば、もし今同じような思いを抱き悩んでいる人に勇気を与えることができるかもしれない」と悩める人たちへの励ましになりたいという思いと、先入観を打ち破りたいという意味があったからだと語った。
誰かを深く愛した瞬間、忘れられないつらい別れ、それは男性でも女性でも変わらない痛みであることは間違いない。シアマ監督が本作で描いた愛の痛みは、普遍であり、ジェンダーや時代を関係なく誰もが経験するものだ。本作を観て感じる心の痛みを、多くの人たちが同じように受け取ってもらいたい。(取材・文:森田真帆)
映画『燃ゆる女の肖像』は12月4日より全国公開予定
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