インスタ映え写真に夢中な人々は「不謹慎」か!? 神戸ルミナリエ問題の根深さ

citrus / 2018年12月27日 21時0分


産経新聞が『「写真映え」求め迷惑行為 神戸ルミナリエで水まき撮影』なるタイトルの記事をネット配信していた。かいつまめば、


阪神大震災の犠牲者を追悼し記憶を伝えるため、神戸市中央区で12月16日まで開催している光の祭典「神戸ルミナリエ」の会場で、来場者が地面に水をまき散らす迷惑行為をしていたことが12月12日、分かった。十数人が電飾が水面に反射する様子をカメラで撮影していたという。主催する神戸ルミナリエ組織委員会は「犠牲者を鎮魂するのが祭典の趣旨。節度を持ってほしい」と呼びかけている。


……といった経緯である。一部来場者が持参したペットボトルの水で地面一帯に水たまりをつくり、さらにカメラを持った人たちがその水たまりを囲み、一斉にシャッターを切るさまを、現場にいた市民がツイッターにアップすると、


「やりすぎ」

「震災当事者としては気持ちを踏みにじられる思い」


……などの批判が殺到。震災で両親を失い、現在は全国で震災の出前講座などを行うNPO法人「ふたば」の事務長である山住勝利さん(51)は、


「ルミナリエには震災で傷ついた人たちが多く訪れる。被災者の気持ちを逆なでしているようで残念だ」


……と声を落としたという。


じつにデリケイトな問題だと思う。インスタ映えする写真を撮ることを目的に、どれくらいの量の水をまき、実際どの程度の迷惑行為に及んだのかは、現場にいなかった私としてはイマイチ見当がつかないのだけれど、ここまで大新聞社もが騒ぎ立てるってことは、まあけっこう派手にやらかしてしまったんだろう。「(もっと)節度を持ってほしい」という主催者側の願いには、私もまったくもって同感する。


だが、いくら一本の記事に、よりニュース性を加えるためとはいえ、必要以上に「ルミナリエが震災犠牲者を鎮魂する場」であることをクローズアップするのは、ちょっと違うんじゃないか……って気もしなくはない。ディズニーランドでやっても丸の内のイルミネーション前でやっても迷惑行為は迷惑行為──「じゃあ、スカイツリー前だと水をまいてもいいのか?」ってな具合に、「インスタ映えを狙って水をまく行為は迷惑に値する」といった本来の論点がぼやけてしまう危険性があるからだ。


私の実家は大阪府の豊中市という兵庫県寄りの場所にあり、1995年の阪神・淡路大震災では少なからずの被害を受けている。何人かの友人や知人も亡くした。だけど、単純に「きれいな景色が見たい」だとか「美味しいモノが食べたい」……だとかの、そういったある意味「不謹慎」な動機で被災地に訪れる観光客が集まることで経済効果が生まれ、「復興」の一助になったのは、紛れもない事実である。東北の震災でも、一時期の「自粛」ムードによって、観光に来る人が激減した際、被災地から「復興を願うならば観光にきてくれ」といった声があがったと記憶する。


たしかに、ルミナリエには震災で傷ついた人たちも多く訪れる。そこでの被災者の気持ちを逆なでするような行為はもってのほか、無神経この上ない。ただ、どんな想いをもった人でも、たとえ震災の悲惨さを実感できない人でも……「はしゃぎすぎ」に万全の注意さえ払ってくだされば、それはそれでかまわないのではなかろうか。

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