なぜ今、トヨタがラリーに力を入れるのか?【86誕生3年目の魅力 その2】

clicccar / 2014年11月11日 12時23分

11月2日日曜日。
愛知・新城市では、新城総合公園をヘッドクオーターとした自動車ラリー『新城ラリー』が開催されました。(開催期間は11月1日~2日の2日間)

このラリーでは、競技使用にカスタマイズされた様々な市販車によって争われる全日本ラリー選手権と、トヨタ86とVitzのワンメイクラリー仕様のマシンが参加可能なTRDラリーチャレンジの最終戦が開催されました。

また、トヨタ自動車のお膝元ということで、場内ではラリー競技以外にも様々なイベントが開催され、ラリーに詳しくない来場者でも充分楽しめる工夫がされていました。
その一部を写真でご案内しましょう。

①ラリー車両や競技の場面がが目の前で見られる(しかも無料)
 

新城総合公園内の競技ステージでは、まさに観客の目の前で競技車両がアタックを展開。また、スタート&ゴールゲート前では大観衆に見守られての表彰式も実施されました。この日の優勝は三菱ランサー・エボリューションXで参戦の奴田原/佐藤組が優勝し、年間チャンピオンとして有終の美を飾りました。TRDラリーチャレンジにはトヨタ自動車の豊田章男社長がモリゾウ選手として出場。会場内のスペシャルステージ(タイム計測区間)では激走を披露してくれたのでした。

②世界の歴代ラリーマシンが大集合
 

 

公園内の小高い丘に設定された『ラリー・ガーデン』では、トヨタGAZOO Racingが世界のラリーシーンで活躍した往年の名マシンを展示。博物館の中ではなく、芝生の上に佇むラリーカーは、今にも咆哮を上げながら走り出しそうな雰囲気。ラリーカーを食い入るように見つめるマニアからちびっ子まで、その迫力と美しさを堪能している様子でした。

 
③レジェンド『トミー・マキネン』が新城参戦!?
 

クルマ好きの30代後半以上の方なら誰でもご存知でしょう。
三菱ランサー・エボリューションで世界ラリー選手権のチャンピオンを4回にわたり獲得し、スバルでも活躍したトミー・マキネンさんがこの日のために来日。トークショーやデモランを展開してくれたのです。また、GAZOO Racingはトミー・マキネンさんと共同制作した無料スマートフォンアプリ「TMR × GAZOO Racing Online」を会場で発表&配信しました。

 ④たくさんのブースが展開!

会場内のあらゆる場所に、クルマのパーツメーカーやショップ、自動車ディーラー、ご当地グルメなどの、多くのブースが展開され、ラリーのことがまったくわからない方でも丸一日楽しめる雰囲気がつくられていました。

さて、モリゾウ選手こと豊田章男社長は自らがステアリングを握ってラリーの魅力を伝え、GAZOO Racingはトヨタのラリーマシンだけではなく、メーカーに関わらず世界のラリーカーを集め、宝石のようなそのクルマたちを手の届く距離に展示してくれました。
多くのトヨタディーラーもブース出展し、市販車両を展示することで、競技車両との関連付けがなされていたようにも見えました。

 正直に言えば、全日本ラリー選手権の最終戦にトヨタ自動車が力を入れたところで、それが直接的に費用対効果の意味で成果となって現れることはないでしょう。しかしなぜ豊田章男社長は自らの体を張って、そして多大なる手間と経費をかけながら会社を挙げてこのようなイベントを盛り上げるのでしょうか。

 それはおそらく「クルマ好きをもっと増やしたい」そして「クルマ好きの皆さんに満足してほしい」という、今のトヨタ自動車の思想の現れだと思うのです。

 スポーツカーのオーナーはもちろんのこと、ミニバンや軽自動車のユーザーの中にも、スポーツカーやモータースポーツが好きな人がたくさんいるはずです。また、スポーツカーやモータースポーツのことをあまり知らなくても、こうしたイベントがきっかけで楽しいクルマが大好きになってしまう人がたくさんいるでしょう。

そのような『潜在的クルマ好き』の皆さんにスポーツカーやモータースポーツ活動を体感してもらうこと、それが「トヨタのクルマって面白い!」。いや、「クルマって面白い!」という意識形成につながると、トヨタ自動車は考えているのだと思います。

さらに言えば、それが次世代のクルマオーナーを育てること、つまり日本の自動車文化を継承することになる。
そんな未来を、トヨタ自動車は目指しているのではないでしょうか。

 このような長期的な試みは、トヨタ86の誕生をきっかけに急速に広まっているように感じます。自動車メディアとしても、こうした動きが日本の自動車業界の活性化につながっていると、強く実感しています。
トヨタ自動車は、果たしてこれからどのようなワクワクドキドキするイベントを届けてくれるのでしょうか。そして、トヨタ以外の自動車メーカーは、それに負けじとどんな企画を展開してくれるのでしょうか。

日本の自動車カルチャーの今後がたいへん楽しみになってくるのです。

(ハイパーレブ・プロデューサー 渡辺文緒)

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