【ゆとり世代のチョイ乗り報告】ルックスも乗り味も若者向け!?「ジャガー・XE」に試乗

clicccar / 2015年8月31日 19時3分

高級車は例えるなら美女だ──

容姿端麗なうえに、振る舞いや身のこなしも美しく、その美貌で多くの人を魅了してきました。高級車への憧れは健在で、「メルセデス・ベンツ Cクラス」「BMW・3シリーズ」「アウディ・A4」「レクサス・IS」を中心としたDセグメントは好調です。

ただ、若者のクルマ離れが叫ばれる中では、「今後、高級車は苦戦を強いられるのでは?」とワタクシは予想しています。実際すでにその予兆はあり、プレミアムブランドはオーナーの少子高齢化に頭を悩ませているよう。待っているだけで向こうから言い寄ってきたモテ期は終わりを迎えつつあるのかもしれません。

とはいえ、その状況を甘んじて受け入れることはなく、各メーカーとも新モデルの投入をはじめ様々な取り組みを行なっています。そして今回、イギリスのプレミアムブランド「ジャガー」は、オーナーの若返りを図るべく新たにエントリーモデルとして「XE」を発売したのです。

  

最近の「ジャガー」は、かつてのクラシックな雰囲気を薄めてクール&スタイリッシュな路線へとイメージチェンジを行なったとはいえ、ジャガー=“上品なオジさん向けの高級車”というイメージは依然として強烈で、実際に「XE」を見るまでは一抹の不安がありました。

ところが、目の前に佇む「XE」のルックスはジャガーの新世代モデルの中でもスポーツカー「Fタイプ」に次ぐほど若々しい。

獲物を狙い澄ましているような鋭い眼光や、シャープで伸びやかなフロントとグッと力感が詰まったリヤが合わさった躍動感あふれるスタイリング。ボディサイズも4680×1850×1415mmと大き過ぎないのもポイントで、獲物にとびかからんとする際に身体にグッと力を溜めているかのよう。このエネルギッシュなルックスはむしろ若者が乗ってこそ絵になりそう。

早速乗り込むと、インテリアもこれまでとは雰囲気が違っています。

メタルやピアノブラックパネルの加飾が施されたインパネは、ブラックのカラーリングと相まってスタイリッシュな印象を強調。さらに、ダイヤル式シフトセレクターがせり上がってくるのも先進性を感じさせます。しかも夜間にインパネ周辺が鮮やかなブルーとレッドに光り輝く演出付き。

もちろん、高級車特有のボディを境界に内と外が完全に分け隔てられる感覚は健在で、明らかに大衆車では味わいない世界が広がっています。

この味を知ってしまったら……もう後戻りできませんね。例えるなら、良い電化製品に触れた後に、それまで使っていたモノでも問題が無いと思いつつも、どこかにモヤモヤが残る感じです。

  

今回借りたのはラインナップ中で最も刺激的な「XE 3.0S(769万円)」。

スポーツカーの「Fタイプ」にも搭載される3.0L V型6気筒スーパーチャージャー(340ps/450Nm)を収め、8速ATと組み合わされます。

2000rpmほどで変速するので、室内への音の侵入は少なく、フツーに流す分には室内は静か。力感はもちろん十分で、ドシッとした重厚感もある乗り心地からは「XJ」や「XF」で熟成を極めた味が「XE」にもしっかりとあることが伝わってきます。

そんなサラブレッドが見せる新しい味がコーナリングです。

アルミニウムを75%以上使用したボディは、1710kgと数値上では目立った軽さは見受けられませんが、走り出すと腰から上が明らかに軽いことが分かります。重量バランスを前後50:50としたことも効いていて、4輪が均等に路面を捉えている感覚も強い。フラットな姿勢のままステアリングを切った方向に素直に向きを変えるドライビングフィールからすると、ライバルは「BMW」なのでしょう。

ただ、工業製品的なカッチリとした味付けの「BMW」に対して「ジャガー・XE」は生物的。とくに走行中のクルマの動きの変化についての情報は「XE」の方が豊かで、コーナー外側前輪に掛かる荷重や加速時の後輪への力の増し具合などが鮮明にドライバーに伝わってきて、まるで自分の足で大地を蹴っているような錯覚を得ます。手元のパドルシフトで低いギヤを選んだ時に轟く咆哮も良いアクセントに。

若々しいデザインと乗り味をもつ「XE」に乗っていると、これまで縁遠いと思っていたジャガーが、逆に最も若者向けではないのかと思わせます。

実際、「ジャガー」はブランドイメージの変革は顕著で、プロテニスプレイヤーの錦織 圭選手をアンバサダーに起用するなど、若年層への積極的なPRが目立ちます。

「XE」の導入でラインナップを強化して体制を整えたわけですが、やはりプレミアムブランドのディーラーには近寄りがたい雰囲気があり、試乗はもちろんクルマを見ることさえ覚悟が必要……。

そうなると、例えばメルセデス・ベンツ コネクションのような気軽にブランドに触れられる場所はありがたいですね。

いかにしてブランドの味を知ってもらうか。これまでとは逆に、ガツガツと積極的なアプローチを掛けるブランドが次世代のプレミアムの覇権を握るのではないでしょうか? 「ジャガー」の次なる肉食系の1手が気になります。

とはいえ、まずはこの美女が似合うように自分を磨かねば……

(今 総一郎)

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