【メルセデス・ベンツ C180試乗】1.6Lターボとは思えない上質なエンジンフィール。超一級品のドライバーズカー

clicccar / 2019年3月20日 11時3分

2018年9月にマイナーチェンジされた最新型CクラスのC180に試乗しました。

現行モデルが販売開始されたのが2014年、今回、6500カ所もの部分に改修が施され、フルモデルチェンジに近い進化を遂げました。クルマは、約30000点もの部品で作られていますので、およそ「5分の1」は見直したことになります。

これ程の大変更は、国産車のマイナーチェンジではまず考えられません。どのメーカーも「新型Cクラスが出たら必ずベンチマーキングをおこなう」くらいに、Cクラスは常に高い完成度を誇り、世界中で高い評価を得ています。

果たして、この「世界中が注目するCクラス」の最新型は、どういった長所・短所を持ち合わせているのか、元自動車メーカーのエンジニアの視点で見ていきます!

ちなみにAVANGARDE(アバンギャルド)とは、「ノーマルに比べて豪華・快適装備を与えたモデル」という意味です。無印のC180は税込4,490,000円、C180 AVANGARDEは4,890,000円ですので40万円ほど価格はアップしますが、無印のC180だと、本革シートや電動チルテレ、木目調インテリアなどの、内装の仕付けが省略されたシンプル版(しかも受注生産)になってしまいますので、Cクラスの真価を味わうには「AVANGARDE」が賢い選択です。


■ 良い点① 上質でスポーティ、センスの良さが光るデザイン!

メルセデス・ベンツに限らず、高級車メーカーは「ラインナップの上から下まで顔面統一」がここ数年でさらに進んでいます。このCクラスも、上位のEクラスやSクラスと、本当に良く似たフェイスデザインをしています。全長と全幅は違いますが、ぱっと見ではほぼ区別が付きません。

しかもこのデザイン水準は、最上位のSクラスに合わせた「高品質化」が進んでおり、以前は言われていた「Cクラス=廉価ベンツ」なイメージは一切ありません。ボディサイズも大きすぎず、セダンとして非常に扱いやすい小ぶりサイズ感であることも長所です。

さらに注目は「センスの良さが光るインテリア」です。ステアリング、各種コントロールスイッチ、メータ表示、ナビゲーション、シート、内装の皮張り、センターコンソールの木目デザインなど、ほぼ「ミニSクラス」と言ってよいほど、「質感」が高いのです。他メーカーでは、クラスが下位のモデルになるほど、時には戦略的に「プラスチッキーで安い内装」となり、分相応のクオリティにしてしまうことが多く、これほど作り込まれているのは珍しいです。決して差別をしないメルセデス・ベンツの意気込みには「感動」すら覚えます。


■ 良い点② 最先端の安全制御システム

最新の「インテリジェント・ドライブ」も非常に扱いやすく、快適な移動ができるよう、ドライバーを手助けしてくれます。ステアリングアシストも含む「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付)」は、高速道路だけでなく街中や郊外路でも、ステアリングに手を添えているだけで、クルマが自動で前走車との車間維持をし、走り続けることができます。ステアリングから手を離すことは「まだ」できませんが、自動運転へと大きく近づいた印象を感じました。

「インテリジェント・ドライブ」の設定&解除は、ステアリング上にあるスイッチで操作ができます。スマホの様に「フリック操作」ができるタッチスイッチは、スマホに慣れた方にとっては「直感的」に操作できるはずです。他にも、フリック操作では運転中についついいじりたくなってしまう操作が割り当てられています。ナビ画面のスクロール移動や、経路確認といった簡単な操作に絞って設定されており、運転時の集中を切らさないように考え抜かれた良い点でした。


■ 良い点③ 「走る」「曲がる」「止まる」オールマイティで運転しやすい

「クルマなんて動けばよい」なんて言う方でも、このCクラスに乗れば、きっと「抜群に運転がしやすい」と感じることができるはず。それくらいこのCクラスは「運転に関係するすべての操作が楽」なのです。

「走る」に関して、1.6L直噴ターボのエンジンは特別速い印象はありませんが、一般道を流すようなシーンや、高速道路の巡行、追い越しであっても、必要十分な動力性能を持っています。組み合わされる7ATは、一切のシフトショックは出ず、とても滑らかに加速をしていきます。もっとパワーが欲しい「アグレッシブな方」は、上級の1.5L直4直噴+モーターを積むC200や、モーターを組み合わせた怒涛のトルクを発生するディーゼルエンジンのC220dをお薦めしますが、そんなモアパワーの必要性を感じないほどに優秀なエンジンです。

「止まる」に関しても、必要十分かつ「なんて扱いやすいことか」と改めて感動させられます。サスペンションは、どちらかというと柔らかめのセッティングなのですが、ちょっと意地悪してハードなブレーキングをしても、ボディがつんのめって傾く量も少なく、いつでも安心してブレーキングができます。

「曲がる」に関して、C180 AVANGARDEは、「キビキビとしたスポーティなクルマ」では決してありません。ステアリング操舵に応じて「すー」と緩やかに曲がっていく、滑らかなステアリングフィールを持っています。現代のステアリングフィールの流行は、駐車時などの低速走行では操舵力を軽く、スピードに乗ったら操舵力を重めにしてステアリング中立付近にハンドルが戻りやすくなる様、どのメーカーも設定をしています。Cクラスは、この設定加減が絶妙で、大変やりやすいのです。

そのため、直進性も抜群によく、決してフラフラとしたハンドルにはなりません。しかも、最小回転半径が同クラスの中でも小さく、小回りがしやすいので、駐車時などの切り返しも非常に楽です。ハンドリングマニアでなくても、「すぐに身体へなじみ、扱いやすいハンドリング」は、体感できるのではないでしょうか。


■ 良い点④ 低ロードノイズによる快適性の高さ

C180は同じカテゴリのクルマの中でもロードノイズが特に小さく、100km/h程度で走行中でも、「サー」という小さめの音がわずかに聞こえる程度で、とても心地が良いです。「運転しても疲れない」ためには「ロードノイズ」などの「雑音」が少ないこと。高級車(高額車)であるほど遮音材や吸音材を大量に投入して車室内の静粛性を上げるのですが、クルマが重たくなり燃費は低下しますし、クルマのコストも上がってしまいます。

クルマの価格や燃費を優先するユーザーにとっては、「静粛性」をはじめとした「動性能」にコストをかけるよりも、クルマの値段を1万円でも下げてほしいという意見があるのも確かですが、メルセデス・ベンツは、元来クルマが持つべき役割である「AからBまで快適に移動すること」を、「超」が付くほど真面目に実現させ続けてきました。このC180でもそれを体現して見せてくれたことは、非常に好印象です。


■ あと一歩:なかなか慣れないダイヤル方式のスイッチ…(魅力ポイント★★☆☆☆)

最後まで慣れることが困難だったのが「センターコンソールのダイヤル方式の操作」です。センターコンソールの前方にあるダイヤルは、手のひらを下にしてパッドの上に手をのせた状態で、指先でダイヤルを回し、ナビやオーディオ、この他の設定を行いますが、どうしてもその操作の仕方がなじめませんでした。

スマホやアプリは、直感的な操作で雑に扱ってもどうにかなることがありますが、このCクラスの操作ダイヤルは、雑に扱うと「自分が何をしているのか、何をしたかったのか」、探っているうちに分からなくなることがありました。また地図表示を「ノースアップ(北を上にした地図表示のこと)」に変更することすら、手間取ってしまうくらいナビ設定画面の階層が深くて、難しかったです。

Cクラスをオーナーとして所有するのでしたら、じっくりと向き合うこともできるとは思いますが、それでも操作に慣れなければ、諦めることになるでしょう。

ドイツのアウトバーンでは、古いベンツに乗った年配のご婦人が180km/hで走っていることもあるそうです。綺麗に舗装されたアウトバーンだから、そのご婦人が凄いから、といった理由だけではなく、そうした走りが出来るほどに「クルマの走りに関する性能が高い」のです。

日本の有名な自動車評論家の皆さんも、自ら購入してオーナーになる程にCクラスはその絶対性能が認められております。ど派手な外装やあっと驚くエンジンパワーなどは「AMG」グレードに花を譲ってはいますが、このベーシックなC180の性能は侮ることなかれ。「AからBまで快適に移動する」ことを実現している、「超一級品のドライバーズカー」といえると思います。

(文:吉川賢一/写真:鈴木祐子)

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