【自動車用語辞典:ブレーキ「ABS」】タイヤのロックを防いで制動力を確保する仕組み

clicccar / 2019年7月16日 17時35分

■ ■ポンピングブレーキを自動で行う

●大半のクルマが装着済み

急ブレーキや滑りやすい路面でブレーキをかけると、タイヤがロックして制動力や操舵性が機能しなくなり非常に危険です。このタイヤロックを回避するのが、ABS(アンチロックブレーキシステム)です。

安全走行のための基本的な装置であるABSの仕組みや効果について、解説していきます。

●なぜABSは必要性か

走行中のクルマが制動力を発揮するためには、タイヤの回転が適正に制御されなければいけません。例えば、雪や氷、雨などによって滑りやすくなった路面を走行する場合、強くブレーキペダルを踏み込むとすぐにタイヤがロックしてスリップしてしまいます。

制動中に「タイヤロック」するとタイヤが回転しなくなり、路上をスリップするだけで制動力も操舵性も機能しなくなります。クルマはそれまで進んできた方向にスリップしながら進むだけです。後輪だけロックするとスピンしてしまいます。

このようなタイヤロック状態を回避するためには、ドライバーはいったんブレーキを緩めてタイヤを回転させ、ロックが解消したらまたブレーキを踏み込む、いわゆるポンピングブレーキをする必要があります。

●ABSの役目

ポンピングブレーキは、クルマの挙動をみながらペダルの踏み込み量を調整する必要があるため、普通のドライバーにとっては簡単ではありません。このポンピングを自動で行うのが、ABSの役目です。

ABSが機能すると、タイヤのグリップ力が弱まることなく制動力が回復し、操舵機能が保持できるのでクルマを安定して制御できます。クルマのスリップを意識することなくブレーキペダルを踏んでも、ロックすることなく安全に減速しながら車を制御できます。

●制動停止距離が延びることも

ABSが装備されているからといって、必ずしも制動停止距離が短縮されるわけではないことを認識しておく必要があります。多くの場合、制動停止距離を短縮する効果もありますが、砂利道や未舗装路、新雪の道路などでは逆に制動停止距離が延びることがあります。

●ABSの構成

ABSは、コントロールユニットと油圧制御用アクチュエーター、各車輪の回転速度センサーで構成されています。

回転速度センサーは、各タイヤのスリップ率を算出します。

アクチュエーターは、マスターシリンダーとホイールシリンダーの配管途中に取り付けられます。内蔵のソレノイドバルブによって、各タイヤの回転速度センサー(タイヤロック状況)の情報に応じて、油圧の増減(ポンピング)を行います。

具体的な作動は、次のようになります。

急ブレーキ(ブレーキペダルを強く踏み込む) → タイヤスリップ検知(タイヤの回転減少) → アクチェーターによって制御油圧の減圧(制動力低下) → 制御油圧の増圧(制動力強化)

この制御油圧の減増を瞬時(数ミリ秒)に繰り返して(ポンピング)、タイヤロックすることなく安定した制動が実現されます。

●振動や作動音がしてもペダルを踏み続ける

ABSは、通常のブレーキでは作動せず、相当強く踏み込まないと作動しません。したがって、ABSの作動を実感したことのある人は意外と少ないかもしれません。ABSが作動しているときには、ペダルや車体にガクガクした振動やガガガガといった作動音が発生します。

振動や作動音がしても、そのままブレーキペダルを強く踏み続け、ハンドル操作に集中することが大切です。

今やほとんどのクルマがABSを装備しており、非装着車が多かった頃のように「急ブレーキ時にはポンピングブレーキをしましょう」という指導は、教習所でも積極的にはしていないようです。

ドライビングテクニックによらず安全が確保できることは非常に良いことですが、最低限クルマの機能を理解しておくことは重要だと思います。

(Mr.ソラン)

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