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足元の氷が割れて命の危機!冷静さと判断力が生死を分ける〜「夢を追う男」冒険家、人力車夫・阿部雅龍【木曜インタビュー、ただしイケメンに限る】vol.2

ココロニプロロ / 2018年4月19日 15時0分

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足元の氷が割れて命の危機!冷静さと判断力が生死を分ける〜「夢を追う男」冒険家、人力車夫・阿部雅龍




日々、忙しく過ごしていると身も心も疲れちゃいますよね。「もうしんどい」「何もしたくない」そんな女性のみなさんに最高の癒しのご褒美=イケメンのインタビューをお届けします。

しかも、そんじょそこらの、やわなイケメンではありません。登場するのは酸いも甘いも噛み分けた「大人のイケメン」ばかり!

毎週木曜日は、ココロニプロロ編集部が厳選したイケメンたちの人生や仕事・恋愛にまつわるお話に耳を傾けてみましょう。そこにはあなたの恋や仕事に活かせるヒントが隠れているかもしれません。



■氷が割れて命の危機!生き残るためにとった行動は?

第3弾は、プロの冒険家で人力車夫の阿部雅龍さん。情熱系イケメンの登場です。

とあるパーティーで熱いスピーチをしていた彼に、目が釘付け! 前人未踏のルートで南極を冒険するという、桁違いにスケールの大きな計画に心が躍りました。

まぶしい笑顔にサムズアップ(親指を立てる)ポーズ。阿部さん、いろいろとお話を聞かせてください!


Q.8 白瀬中尉の足跡をたどる南極遠征の実現について教えて


2019年に、100年前の探検家・白瀬矗(しらせのぶ)さんのルートをたどっての、南極点到達を目指しています。僕が冒険家になろうと決意した頃からこのアイデアはありました。いつかやりたいなって。

白瀬さんは同じ秋田の人ですし、小さい頃に彼の本を読んでいて、僕がやらなきゃっていう勝手な使命感を持っています。

彼のルートは人類未踏のルートを含みます。途中、南極の横断山脈という山を越える必要があり、距離も伸びるので難しいんですよね。

難しさの一番の理由は情報が何もないこと。ノーマルルートは何人もの冒険家が行ってるから、どこにクレバスがあるか、どの辺りが危ないかといった情報があるんです。でも、未踏ルートはそういったものがないので慎重にことを運ぶ必要があります。

◎実現のための実績づくり
今年は、白瀬さんの足跡をたどる南極遠征の前段階の冒険をする予定です。ノーマルルートで南極点まで1100キロを単独(1人)で歩きます。途中で食料の補給などを(飛行機から)受けずに行くんです。

この遠征によって、白瀬さんのルートで南極遠征ができるという実績をしっかりとつくり、南極に飛行機を飛ばす会社に大丈夫だと証明する必要があるんです。

Q.9 冒険中、命の危険を感じたことは? 


北極の凍った海の上を、荷物を積んだ100キロ以上のソリを引っぱって歩いてたときに、氷が割れて海に落ちたことがあります。そのときも単独だったので、周りには誰もいません。服をたくさん着てるし、スキーも履いてるので泳ぎにくいんです。

しかも海の流れで足元がひきずりこまれるんですよ。あれは恐怖ですね。
マイナス40度の陸地から水に落ちるので、はじめは温かいんですけど、それから一気に体が冷たくなるため、5分もいれば低体温症で亡くなってしまうと言われていて。

ああいう場面ではいかに冷静でいられるか、が大事ですね。そこでパニックになって溺れてしまう人は、意外と多いんです。



ソリが船みたいに浮かんでいるので、僕はとっさにそこに這い上がりました。這い上がれたのはよかったんですけど、気温がマイナス40度なので、すぐに服が凍るんですよ。

低体温症で意識が飛びかけてたのですが、まずはもう少し厚い氷の上に移ってから、時計を見てかっちり2時間マラソンして、体を内側から温めました。

その後、衛星の携帯電話でイヌイットの村の友人に電話をかけ、ヘリを手配してもらい、ピックアップしてもらってそのまま入院しました。運よく体温があまり下がらなかったので、無事だったんです。

◎冷静さと判断力が生死を分ける
そういう危機に陥ったときには「パニックを起こすな」と自分自身に言い聞かせます。パニックを起こすのが一番、危険なので。瞬時に頭の中で優先順位をつけて、今、自分が生き残るためにできることを淡々とやるんです。1つでもヘマはできません。

あとは状況にもよりますが、せっかくだったら最後まであがいてやろう、という気持ちを忘れないようにしています。あきらめるほうがよっぽど楽だけど、あきらめないことも大事です。

Q.10 冒険中のこと…素朴な疑問


◎日本を離れている間、家はどうしてるの?
今は支援してくれている人の物件に住んでいて借りっ放しです。以前は、冒険に行くたびに引き払ってました。そのときはレンタルの倉庫を借りてものを全て預けて。帰って来たら家もないし、引っ越しもしないといけないしで、結構、大変でしたね。

◎冒険家のビザって?
南極はどこの国でもないからビザがいらないんです。ただ、アメリカと南米の国を通過するので、パスポートは必要ですけど。

北極も、通過する国は必要ですね。例えばグリーンランドを通過するから、そこの税関でスタンプを押してもらわないといけません。

北極点は各国の領土や領海からはずれてどこの国でもないので、正確に言うとパスポートはいらないんです。でも行くためには必要なんですね。

◎特殊な保険があるんですか?
あります。助けが必要なときにヘリコプターをチャーターするお金が補助されるとか、救援者費用とか。ちょっと高くて掛け捨てなんですけどね。でも毎回入ります。
ちなみに人力車も保険に入ってます。あれって実は軽車両なんですよ。



◎冒険している間の連絡手段は?
衛星電話です。それを使うと自分では投稿内容を見られないけど、SNSの更新もできます。今はハブみたいなものがあって、自分のスマホをつなぐと衛星電話として使えるんです。

途中で壊れて連絡が取れなくなると困るので、そのハブを使うスマホと、別の衛星電話と2つ持って行きます。

◎南極などでの栄養補給は?
カロリーをたくさん摂らなくちゃならないから、バターを1パックそのまま食べたり、ミックスナッツを200グラムとか、チョコレートとかを食べます。あとはフリーズドライのものも。1日6000キロカロリーくらい摂りますね。

飲み物は紅茶やコーヒー。普通に水も飲みますけどね。雪を溶かして水をつくるんです。溶かした水は凍らないように、魔法瓶の中に入れています。

◎ルートはどうやって調べるんですか?
方位磁針と太陽と時計で方向を判断します。位置自体は、今はGPSを使えばわかるんです。問題は、北は北極点、南は南極点を指してるわけではないので、その差がどのくらい違うかを考慮しないといけなくて難しいということ。

今だと、コンパスの北をずっと目指していくと、北極点からカナダ側に1000キロくらい離れた所に着くんです。地理的な位置は地軸の上だから変わらないのですが、南極の場合、氷なので、毎年ちょっとずつ変わっています。

磁場は、地球の中のニッケルと鉄が回ることによって発生してるんですね。液体だから不安定で、北極点も南極点も毎年40~50キロ動くんですよ。

◎コンパスの北と南が逆になる!?
ポールシフトという言葉があって、何十万年かに1回、北と南が入れ替わります。今はそれが始まり、コンパスの北がどんどん赤道に向かってきてて、コンパスの南が赤道に来て途中で入れ替わるんです。

だから、何万年か後にはコンパスの北が南を指しちゃいます。その辺の理屈を、ある程度知っている必要がありますね。



阿部さんの長年の夢である白瀬ルートのお話や、冒険時のピンチのことを聞いてきましたが、いかがでしょう? なんだかワクワクしてきませんか?

次回は人力車夫としての阿部さんに迫ります。人力車夫を始めたきっかけややりがいは? そして、去年チャレンジした人力車を引いて日本中を巡る「一宮68箇所人力車参り」とは!?



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