「痩せてほしい」はワガママ? 彼氏があなたの思い通りに動いてくれない理由

ココロニプロロ / 2020年10月23日 18時55分

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ダイエットしてくれない彼氏【ラブホ上野さんのダメ男子図鑑】


「男ってなんでこんな行動するの…」理解しがたい行動ばかりのダメ男子…あなたの身近にもいませんか? ここでは、Twitterで30万人以上のフォロワー数を誇る「ラブホスタッフ上野さん」が、その卓越した人間観察眼を活かして「ダメ男子」たちの本音や生態を分析します!
今回は、ココロニプロロ8周年記念企画として募集したお悩みの中から、彼氏がダイエットしてくれないという女性の悩みに答えていただきました。


■ダイエットしてくれない彼氏
はじめまして。恋愛相談を投稿させていただきます。

私は20代後半の看護師で、付き合って6年目の同棲中の彼氏がいます。

彼はもともと体格の良い人で、付き合い始めの頃は「ダイエットしなきゃね(笑)」と彼に軽く言っていました。年々彼の体型が嫌になり、数年前にダイエットのサポートを試みましたが、彼は私の目を盗んで間食したりしてうまくいきませんでした。

最近は、彼に「痩せなきゃ別れる」と言って、期限と目標体重を設定しジムにも通うように誘導したのですが、週1回、行くか行かないかという状況です。

もともと彼は、運動が大嫌いで、太っていることで困ってないからダイエットの必要を感じないというタイプです。私は、単純に太った見た目にもうんざりですし、話し合いを沢山して「頑張ろうね」と言ったダイエットをサボられるのも悲しく、また彼の忍耐力の無さにもガッカリしてしまいます。

痩せてほしいと願うのは私のただのワガママなのでしょうか。どうすればダイエットを続けて標準体重になってくれるのでしょうか。どうかご教授よろしくお願いします。


■上野さんの回答は…
ご質問誠に有難う御座います。

端的に言って、今のご質問者様の願いはワガママ以外の何物でも御座いません。

とはいえ何も「彼に痩せてほしい」と願うことが悪いというわけではないのです。

ただご質問者様は、交渉の基本を完全に無視して彼に痩せろと言っている。そのことがワガママであると私は思います。


■お願いは全てワガママ
世界の歴史において「条約」の存在は欠かせません。

歴史上のチート国家の1つであるヒッタイトが紀元前13世紀に世界最古の平和条約を結んでからというもの、世界では数多くの条約が結ばれてきました。

日本も1853年のペリー来航以降「日米和親条約」「日英同盟」「ポーツマス条約」「日独伊三国軍事同盟」「サンフランシスコ平和条約」など数多くの条約が結ばれておりますが、世界中で結ばれた全ての条約には1つの共通点があると言えます。

それは”双方にとってある程度の利益がある”というもの。

例えば日英同盟などはこの最たる例でしょう。

1902年に締結された日英同盟は、明治時代の日本の奇跡の1つと言っても過言ではありません。

アジアで急発展を遂げているとはいえ、日本など世界の中で見ればまだまだ小国。そんな小国が全盛期ではないものの、大英帝国とそこそこ対等な条約を結ぶなど奇跡と言っても過言ではありません。

しかしそれはイギリスが対ロシア政策として、日本の力を借りなければならなかったという事情があったからです。一方の日本としても、イギリスのような大国と条約を結ぶことに明確なメリットがあったと言えるでしょう。

このように条約は双方にメリットがなければ決して締結されません。もしどちらか一方に何のメリットもないのであれば、条約は締結されないのです。メリットがないのですから、相手は条約を結ぶはずもありません。


■相手の利益が何もない
それでは今回のご質問に戻りましょう。

ご質問者様は彼に痩せてほしくてジムを契約したり、目標体重を設定したりされているようですが、仮に彼が痩せたとして彼には一体どのようなメリットがあるのでしょうか?

「健康になる」と仰るかも知れませんが、彼が健康にそこまで興味がないのであればそれは彼のメリットにはなりません。私の祖父はタバコが原因による喉頭癌で亡くなりましたが、死の間際でも「タバコを吸うために生きてるのだから、生きるためにタバコを止める選択肢はない」と言ってタバコを吸い続けておりました。

それと同じで「健康になる」というメリットは「健康になりたい人」にしかメリットになり得ません。

また彼の見栄えが悪くて不快な思いをしているのはご質問者様だけ。彼からすればそれが改善されたところで何のメリットも御座いません。

つまりご質問者様は「彼が痩せることによって発生する 自分のメリット」を強く訴えているだけなのです。

例えばご質問者様が車を買いに行ったとして、ディーラーが「これを買ってくれると俺のボーナスが100万になるんすよ」とか「オプションをつけてくれると俺にバックが入るんですよ」と言ったとして買いたいと思うでしょうか?

今のご質問者様がされているのはそれと全く同じで御座います。

ご質問者様は自分のメリットだけで彼にダイエットをしてほしいとお考えのようですが、彼に何のメリットもないのですから、彼がダイエットをするはずもありません。

ところで話は変わるのですが、毎週私の家に来て、部屋の掃除をしていただけませんか?

報酬はもちろん御座いません。交通費くらいは出しましょう。ただ私は嬉しいです。

こんな提案を私からされたとして、ご質問者様が毎週私の家の掃除をするでしょうか?

まずあり得ません。なぜならばその提案には、ご質問者様のメリットが1つもないから。そんな提案で行動をする人間などこの世にはおりません。


■不平等条約なら結ぶことができる
相手にメリットがなければ条約は結べないと言いましたが、歴史上「不平等条約」と呼ばれる条約は確かに存在いたします。

日本で有名なところですと「日米修好通商条約」や「下関条約」などがそうでしょう。歴史の授業で習ったのを覚えていらっしゃるかも知れませんが「関税自主権」「治外法権」など相手国の利益を一方的に奪い取る条約は確かに存在いたしました。

しかし、これもまた見方を変えれば「相手にもメリットがある」と言えるでしょう。

例えば下関条約の場合、日本からの要求を一方的に突きつけた条約なので相手の中国(当時は清)には一見するとメリットが御座いません。

ですがこの時点で日本は日清戦争で清をボコボコにしていましたので、清からすれば「(少なくとも軍事力では)これ以上ボコボコにされることはない」というメリットが御座いました。

つまり「お前を殴る」とか「ボコボコにする」というような脅しもまた、見方を変えればメリットなので御座います。

国家間の条約は、むしろこの脅しによる条約のほうが多いとすら言えるのですが、普通の人間関係で脅しによる条約を結ぶのは避けたほうが良いでしょう。脅しによる条約は当然ですが禍根を残し、相手との関係性に明確な上下を作り出してしまうからです。

今回のご質問者様の場合「痩せなきゃ別れる」というのが明確な脅しで御座いました。

つまり交渉という観点で言えば、今回のご質問文の中で意味のある部分は 「痩せなきゃ別れる」だけであり、それ以外の部分は全てご質問者様にしかメリットのないワガママなものであると言えるでしょう。

しかし交渉材料として唯一意味のあるものが「脅し」というのは、少々危険な状態であると言わざるを得ません。

脅しの交渉が悪いとは言いませんが、脅しの交渉は99%相手に禍根を残します。極端に言えば、ご質問者様のされていることは「浮気を認めてくれなきゃ別れる」と言っているのと同じなのです。

表現は悪くなりますが「相手は自分と別れたくない」と弱みに付け込んだ脅し。彼がご質問者様と別れたくないと思っているかどうかはわかりませんが、ご質問者様がされていることはそういうことだとご理解いただければ幸いです。

■交渉はワガママではない
私はご質問者様が「彼に痩せてほしい」と願うこと自体がワガママだとは思いません。

というより、交渉の時点で言えば違法行為でもない限りどんなものでもワガママではないのです。極端な話「浮気を認めてほしい」でも「凄く特殊なセックスがしたい」でも「家事は全て相手にお願いしたい」でも”そうしてほしいな”と思っているだけであれば、ワガママでは御座いません。

しかし、ご質問者様の交渉方法はワガママであると私は思いました。

勘違いしないで頂きたいのですが、私はワガママが悪いとは思っておりません。ただ相手に要求を飲ませたいのであれば、ワガママな交渉は上手くいかないと言っているだけで御座います。

今のご質問者様がされている交渉はただの「脅し」でしかありません。これまた勘違いしないで頂きたいのですが、私は交渉における「脅し」が悪いともまた思っていないのです。特に「それが改善されないのであれば本気で別れる」とお考えの場合は、脅しは極めて有効な手段でしょう。

しかしご質問者様が彼と別れる気がそこまでないのであれば、その方法は危険な方法であると言わざるを得ません。

成功率は低いですし、仮に上手くいっても禍根が残る可能性が高いのです。

■痩せたら奇跡
少なくとも今のままでは彼が痩せることはないでしょう。

万が一、今のままで彼が痩せたのであれば、恐らくそう遠くない未来ご質問者様は振られることになると思います。何故ならば今の彼が自然に痩せることにメリットを見出すとしたら「他に好きな女性ができて、その女性を口説くためには痩せなくてはならない」くらいのものだから。

確かに、一緒に話し合ったのに裏切られたということに関しては、彼に非があると私も思います。

しかし、その話し合いの最中に彼が何を考えていたかを想像すると、その話し合いは破られるべくして破られる話し合いだったことでしょう。

痩せるメリットが彼にはまるでないのです。そんな状況で彼女から「痩せろ痩せろ」と言われた彼は「うるさいからとりあえず黙らせるために“うん”と言っておこう」と考えていたことでしょう。そんな彼氏様が痩せることなどあり得ません。

彼に忍耐力があるかどうかは現時点ではわかりませんが、仮に彼が忍耐強い人間だったとしても、彼がダイエットをすることはなかったでしょう。

忍耐力が強い人間は「目標のためにコツコツ努力ができる人間」で御座います。しかし今回の彼氏様の場合、そもそもその目標がないのです。痩せるという目標はご質問者様の中にしかなく、彼の中には御座いません。


■メリットを与えるしかない
ご質問者様は看護師ということで御座いますので、人をサポートすることに関しては私なんかよりも何倍も優れた資質をお持ちのことでしょう。

多くの患者のリハビリを手伝い、多くの難病患者を励まし、多くの命を救ったことと思います。それはとても素晴らしく、決して否定できるものでは御座いません。

しかし、今回の場合、そのご質問者様の美徳が裏目に出たと言えるでしょう。

「いいか、患者になおろうという努力の気持ちがあってこそ医者の治療はききめがあるんだ。」

これは、手塚治虫のマンガ『ブラックジャック』の名言で御座いますが、この言葉の意味をご質問者様は考えなくてはなりません。

恐らく多くの患者は「健康になりたい」と願っていることでしょう。ですので、ご質問者様のサポートが効果を発揮したのです。

しかし彼は「痩せたい」という気持ちがそもそも存在しない。それゆえ、ご質問者様がどれほどサポートしようとも彼が痩せることは御座いません。

目標を決めようが、ジムを契約しようが、ダイエット料理を作ろうが、そんなことは何の意味もないのです。それらは全て彼に「痩せたい」という意志があってこそ意味のあるもの。そもそも痩せる気のない人間をどれだけサポートしようとも、彼がダイエットをすることは御座いません。

つまり、今のご質問者様がすべきことは、ダイエットのサポートではなく、彼に「ダイエットをするメリット」を与えることでしょう。


■痩せるメリット
男性が自ら痩せようと思う理由は2つしか御座いません。

1つは健康。肥満によって何かしらの疾患が生まれたとき、人間は痩せようと思うのです。

そしてもう1つは恋愛。意中の女性を落とそうと思った時、男性は痩せようと願うものでしょう。

少なくとも私はこの2つしか男性がダイエットを始める理由を知りません。

しかし今回の場合、この2つのメリットはどちらも使うことが難しいでしょう。

彼の健康を悪化させて生活習慣病にするわけにもいきませんし、彼がご質問者様以外の女性に惚れるようなことがあれば本末転倒で御座います。

ですので、彼が自発的にダイエットに目覚める可能性は、これ以上考えないほうが良いでしょう。何かの間違いで彼がボディビルにでも目覚めてくれれば話は別ですが、恐らくそんなことは御座いません。

そのため、ご質問者様が「痩せるメリット」を彼に提示する必要があるでしょう。再三になりますが、「痩せることで彼にもたらされるメリット」を提示するのであって「痩せると私が嬉しい」というようなご質問者様のメリットを提示しないようご注意くださいませ。

さて、看護師であるご質問者様はもしかしたら「痩せないと将来病気になる」というメリットを彼に提示することを思いつくかも知れません。

確かにそれは彼のメリットでしょう。

しかし、それで痩せる人間がいないことは看護師であるご質問者様自身が一番よく知っているのではないでしょうか?

人間は将来のメリットやデメリットを極めて軽んじる傾向が御座います。ですので、重要なのは今この瞬間。この瞬間にメリットがなければ人間は動きません。

それでは具体的にどうすれば良いか。

ここで、とある女性から言われたたった一言によって、毎日筋トレをするようになった男の実例を紹介させていただきましょう。

その男はもともと筋トレをしているわけでは御座いませんでした。そんな彼はある日、とある女性から

「あれ、上野君って腕太いね。筋トレしてるの?」と言われました。

彼はその時点で一切筋トレをしておりません。しかしその上野のというバカな男は、褒められたことに気を良くしてものの見事に調子に乗り、その日にアマゾンでダンベルを購入し、それ以来筋トレを継続しております。ただしこの男はバカなので、褒められた二の腕しか筋トレをしておりませんが……。

褒めるのです。

彼が痩せたかどうかなんて重要では御座いません。勝手にダイエットをしていることにして、勝手に痩せたことにして「最近ダイエット頑張ってるね」とか「少し痩せた?」と言ってあげてくださいませ。

彼が実際にダイエットを一切していなくとも、一切体重が減っていなくとも、男という生き物はそれだけで簡単に調子に乗るのです。そもそもダイエットをする気がない彼は体重計など乗っていないことでしょう。ですので、適当に「痩せた?」と言っても「そういえば、もしかしたら…」と勝手に想像するのです。

彼が痩せたら褒めるのではありません。

まず先に彼を褒めるのです。

人間にとって「褒められる」というのは間違いなく大きなメリットで御座います。ですので、彼を褒めるところから始めると良いでしょう。

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~お知らせ~
いつもご愛読いただき誠にありがとうございます。『ラブホスタッフ上野さんのダメ男子図鑑』は、諸般の事情により2020年11月からしばらくの間、休載とさせていただきます。楽しみにしてくださっていた読者のみなさまには大変申し訳ありませんが、連載再開をお待ちください。よろしくお願い申し上げます。

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◎プロフィール


ラブホスタッフ上野さん
豊かな知見と人間観察眼をもとにした悩み相談への深みある回答が人気を集め、Twitterのフォロワー数は30万以上を誇る。漫画『ラブホの上野さん』(漫画:博士/原案:上野)の原案もつとめ、書籍は現在4巻まで発売されている。同漫画は2017年1月よりフジテレビ系にて本郷奏多主演で連ドラ化。

★オフィシャルブログ:「ラブホの上野の休憩中」
★Twitter:@meguro_staff


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