【デブサミ2012】16-D-5 レポート iPhoneアプリ開発者座談会2012~エンジニアの将来戦略

CodeZine / 2012年3月8日 14時0分

上原氏が最近取り組んでいるiPhone関連の開発

 本稿では、「Developers Summit 2012」(デブサミ2012)において、2月16日に行われた座談会セッション「iPhoneアプリ開発者座談会2012」の内容を紹介する。

 デブサミでiPhoneアプリ開発者座談会が始めて開催されたのが2009年。その後の3年間でiPhoneアプリの裾野は急速に広がり、同時にアプリ開発を取り巻く環境も大きく変化してきた。そんな中で、iPhoneアプリの開発エンジニアは何を考え、そしてどのような将来戦略を描くべきなのか。本座談会では、さまざまな立場からiPhoneアプリの開発に携わるトップエンジニア4人が集まり、活発な意見交換を繰り広げた。

 本座談会の参加者は、以下の通り。

Appcelerator, Inc. 増井雄一郎氏 株式会社サイバーエージェント Ameba事業本部 川畑雄補氏 フリープログラマー shachi氏 リインフォース・ラボ 上原昭宏氏  なお司会は、株式会社達人出版会 代表取締役/一般社団法人日本Rubyの会 代表理事 高橋征義氏が務めた。

座談会セッションの様子


■最近のiPhoneアプリ開発の傾向と対策

 本座談会はまず、「最近のiPhoneアプリ開発の傾向と対策」というテーマからスタートした。中でも、近年特に目立って出てきた傾向の1つとして、iPhoneとAndroidへの両対応について、さまざまな意見が交わされた。増井氏は次のように述べる。

 「2年ほど前から、iPhone向けにアプリをまずは出して、もしそれが成功したら次にAndroid版を作って欲しいという案件が増えてきている。実際のところは、iPhoneアプリはビジネスとして成立する環境が既に整っているものの、Androidアプリはまだなかなかビジネスとして成り立ちにくいのが現状。しかし、Androidユーザーの数は急速な勢いで増え続けているので、今のうちからAndroidに対応できるようにしておいてほしいという依頼は多い」

 しかし、iPhoneとAndroidのアプリ開発環境はまったく異なるため、単純に両方に対応するとなると倍の工数が掛かってしまう。そこで自ずと、複数プラットフォーム向けのアプリ開発を効率化するためのツールキットが求められてくる。増井氏もこのような動機から色々なツールキットを試し、最終的に行き着いたのが「Titanium Mobile」だった。そして気が付いたときには、同ツールの提供ベンダーである米Appcelerator社で働いていたというわけだ。

 一方川畑氏も、Androidアプリがビジネスとしてはまだ本格的に立ち上がっていないことは認めながらも、やはり対応していく方向に流れは向きつつあると指摘する。

 「iPhoneはiTunesを通じたカード決済の課金システムが整備されているが、Androidは課金システムが未整備であることに加え、ガラケーの延長線上で使うユーザーも多いため、そもそも『アプリをインストールする』という利用法に馴染んでいない面もある。とはいえ、近年のAndroidユーザー数の伸びを鑑みると、今後のスマホアプリは両方に対応する流れになっていくだろう」

 この課金の問題についてshachi氏は、最近iPhone/Android版が登場したソーシャルゲーム「アイドルマスター」(略称「モゲマス」)を例にとって自説を述べる。

 「本来この手のゲームは、携帯電話キャリアの課金システムと一体になってこそ収益が確保できるものだと思われていた。しかしモゲマスについては、iPhone版が出た途端に私の周囲で月10万円以上をつぎ込む人も出てきた。また、その後に出たAndroid版でも同様だと聞いている。つまり、たとえ課金システムの違いはあっても、コンテンツ自体に魅力があれば収益を上げるものは作れるのではないだろうか」

 ちなみに、最近リリースされたiPhoneアプリの中で4人のパネリスト全員が注目アプリとして挙げたのが、発売後あっという間に世界中のApp Storeでランキング1位を獲得したToDoアプリ「Clear」だ。

 「このアプリのUIの動的なインタラクションは、明らかにこれまでにないものなので、ぜひこの場で取り上げたいと思った」(shachi氏)

 「ToDoアプリのように毎日使われるアプリでは、奇をてらったUIは受け入れられない。その点、Clearは独特なUIながらも非常に練られているので、広く受け入れられたのだと思う」(増井氏)

 「こうしたUIを設計できる技術者や、アイデアを承認できるディレクターはまだ日本には数少ないかもしれないが、もともと動的なWebコンテンツを手掛けてきた人であればこうしたUIの開発にも馴染みやすいはず」(川畑氏)



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