JSR-299を利用した依存性注入

CodeZine / 2012年5月23日 14時0分

図9 限定子でExtendDiceを指定した後の画面

 本連載は、Java Enterprise Edition 6(Java EE 6)の導入方法をはじめとして、新導入された仕様や概念を紹介していきます。今回は、JavaEE6の依存性注入の解説と実例を紹介します。

■はじめに

 本稿では、Java Enterprise Edition 6の依存性注入を提供するJSR-299について紹介します。

■対象読者

Java EE 6開発に興味がある方 ■必要な環境

 動作環境は以下のとおりです。

Java SE 6 NetBeans 7.0.1 ■クラス間の依存性とDIコンテナの役割

 アプリケーションを作成する際には、その役割に応じて複数のクラスで1つの機能を作成することがよくあります。一般的なWebアプリケーションで例えれば、データベースに問い合わせを行いその結果を格納するクラスと、これらのデータベースに問い合わせるクラスを選択して制御するクラスがあります。次の図は、ごく簡単な中古本の売買を行うアプリケーションの簡単な例です。

図1 Webアプリケーションのクラス構成例


 中古本の販売と買取を行うDAO(注1)クラスを使ってデータベースへのアクセスを行い、中古本の管理を行います。現在は中古品の売買だけですが、今後は新品の販売処理を行いたいとした場合、新品用独自の処理があると考え、既存クラスへの追加は行わずに新品販売用の処理を行うDAOを新設したいと考えます。



注1
 Data Access Objectの略。ここではデータベースへ処理を実行し、データの受け渡しを行う機能を提供している。



図2 機能追加したクラス構成例


 このように新品販売と中古品販売の処理を分割しましたが、今後もし販売処理に共通する機能変更があった場合には、この例でも2つのDAOを変更を行った上、制御クラスであるControllerクラスも変更する必要が出る可能性が高くなります。このように、変更によってクラス間の変更影響が大きくなる状態を密結合と呼び、アプリケーションの機能変更に対して非常に手間のかかる状態になってしまいます。

 そこで考案されたのがDIコンテナ(注2)と呼ばれる、クラス間の依存性を緩和するソフトウェアです。DIコンテナを導入することでインスタンス生成の処理をJavaのコードから取り除くことが可能になり、変更に対する影響度は低くなることが期待されます。DIコンテナを提供するフレームワークには、例えばSpring FrameworkやSeasar2があります。

図3 クラス間を疎結合にするDIコンテナ




注2
 Dependency Injectionの略。依存性注入の意味。



 先程の中古本を管理するアプリケーションの例に当てはめると、次の図のように新品販売のDAOと中古本販売のDAOに、販売処理に関する共通のインターフェースであるISellDAOを設け、DIコンテナからControllerへISellDAOの型で提供されます。この依存性注入を使うことによって、1つのJavaクラスから他のJavaクラスのインスタンスを生成するコードを取り除くことができます。どのインスタンスを生成するかはDIコンテナ用の設定ファイルに記述します。

図4 DIコンテナを使ってクラス間を疎結合にする




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