バス事故、運行基準の強化だけではダメ!大型バスそのものの安全性向上を!!【松下 宏コラム】【特集・コラム:生活・文化】

CORISM / 2012年5月2日 11時11分

意外と盲点な大型バスの安全性能

最近、大きな交通事故が連続して発生している。中でも関越道でのバスの事故は多数の死傷者が出る悲惨なものになった。

たまたま防音壁が始まる部分に居眠り運転のバスが突っ込むという不運もあったが、大きな事故が発生したときのバスの怖さが改めて明らかになったといっても良い。

乗用車に関しては、安全装備の充実化が進められていて、横滑り防止装置や後席中央の3点式シートベルトが義務化されるなど、目に見える形で安全性が向上している。

また、大型トラックについても、追突軽減ブレーキの義務化の方向に進むなど、安全性の向上が図られている。なのに意外な盲点というか、バスの安全性については目立った動きが出ていない。

大型バスの衝突安全性能をもう一度考え直す必要もある

 4月に三菱ふそうが、安全性を向上させた路線バスを発売したが、これはあくまでも路線バスに限られ、今回の事故のような観光バスは対象ではない。

 安全装備の内容も「ブレーキオーバーライドシステム(BOS)」をクラスで初めて採用したほか、運転席に3点多重感知式「ELR付シートベルト」を標準装備、2ステップ仕様車の客席に2点多重感知式「ELR付シートベルト」を標準装備(最前列シートには3点多重感知式ELR付シートベルトを標準装備)するといった内容にとどまっていて、乗用車に比べるとまだまだの内容でしかない。

 国土交通省の保安基準でも、観光バスの客席は最前列こそ3点式シートベルトを義務付けているが、2列目以降は2点式で良いという形で基準を緩めている。もちろん、乗用車のような横滑り防止装置、大型トラックのような追突軽減ブレーキなどは義務付けられていない段階だ。

 大型の観光バスが100km/hを超える速度で追い越し車線を走っているのを見ると、大型トラックのような速度制限装置もついていないのだろう。

 1000万円級のバスを簡単に壊すわけにはいかないから、バスについてはNASVAの衝突安全の試験も行われていない。大型バスメーカーの社内でどのような試験が行われているかもほとんど伝えられていない。

 多数の乗客を乗せた大型バスで万一の事故が発生すると、今回のように大きな被害につながりやすい。そのことを考えたら、大型バスの安全についても改めて考えるべきではないか。

 取り敢えず3点式シートベルトを全席に装備することから始めて、追突軽減ブレーキを義務化するなど、すぐにでもやれることはいろいろあると思う。将来的には衝突安全ボディを備えた大型バスも考えられるべきだと思う。

【関連記事】

この記事をCORISMで読む→

CORISM(コリズム)

トピックスRSS

ランキング