動画追加! フォルクスワーゲン アップ!(VW up!)新車試乗記 惚れて買え! されば、あばたもえくぼにアップする? クラスを超えた安全装備をもつコンパクトカー【レビュー:VW】

CORISM / 2012年10月17日 14時14分

フォルクスワーゲン アップ!(VW up!)

良いクルマでも高価だったフォルクスワーゲンが、up!(アップ!)の登場で、より身近になった!

 フォルクスワーゲンはゴルフ、ポロで日本車と異なる価値観、性能をアピールして日本市場での知名度は「クルマ好き」の人だけでなく、一般の人にも広がり販売台数を大きく伸ばしている。

 しかし、トヨタや日産も軽自動車を販売するようになり、半数は軽自動車という日本市場では218万円のポロを購入するには大変な勇気が必要だ。清水の舞台より飛び降りるより、もっとハードルが高く、スカイツリーから飛び降りるくらいだろう。

 そんな勇気が必要な人に、フォルクスワーゲンup!(アップ!)が149万円からと戦略的な価格で登場した。フォルクスワーゲンup!(アップ!)は価格だけでなく、軽自動車より少しだけ大きい全長3.5m強のコンパクトなフォルクスワーゲンに関心のある人も多い。

シティエマージェンシーブレーキ標準装備は、高い安全思想をもつフォルクスワーゲンならではだ

 フォルクスワーゲン アップ!(VW up!)の試乗前に、話題のシティエマージェンシーブレーキ(低速域追突回避・軽減ブレーキ)の体験をした。これは時速30km未満で走行中に、フロントウインドウ上部に内蔵されたレーザーセンサーが前方の障害物を検知し、衝突すると判断した時に自動的にブレーキを作動させるシステムだ。うっかりして追突事故を起こしてしまうことなどを防ぐ効果がある。

 初体験では、25km/h前後で障害物に向かった。しかし、反射的に思わずブレーキペダルに足が乗ってしまい障害物のはるか手前で停止。2回目のチャレンジでは、右足に強く「何があってもブレーキを踏むなよ!」といいきかせて再度トライ。「ぶつかる!」と思った瞬間、強いブレーキが作動し衝突ギリギリで停止。作動音も無いため自分でブレーキを踏んだ気分になってしまったが、絶対に私はブレーキを踏んでいない…。見事に追突は回避されたのだ。

 驚きなのは、今まで高級車にしか装着されない最先端の安全装備が、フォルクスワーゲンブランドのエントリーモデルに標準装備されていることだ。小さいクルマだからといって、安さだけではない高い安全思想をもつクルマが、フォルクスワーゲンup!(アップ!)なのだ。

コツと慣れが必要なASGだが、逆に操る楽しさも提供する

 試乗車は、最上級車種のhigh up!(4ドア)。アルミホイール、シートヒーターなど欲しい装備が付いているが、車両価格はなんと183万円まで上昇。エクステリアは、下のモデルとのは違いはなく、インテリアはオプションのナビゲーションが目に止まるだけだ。全体的に、シンプルでクリーンな印象で好感がもてる。

 インパネ周りは、ボディと同色でメーターパネルやダッシュボードが塗装されていて、モダンで若々しい。背筋を少し伸ばして座るシートポジションもイイ。プッシュスタートスイッチの車が多くなったが、フォルクスワーゲンup!は、キーをシリンダーに入れ回してエンジンを始動する。

 フォルクスワーゲンup!に搭載されるエンジンは、1Lの3気筒。一般的に3気筒エンジンは、振動が多いといわれる。バランサーシャフトと呼ばれるものを使い、振動を消すパターンが多い。しかし、フォルクスワーゲンup!は、バランサーシャフトが無い3気筒エンジンだが、アイドリング時の振動や音は4気筒エンジンと同レベルに抑えている。

 フォルクスワーゲンがASGと呼ぶ、シングルクラッチの5速自動変速トランスミッションをD(自動変速モード)に入れて街中に繰り出す。シングルクラッチなのでギヤのシフトアップ時に一瞬加速が止まり、ギヤが繋がった瞬間に再び加速をするのでギクシャクする。特に急加速時は変速している間が減速と感じるため、初めて運転する人は「エ〜!!」と思うだろう。

 この感覚も、ちょっとしたコツをつかめばスグに解決する。スムーズにギヤチェンジをするには、ギヤがシフトアップする直前にアクセルを半分戻し、シフトアップが終わったら再びアクセルを踏めばギクシャクしない。難しい事ではなくMT車でシフトする時に、アクセルを戻すのと同じ操作をすれば良いだけの事である。コツが少々必要だが、MT車を運転出来る人なら慣れるのも早いだろう。

 電動パワーステアリングの重さは、適度で車庫入れから高速道路まで不満は感じない。サスペンションはやや柔らかめで、欧州車に多いゴツゴツはしていないが、またポロのような高い剛性も感じない。ピッチングやロールは適正でありコンパクトな車を運転している感覚は無い。ステアリングインフォメーションは少な目で、他のフォルクスワーゲン車の持っているしっとりした安定・安心感とは違う。

排気量は少なくても高速巡航は得意技。さらに、低燃費!

 新開発の1L 3気筒エンジンは、最高出力75ps(55kW)、最大トルク9.7kgm(95Nm)。920kgの軽量ボディには市街地から高速道まで、必要にして充分なエンジンパワーだ。これなら、ドイツのアウトバーンで130km/h巡航も余裕だろう。

 アイドリングストップはしない(装備されていない)。パドルシフトは無いが、マニュアルモードで5速トランスミッションを駆使すると気持ちよくスコスコとギヤチェンジが行われる。エンジンもオートマチックモードとは違った、欧州コンパクトカーの軽快感に溢れた走りが出来る。

 一般道と渋滞していた首都高速道路を含め、燃費は17〜18km/Lであった。エアコンを効かせて、時には周囲をリードしエコとは縁遠い運転であったが、ガマンの運転をしたとしてもカタログ値の23.1kml (JC08モード)に到達する事は難しいだろう。それでも、20km/L前後にはなりそうなので、ちょっとしたハイブリッドカー並の燃費である。

フォルクスワーゲンup!は「惚れて買う車」

 フォルクスワーゲンup!は、とてもコンパクトな車だが前席の2人のスペースは、余裕の広さを誇る。後席は大人2人が座れるスペースは確保されているが、コンパクトなボディサイズということもあり、長時間、成人男性が乗るには窮屈を感じる。

 エアコンはマニュアルで、オプションのナビゲーションを装着すると、エアコンのセンター吹き出し口の前に設置されるので冷風が直接届かない。吹き出し口は左右にもあるが、試乗日は残暑が厳しく室内全体が冷えるまでは暑い思いをした。

 また助手席のパワーウィンドウスイッチが運転席側にない。もしコストダウンの為なら、ミニのようにセンターコンソールにスイッチを配置すれば良いのだろうと思うのだが。またオーディオもCDの音を楽しむクオリティには届いていない。

 一方でウインカーは、オートが採用されていて車線変更時は便利であり、日本車ではある程度の高級車種にならないとオートは装備されないのと対照的である。

 手に届きやすい輸入車、そしてフォルクスワーゲンの高いブランドイメージをもつup!。ユニークなデザインで選びたくなる気持ちも分かるが、慣れやコツが必要なASGトランスミッションなど、まずは試乗してから購入を検討する事をお勧めする。

 後席の窓がチルト式で、下に降りないなど、至れり尽くせりの日本車では考えられないような不便さもある。車を家電のように、また単に移動の道具として考えている人には、フォルクスワーゲンup!は、あまりお勧め出来ない。

 フォルクスワーゲンup!を積極的に選択する理由は安全性であり、前記のシティエマージェンシーブレーキ、ESP(横滑り防止装置)、エアバック(運転席・助手席だけでなくサイドエアバックも)などの安全装備はクラスを越えている。

 フォルクスワーゲンup!のスタイルに惚れた人や、車を運転する事を楽しむことが好きな人は、楽しい未来が待っているだろう。用はなくても、ついついドライブに行きたくなるようなポップなスタイル、コツは必要だが使いこなす楽しさをもつASGミッション、高速でもシッカリした走りの基本性能、クラスを超えた安全装備など「クルマとしての機能は小さくても非常に高い」。

 フォルクスワーゲンup!は、そのスタイル、安全性や走行性能など「惚れて買う車」だろう。そうでなければ、少し冷静になって、違う車を買うことをお勧めする。

<新型フォルクスワーゲンup!(アップ!)価格>
・move up!2ドア 149万円*move up!(2ドア)は受注生産。
・move up!4ドア 168万円
・high up!4ドア 183万円

代表グレード フォルクスワーゲン up! move up! 4ドア
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3,545×1,650×1,495mm
ホイールベース[mm] 2,420mm
トレッド前/後[mm] 1,430/1,425mm
車両重量[kg] 920kg
総排気量[cc] 999cc
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] 55(75)/ 6,200rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 95(9.7)/3,000-4,300rpm
ミッション 5速ASG
タイヤサイズ 165/70R14
JC08モード燃費 23.1km/L
定員[人] 4人
税込価格[円] 1,680,000円
発売日 2012/9/18
レポート 丸山和敏
写真 編集部

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