日産ノート オーラ プロトタイプ試乗記・評価 最もプレミアムだった走りの質感
CORISM / 2021年6月21日 12時12分
より力強いシルエットになった新型ノートオーラ
Bセグメントのコンパクトである日産ノートをベースとし、1クラス上の質感と走りを目指したのが新型「ノートオーラ」だ。
新型ノートオーラの基本的なフォルムは、ベースとなるノートと同じだが、フロントマスクを変え、全幅も1735㎜に広げている。
フロントのフェイスの印象は、大きく変わらないが、超薄型のLEDヘッドランプやLEDシーケンシャルターンランプなどを採用したから目鼻立ちがはっきりした。
リアも横一文字に光るLEDリアコンビランプとボディ同色のバンパーなどにより高級になった印象を与える。
力強さを増したのは、サイドビューだ。左右のフェンダーを膨らませ、後席用のドアを替えたから迫力がある。足元も力強さを増している。
樹脂製の加飾付きホイールに、17インチタイヤを組み合わせたからドッシリとした佇まいだ。とくに2トーンのボディカラーは、伸びやかだと感じる。
もうひと工夫欲しい、インテリアの質感
エクステリアと同様に、インテリアもプレミアムコンパクトを目指し、質感を高めている。ドライバーの前には、12.3インチのフルTFTメーターを配し、その左側に並んでいるのは9インチのナビシステムだ。
インパネの表面には、ツイード柄の織物を張り、木目調の加飾パネルも採用する。色味や手触りにもこだわった。シート表皮もいい素材を吟味し、三層構造のレザーシートも設定する。本革巻きステアリングの採用も見逃せない。
だが、さらにいい材質を使っているヨーロッパ勢と比べると、インテリアの見栄えや質感は、今一歩にとどまっている。
インテリアとシートは、3色設定。ヘッドレストなどにスピーカーシステムを組み込んだBOSEパーソナルプラスサウンドステムも用意。高品質なサウンドで、より快適な空間としている。
ボディカラーは、2トーンを含め、14色を設定した。3ナンバーのワイドボディを採用しているが、ノートとキャビンの広さは変わらない。
だが、同クラスのライバルと比べてもノートは広く快適だ。前席は大柄な人だとシートバックが短く感じるが、多くの人は気持ちよく座れるはずである。後席は膝もとに余裕があり、センターアームレストも装備するから2人なら快適だろう。
大幅パワーアップされたe-POWER
パワーユニットは、ノートと同じように発電用の1.2L直列3気筒エンジンにモーターを組み合わせた電動パワートレインのe-POWERを搭載する。基本的なメカニズムはノートと同じだ。ただ、ノートオーラは1クラス上の走りを目指しているので、制御の見直しを図り、モーター出力を高めた。
最高出力は、ノートの116ps(85kW)から136ps(100kW)に引き上げられた。最大トルクも28.6kg-m(280N・m)から30.6kg-m(300N・m)へと増強されている。
テストコースに用意されていたのは、ノートオーラの最終プロトタイプだ。最初にステアリングを握ったのはFF車のノートオーラである。
動力性能を大きく向上させている上に、ノートとの重量差は約40kgしかない。だから、アクセルを踏み込むとクルマがグッと前に出る。とくに差をつけるのは、上り坂やコーナーだ。立ち上がりの瞬間から冴えた加速を見せた。驚くほど滑らかなパワーフィールも健在だ。
2代目ノートはワンペダルドライブの洗練度も大幅に高められているから運転しやすい。
次に試乗した新型ノートオーラの4WDモデルも、重量が増えているにも関わらず瞬発力は鋭く、パワフルと感じさせる。アクセルをグッと踏み込むと、後輪側のモーターが強大なトルクを発生。蹴り出しが強いから、体感加速は気持ちよく感じた。
エコモードでも、軽快感のある走りを見せる。Bレンジでは、減速度も高められるから、コツをつかめばアクセルのオン/オフだけで意のままの走りを楽しむことが可能だ。
後輪側に高出力モーター設置で、FRっぽい走りを見せた4WDに驚愕
新型ノートオーラの静粛性は、プレミアムコンパクトということもありノートの1歩上を行く。遮音材などを増やしたことが功を奏し、巡航時だけでなく加速時も静かだった。
それだけでなく、走りの質感も大幅に向上している。軽やかなハンドリングも魅力だ。サスペンションは、フロントがストラットとリヤがトーションビームの組み合わせ、タイヤは205/50R17 89Vにグレードアップされている。
5ナンバーのノートと比べると、トレッドも20㎜広い。だから、接地フィールがよくなっているし、コントロールできる領域も広がった。
FF車は、スッキリした素直な操舵フィールだ。リアの落ち着きも増している。踏ん張りの利く17インチタイヤと相まって狙ったラインに乗せやすい。
ただし、ホットな走りでは、柔らかく座り心地のよいシートが仇となる。高いGが発生すると、シートのサポート性とホールド性が物足りなく感じ、身体が振られた。
感嘆したのが新世代の電動4WDである。走行状況に応じてリアの駆動力を増やし、トルク変動を抑え込んでいるからピッチング上手に抑え込み、優れた路面追従性を見せた。
FF車よりハンドリングは正確だし、挙動の落ち着きも1歩上の印象だ。多くのシーンで安定感が際立つ。スラローム走行では、アクセルを踏み込むとリアからも押されるように軽やかな身のこなしを披露した。
しかも、コーナーを攻めたときはFR車的な挙動変化が感じられる。操るのが楽しい。とくに違いを感じるのは、下り坂やタイトコーナーのターンだ。
また、高速走行からのレーンチェンジやスラロームでも1クラス上の落ち着きと余裕を感じさせる。
新型ノートオーラは、17インチタイヤを履いているが、ノートの15インチタイヤ、16インチタイヤと比べても乗り心地は悪くなっていない。卓越したシャシー性能と相まって、路面からのショックを上手に受け流す。さすがに、ソフトとは言えないが、スポーティ派は支持してくれるだろう。
高価だが価値あるプレミアムコンパクトが新型日産ノートオーラ
新型ノートオーラの販売価格は、ノートと比べて42万円ほど高い。先進安全技術のプロパイロットや日産コネクトナビ、SOSコール、BOSEサウンドシステムなどはオプションになっており、約40万円だ。
装備にこだわると、新型ノートオーラGのFF車でも300万円を超えてしまう。
だが、余裕あるエンジンやスポーティに仕立てたサスペンションと、気持ちのよい走りをアピールする4WD、インチアップしたタイヤなど、その魅力は大きい。
新型ノートオーラは、半導体不足のために販売が秋にずれ込んだが、注目に値するプレミアムコンパクトの誕生だ。
<レポート:片岡英明>
日産ノート オーラ価格
■2WD(FF)
・ノート オーラG 2,610,300円
・ノート オーラG leather edition 2,699,400円
■4WD
・ノート オーラ G FOUR 2,868,800円
・ノート オーラ G FOUR leather edition 2,957,900円
日産ノート オーラ、燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード ノート オーラG FOUR(4WD)
ボディサイズ:全長4045×全幅1735×全高1525mm
ホイールベース:2580mm
車両重量:1370kg
駆動方式:FF
最小回転半径:5.2m
エンジン型式:HR12DE型 直3 DOHC 12バルブ
排気量:1.198L
エンジン最高出力:82PS(60kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:103N・m(10.5kgf・m)/4800rpm
フロントモーター型式:EM47
モーター最高出力:136PS(100kW)/3183 -8500rpm
モーター最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/0-3183rpm
リヤモーター型式:MM48
モーター最高出力:68PS(50kW)/4775-10024rpm
モーター最大トルク:100N・m(10.2kgf・m)/0-4775rpm
WLTCモード燃費:22.7km/L
JC08モード燃費:27.0㎞/L
動力用主電池種類: リチウムイオン電池
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
タイヤ前後:205/50R17
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