ホンダ ヴェゼル試乗記・評価 まさか、ガソリン車が!
CORISM / 2021年7月6日 12時12分
抜群の人気を誇った初代ヴェゼル
2013年12月に鮮烈なデビューを飾り、瞬く間にクロスオーバーSUVの代表にのし上がったのが初代ホンダ ヴェゼルだ。
14年から3年連続してSUVのカテゴリーでベストセラーに輝き、19年には再びトップの座を奪還している。
そんな大ヒットしたヴェゼルの第2世代は、オンラインのワールドプレミアイベントでの発表となり、4月22日にベールを脱いだ。
グランドコンセプトは「AMP UP YOUR LIFE」だ。日々の生活の質の向上と、楽しさを増幅させることを目指し、プラスαの体験価値を提供できるクルマとして送り出した。
やや、違和感を感じるインテグレーテッドグリル
2代目新型ヴェゼルエのクステリアは、初代とはデザインだけでなく面の構成も大きく異なる。
先代より大きく、立派に見えるが、実際のサイズはほとんど変わっていない。全長とホイールベースはまったく同じだ。全幅が20㎜増え、全高を15㎜下げたことが伸びやかさと力強さを生んでいる。デザインにヒットした初代ヴェゼルの面影はない。
まず、フロントフェイスで横スリットのフロントグリルに驚いた。なんと、フレームが無く、ボディと同色だ。このグリルは、インテグレーテッドグリルと呼ばれている。
このグリル、時間の経過と共に、次第に違和感は薄れていった。だが、ホンダも気にしているのだろう。馴染めない、という人のために、ホンダアクセスはブラック基調のグリルを用意していて販売も好調だという。
ライバルを圧倒する後席の広さ
新型ヴェゼルのパッケージングは、ホンダのMM思想に基づくセンタータンクレイアウトを受け継いでいる。
インテリアは、水平基調の広さを感じさせるインパネに、柔らかな触感と形状のパッドを部分的にあしらった。開放的な空間デザインは大きな魅力だ。
だが、上級の「プレイ」や「Z」と比べ、ベースグレードの「X」はチープな印象を受けた。
キャビンは、コンパクトクラスとは思えないほど広々としている。先代も広かったが、後席の足元は35㎜も広げられた。広さ、とくに後席に関しては、ライバルとなるヤリスクロスを相手にしない。
フィットよりパワフルになった1.5Lハイブリッドの「e:HEV」
パワーユニットは2機種だ。1つは、1.5Lの直列4気筒DOHC・i-VTECのガソリンエンジンで、直噴からポート噴射に改めて静粛性を向上させている。
トランスミッションは、ローギアード化した無段変速機のCVTだ。もう1つは、1.5Lエンジンに駆動用と発電用、2つのモーターを組み合わせたハイブリッドの「e:HEV」である。
こちらはデュアルクラッチ方式をやめ、一般的な電気式の無段変速機を採用した。駆動方式は、FF方式の2WDと応答レスポンスを高めた進化版のリアルタイム4WDを設定する。
最初にステアリングを握ったのは、パノラマルーフを装備した「プレイ」だ。ハイブリッドの「e:HEV」は、バッテリー容量を48セルから60セルに増やしたことによってモーター出力を高めた。
1.5Lエンジンより高出力、高トルクだからモーターの存在感が強まっている。フィットより150kg重いが、発進加速は鋭いし、そこから先の伸びも力強い。アクセルを強く踏み込むとエンジンで発電を行い、その電力を使ってモーターを駆動する。
新型ヴェゼルのe:HEVの出力は、フィットより車重が重くなっていることもあり、ややパワーアップされている。フィットが109ps&253Nmなのに対して、新型ヴェゼルは131ps&253Nmとなった。
滑らかなe:HEV、静粛性の高い室内、優れた走りの質感となった新型ヴェゼル
ゆっくりとアクセルを開いていくとモーターだけの走行となり、静粛性も驚くほど高いと感じた。一般道の流れに乗って走るとモーター走行の守備範囲が広いことがよく分かる。エンジンがかかっても、急激にノイズが高まることがない。
モータードライ車なので、当然、変速ショックなどなく、シームレスな加速を見せる快適性も魅力に挙げられる。
エンジンマウントの変更や遮音材の増量、遮音ガラスの採用などもあり、静粛性は1ランク引き上げられた。18インチのミシュラン製プライマシー4のタイヤノイズが気になるほど、静粛性は高いレベルにある。
やや非力感ある1.5Lガソリン車だが・・・
1.5Lの直列4気筒DOHCにi-VTEC機構を組み合わせたガソリンエンジン車は、走らせてみると予想外に驚いた。
ターボじゃないから瞬発力と速さは望めないが、高回転まで気持ちよく回るし、ドライバビリティも良好だ。
もう少しトルク感が欲しいが、パワーを感じる最適なゾーンを使うように上手に導いてくれる。
急な登坂路では少し非力かな、と感じさせる場面があった。だが、平坦路で1、2名乗車なら軽やかな走りを披露する。
さすがに一気に加速するとエンジン音は高まるが、音色そのものは悪くなかった。ハンドリングも素直で軽快。なかなか気持ちよく走れるモデルだ。
剛性が増した新型ヴェゼル
大きく進化したな、と感じるのがシャシー性能だ。先代ヴェゼルのプラットホームを改良して使用している。
FF車は、フロントがストラット、リアはトーションビームと、先代の形式を受け継いでいる。だが、走り出してすぐに剛性感が高められ、ステアリングを切ると狙ったラインに正確に乗せることができることが分かった。
コントロール性とともにスポーティ感覚も高められている。ワインディングロードでも意のままの走りを存分に楽しめた。ブレーキング時の挙動も安定している。
足の動きもしなやかだ。荒れた路面を駆け抜けても、先代のようにリアがバタつくことがない。
最初に乗った新型ヴェゼル「プレイ」は、18インチタイヤ(225/55R18)も功を奏し、雨の中でも安心感のあるグリップ感を身につけていた。
まさか、e:HEVを超えた? 軽快なハンドリングと快適な乗り心地となった1.5Lガソリン車
ただし、「e:HEV」よりも好印象だったのが1.5Lエンジンを積む4WDモデルだ。リアはド・ディオン式のサスペンションだが、軽やかな操舵フィールと機敏で一体感のある走り味が気持ちいいと感じる。
ワインディングロードを走ったときも優れたリアの追従性と優れたバランス感覚が光った。高速走行時の風切り音とエンジン音が耳障りではない。機能を進化させた安全運転支援システムのホンダセンシングもなかなかの実力だった。
乗り心地のよさも特筆できるところだ。当たりが穏やかな215/60R16サイズのタイヤを履いていたこともあり、路面の凹凸を上手に受け流す。乗り心地は「プレイ」よりはるかによく、後席でも快適だった。タイヤを上手に履きこなしているのはベースモデルだ。
販売面では「e:HEV」が圧勝で、18インチタイヤを履く「e:HEV」のZグレードが売れ筋となっている。ガソリン車を選ぶ人は、10%もいない。だが、購入するときはコストパフォーマンスが高く、走りの実力も高いガソリン車に試乗することをおすすめする。
使いこなせれば何かと便利な「ホンダコネクト」
新型ヴェゼルのもう1つの魅力、それは新世代コネクテッド技術を搭載したことだ。車載通信モジュール「ホンダコネクト」を通じて、より安心で快適なカーライフを楽しめるコネクテッドサービスを利用できる。
スマートフォンがキー代わりになるデジタルキーや多彩なアプリの提供、車内Wi-Fiなど、初めての機能を数多く搭載しているのは大きな魅力だろう。
使いこなすのは簡単ではないが、上手に使えれば世界が大きく広がる。ナビシステムに自動地図更新サービスを搭載したこともうれしい改善点だ。
ホンダ ヴェゼル新旧比較
ホンダ ヴェゼル新車情報・試乗評価一覧
ホンダ車新車情報・試乗評価一覧
SUV新車情報・試乗評価一覧
トヨタ ヤリスクロス試乗評価
トヨタ ヤリスクロス vs 日産キックス徹底比較!
ホンダ ヴェゼル価格
■ヴェゼルe:HEV(ハイブリッド)価格
・e:HEV X FF 2,658,700円/4WD 2,878,700円
・e:HEV Z FF 2,898,500円/4WD 3,118,500円
・e:HEV PLaY FF 3,298,900円
■ヴェゼル(ガソリン車)価格
・G FF 2,279,200円/4WD 2,499,200円
ホンダ ヴェゼル燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード ホンダ ヴェゼル e:HEV Z (4WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,330×1,790×1,590
ホイールベース[mm] 2,610
トレッド前:後[mm] 1,535:1,540
最低地上高[mm] 180
サスペンション 前:マクファーソン式 後: ド・ディオン式
車両重量[kg] 1,450
総排気量[cc] 1,496
エンジン型式 LEC
エンジン種類 直4 DOHC16バルブ
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 106(78)/6,000-6,400
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 12.2(120)/3,800〜4,800
フロントモーター最高出力[ps(kw)] 131(96)/4,000-8,000
フロントモーター最大トルク[kg-m(N・m)] 253(25.8)/0-3,500
WLTCモード燃費[㎞/L] 22.0
ミッション 電気式無段変速機
最小回転半径[m] 5.5 m
タイヤサイズ 225/50R18
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