レクサスIS新車情報・購入ガイド 憶測を呼ぶ、謎に包まれた大幅マイナーチェンジ
CORISM / 2020年11月22日 19時5分
コンパクトスポーツセダン、レクサスISがマイナーチェンジ

初代レクサスISは、1999年に発売が開始された。ただ、この初代ISは、日本国内ではレクサスブランドの導入がされておらず、国内ではアルテッツァとして販売されていた。
そして、2005年のレクサスブランド日本導入時期に登場したのが2代目ISだ。このモデルでは、ハイブリッド車は用意されずガソリン車のみの設定。IS Cと呼ばれる2ドアのカブリオレモデルも後期に設定されている。
現行型となる3代目ISは、2013年にデビューした。レクサスのデザインアイコンであるスピンドルグリルが装備され、2代目ISと比べるとかなり迫力が増したスタイリングとなっている。このモデルから、待望の2.5Lハイブリッドシステムを搭載した300hを投入。国内では、人気グレードとなった。

なぜフルモデルチェンジではないのか? レクサスISも撤退の予感?

3代目ISのデビューは2013年なので、すでに7年が経過。あと3年売るとなると、デビューから10年というご長寿モデルということになる。これには、多くの疑問が残る。すでに、トヨタにはFR用の最新のGA-Lプラットフォームが存在する。本来ならば、このプラットフォームを使いフルモデルチェンジし、一気に走行性能を引き上げるという手法がセオリーといえる。
こうした手法が取れないのには、やはり世界的なセダン離れが大きな要因だろう。すでに、レクサスはひとクラス上のセダンであるGSがマーケットから撤退している。
また、小型セダンのISでは、LSやLCなどにも使われるGA-Lプラットフォームでは、オーバークオリティでコスト高になることも想像できる。実際、このGA-Lプラットフォームを使ったクラウンは、かなり高額な価格設定となった結果、販売面でも苦戦。クラウンは、セダンからSUV風になるという報道もある。こうなると、ISもマーケットから撤退、もしくは次期モデルとなる4代目ISはFF(前輪駆動)化といったシナリオも予想できる。真相は謎に包まれている。

「クルマを操る楽しさ」を深化させたマイナーチェンジ

より「クルマを操る楽しさ」を実現するため、マイナーチェンジでは、上質な乗り心地でありながら高い車両コントロール性を備え、長く乗れば乗るほど操る楽しさなどの新しい発見や、作り手の想いを感じていただけるクルマを目指したという。
まず、走行試験の結果に基づきドライバーの入力に対する俊敏な応答性やばね上の無用な動きの抑制など、路面状況や走行シーンに応じて徹底的にチューニング。
数値では測れない人の感性価値にもこだわった。一連の運転操作のつながりやリズムなど、ドライバーの意図に忠実でリニアな操縦性を追求。乗り味をつくりこむ上では、不快な振動や音といった雑味をあらゆる方向から検証し、原因を突き詰めて解消するなどクルマづくりの基本に立ち返り、走りの気持ち良さを進化させた。

2.0Lターボモデルでは、ドライバーのアクセル開度などから走行環境を判定し、シーンに応じて適切なギヤ段を設定するアダプティブ制御を採用。より、ドライバーのアクセル操作や意図に対してリニアなレスポンスを実現した。こちらも235ps&350Nmという出力に変更はない。3.5L V6エンジンも同様で、318ps&380Nmという出力に変更はない。
また、ボディ系では、サイドラジエーターサポートの補強、フロントサイドメンバーのスポット打点追加、Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化などによりボディ剛性をアップ。ハンドル操作に対するレスポンスなど、運動性能を向上させ、ノイズや振動を徹底的に排除し乗り心地を向上させている。
新採用の19インチタイヤは、コーナリングフォースを大幅に向上。気持ちの良いハンドリングとブレーキングを実現した。
足回りでは、ショックアブソーバーのオイル流路に非着座式のバルブを設け、微小な動きに対しても流路抵抗による減衰力を発生させる「スウィングバルブショックアブソーバー」を採用。アブソーバーのストローク速度が極めて低い場合でも減衰力を発揮することで、応答性が良く上質な乗り心地を実現した。

より、ワイド&ローなフォルムとしたデザイン変更

マイナーチェンジ前のモデルは、ややアクの強さがあるコッテリ系デザインだったが、マイナーチェンジ後では、よりクリーンでスッキリとしたスポーティなフォルムになっている。
外観デザインで特徴的なのは、新開発の小型軽量ランプユニットを搭載した薄型のヘッドランプだ。よりシャープでスポーティな印象を鮮明にしている。また、低く構えたグリル周りとそれに合わせて下げたサイドのキャラクターライン、ラゲージ後端部の造形で重心の低さを表現した。
そして、張り出した前後フェンダー、Lシェイプ一文字シグネチャーランプ、立体的なバンパーガーニッシュにより、よりスポーティな走りを予感させるプロポーションとしている。

新デザインとなったスピンドルグリルは、グリルの先端を起点に立体的な多面体構造とし、押し出し感を強調した。
インテリアも大幅変更が加えられている。インストルメントパネル上部やドアパネルに有彩色を設定しツートーン配色とすることで、左右方向の広がりを強調。
ドアトリムの一部に、レクサスの新たな加飾表現である複数のエンボスラインを交差させたグラフィックパターンを採用。オーナメントパネルにアッシュ(オープンフィニッシュ/墨ブラック)、ブラックジオメトリーフィルム、F SPORT専用サテンクロムを新規採用した。表面処理などのアクセントをつけることで、素材本来の質感表現にこだわったスポーティな室内空間としている。
マルチメディアシステムは、新たにタッチディスプレイを採用。SmartDeviceLink、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応している。

高性能化した予防安全装備。しかし、物足りない装備も

従来のLexus Safety System +に採用している「単眼カメラ+ミリ波レーダー」の構成には変化はない。単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、自動ブレーキは昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能となった。
また、交差点右折時に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能になっている。より、多くの事故形態に対応したのは大きなメリットだ。
そして、ドライバーの回避操舵をきっかけに自車線内で操舵をアシストし、車両安定性確保と車線逸脱抑制に寄与する緊急時操舵支援や、低速時の衝突回避または被害軽減をサポートする低速時加速抑制などの機能を追加。同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する高度運転支援機能「レーントレーシングアシスト」を搭載。カメラ認識技術の向上により、レーントレース性能が大幅に向上した。緩やかなカーブでの支援に加え、滑らかにレーン中央をキープする走行が可能となっている。

レクサスは、モビリティ社会の究極の願い「交通事故死傷者ゼロ」を掲げ、安全技術開発を進めているという。今回のマイナーチェンジでは、予防安全装備が大幅に向上され、標準装備化さたことで、どのグレードも高い安全性能をもつ。ただ、レクサスISは500万円を超えるグレードがほとんどであることを考えると、まだまだ物足りない部分もある。
例えば、カメラの映像を合成し車両を上から見たような映像にしたパノラミックビューモニターはオプション設定。車両の周辺をひと目で確認できる安全装備だ。こうした装備は、もはや軽自動車にもオプション設定されているローテク装備だ。こうした装備が、軽自動車並みにオプションというのも、高級車らしくないポイントだ。
また、後席サイドのエアバッグが一部グレードではオプション設定になっている。レクサスは、モビリティ社会の究極の願い「交通事故死傷者ゼロ」を掲げている。しかし、グレードにより安全装備が異なるのであれば、「交通事故死傷者ゼロ」という素晴らしい志とは異なる仕様になっている。言行相反と思える状態だ。

異例のタイミングで投入された特別仕様車F SPORT Mode Black

特別仕様車“F SPORT Mode Black”は、IS350/IS300“F SPORT”をベースに、専用のアルミホイールやブラックを基調としたカラーコーディネートで、ISの特長である走りとデザインに磨きをかけたモデル。ホイールは、BBSと共同開発。マットブラック塗装の鍛造アルミホイールを採用することで軽量化。ばね下質量の低減を実現している。デザイン面では、アルミホイール表面の滑らかさにこだわり、職人が30年以上かけて培ってきた技術で、1本ずつ手作業で丁寧に仕上げている。
インテリアでは、アッシュ材を銀墨色に仕上げた専用デザインのステアリングやオーナメントパネルを採用。アッシュ材の流麗な木目に高輝度塗装を施すことで、光を受けると銀墨の独特の輝きに移ろい、太陽光を受けると鮮やかな銀色が出現するなど、自然素材が持つ本物の質感を際立たせた。このアイテムも加工から研磨、塗装まで各工程を職人が一つずつ手作業で仕上げている。
さらに、“F SPORT”専用本革スポーツシートや専用メーターオープニングなどの特別装備により、スポーツドライビングの高揚感を高めている。

IS350/IS300 特別仕様車“F SPORT Mode Black” 特別装備

・“F SPORT”専用本革スポーツシート(運転席ポジションメモリー/運転席・助手席ベンチレーション機能付)
・トルセンLSD(リヤディファレンシャルギヤ)
・特別仕様車専用アッシュ(オープンフィニッシュ/銀墨)+“F SPORT”専用ディンプル本革ステアリング(パドルシフト付)
・オーナメントパネル(パワーウインドゥスイッチベース部)特別仕様車専用アッシュ[オープンフィニッシュ/銀墨]
・“F SPORT”専用8インチTFT液晶式メーター(特別仕様車専用オープニング)
・三眼フルLEDヘッドランプ(ロー・ハイビーム)&LEDフロントターンシグナルランプ
・後席SRSサイドエアバッグ
・オート電動格納式ドアミラー(広角・運転席自動防眩・鏡面リバース連動ラストメモリー付チルトダウン・メモリー・ヒーター付/特別仕様車専用ブラック塗装)
・パワーイージーアクセスシステム(運転席オートスライドアウェイ&リターンメモリー機能付)
レクサスISのグレード選び。お勧めはIS300h F SPORT

2.5Lハイブリッド車である300h系には、基準車と“version L”、“F SPORT”の3グレード構成となっている。予算重視というのであれば、基準車で十分な仕様となっているが、オプションでパノラミックビューモニターと後席サイドエアバッグは選択したいところだ。
乗り心地を重視するのであれば、やはりラグジュアリー仕様の“version L”という選択になる。上質なセミアニリン本革シート(運転席ポジションメモリー/運転席・助手席ベンチレーション機能付)が装備され、ゴージャスな空間を生み出している。このグレードも、やはりパノラミックビューモニターをオプション選択したい。
走行性能を重視し、最も人気が高く、お勧めグレードといえるのが“F SPORT”。日本マーケットは、F SPORTのように専用エアロパーツなどを装着したスポーティなグレードの人気が非常に高い。リセールバリューも高いグレードとなる。オプションでは、F SPORT専用オレンジブレーキキャリパー(フロントLEXUSロゴ)を選択したい。
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レクサスIS価格

・IS300h FR 5,260,000円/AWD 5,680,000円
・IS300h“version L” FR 6,000,000円/AWD 6,420,000円
・IS300h“F SPORT” FR 5,800,000/AWD 6,220,000円
・IS300 FR 4,800,000円
・IS300“version L” FR 5,550,000円
・IS300“F SPORT” FR 5,350,000円
・IS350 特別仕様車“F SPORT Mode Black” FR 7,000,000円
・IS300 特別仕様車“F SPORT Mode Black” FR 5,850,000円
レクサスIS燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード IS300h“F SPORT”

ホイールベース mm 2,800
トレッド 前/後 mm 1,580/1,570
最小回転半径 m 5.2
車両重量 kg 1,690
燃料消費率(国土交通省審査値)WLTCモード km/L 18.0
エンジン型式 2AR-FSE
エンジン種類 直列4気筒

総排気量 L 2.493
最高出力[NET] kW[PS]/r.p.m 131(178)/6,000
最大トルク[NET] N・m[kgf・m]/r.p.m. 221(22.5)/4,200~4,800
モーター 型式 1KM
モーター最高出力 kW(PS) 105(143)
モーター最大トルク N・m(kgf・m) 300(30.6)
駆動用主電池種類 ニッケル水素電池
トランスミッション 電気式無段変速機
サスペンション 前/後 ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
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