土屋太鳳・田中圭共演で話題!『哀愁しんでれら』の監督は渡部亮平

CREA WEB / 2021年2月8日 15時0分


 土屋太鳳・田中圭共演のサスペンス映画『哀愁しんでれら』。エッジの効いたストーリー展開が話題だ。本作が満を持しての商業映画デビューとなった渡部亮平監督に、空白の8年間やオリジナル作品への思いを聞いた。

●TV好きから脚本家の道へ


――幼い頃の夢は?

 幼稚園の頃は、ゴミ収集車のおじさんに憧れていました。いつも決まった時間に現れて、作業した後に颯爽と去っていく感じが、どこかヒーローみたいに見えたんです。小学生になってからは野球を始めたので、プロ野球選手ですね。ただ、「映画監督になりたい」とも言っていたんですよ。どんな仕事かよく分からないながらも、TV番組を作る人の延長みたいな感覚で。

――映画業界というよりは、TV業界への憧れが強かったということですか?

 そうですね。「踊る大捜査線」「オレンジデイズ」「アルジャーノンに花束を」といったドラマが好きでした。高校になると、鈴木おさむさんに憧れて、バラエティ番組の放送作家になりたいと思うようになり、就職活動ではドラマ制作志望で、TV局ばかり受けていました。全部落ちてしまいましたが(笑)。


    

――その後、脚本の勉強を始められます。

 大学時代には小説を書いていたんです。でも、物語を作るのは好きだけど、文才がないことに気付き始め、『Shall we ダンス?』の脚本を読んだのをきっかけに、脚本を勉強し始めました。TSUTAYAでバイトしながら、いろんな映画を観つつ、毎月のように新作を書き続けたのですが、シナリオ学校で評価されても映像化されることはないんです。そんなジレンマに陥っていたときに、かなりの自信作ができたので、「フジテレビヤングシナリオ大賞」に応募したんです。でも、第1次審査で落選してしまったんです。

●初監督作の自主映画が高評価・劇場公開


――それが初監督作となる2012年の自主映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』ですね。

 コンテストでは落選しましたが、僕の脚本の面白さは映像化しないと分かってもらえないと諦めなかったんです。そして、ちょうどポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』を観た衝撃もあり、映画監督として、「1本撮ってみよう!」と決断して、スタッフをmixiとTwitterで募集しました。それまでは、デジカメで遊び半分で映像を撮ったことしかなかったんですが……。


――自主映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』は「ぴあフィルムフェスティバル」エンタテインメント賞と映画ファン賞のほか、「日本映画プロフェッショナル大賞」新人監督賞など、さまざまな賞を受賞。劇場公開もされ、映画ファンからも高い評価を受けました。

 これを機に、作品を気に入ってくださった犬童一心監督に、いろんな仕事をお声がけしていただくなど、夢にまで見た映画業界に入ることができました。高校時代に野球部でイップスになりボールが投げられなくなったり、それまでも何度か転機のようなものはありましたが、このときが最大の転機といえるかもしれませんね。


――2014年の「セーラーゾンビ」以降、脚本や演出など、活動の場がTV中心になっていきましたね。

 その後、有難いことに、映画監督としての企画はたくさんいただきました。オリジナルも原作モノも脚本をいっぱい書きましたが、どれも形にならなかっただけなんです。「予算は低いですが、監督がやりたいものなら何でも!」という話も、いざ脚本を渡すと「これは厳しいですね」となってしまうんです(笑)。そんななか、TVドラマの企画は、あまり流れることはなかったんですね。

●新作は行き過ぎた姉弟の愛情?


――映画監督として、そのような状況に対しては、どう思われますか?

 結果的にTVドラマ中心になりましたが、僕の立場としては振ってくださったお仕事を一生懸命やるしかなかったんです。ただ、自分が思ってもいない企画や脚本を、さらに面白くするため、いろいろ考えたので、今となってはいい経験になったと思います。だからこそ、映画監督としては9年ぶりの新作ですが、土屋太鳳さんと田中圭さんが自分のオリジナルである『哀愁しんでれら』に出てくださるという、商業映画デビュー作としては最高のステージに繋がったんだと思っています。


――ちなみに、『哀愁しんでれら』は「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2016」でグランプリ受賞した企画です。

 正直な話、受賞の翌年末には撮影して、18年には公開できると思っていたのです。でも、テーマ的な問題があったり、「やはり泣ける展開にしてほしい」という意見もあったりして、2年間ぐらい本格的に動かせなかったんです。そのため、いろいろと脚本の内容も変えたりもしました。でも、最終的には元の脚本に近い状態で撮影することができました。撮影日数も短くて苦しかったですが、多少のわがままを言わせてもらいながら撮ることができたので、当初から考えていた『哀愁しんでれら』として完成したと思います。


――今後の展望や目標、次回作の予定などがあれば教えてください。

 特にオリジナルにこだわるつもりはありませんが、今後も物語を大切にしたエンタメ作品を作っていきたいです。20代から脚本メインでやってきたなかで、監督になったという強みもあるので。

 『かしこい狗は、吠えずに笑う』での友だち、『哀愁しんでれら』での家族に続く、姉弟を描いた作品を長年企画中なので、“行き過ぎた愛情3部作”を完結させたいです。

 大きな夢でいうなら、なかなか厳しい環境の日本から出て、海外で撮りたいです。


渡部亮平(わたなべ・りょうへい)

1987年8月10日生まれ。愛媛県出身。立命館大学卒業。10年、ドラマ「アザミ嬢のララバイ」で脚本家デビュー。12年、初監督作『かしこい狗は、吠えずに笑う』が「ぴあフィルムフェスティバル」にて、エンタテインメント賞&映画ファン賞をW受賞。その後、「セーラーゾンビ」「時をかける少女」などのドラマ脚本を多く手掛ける。

『哀愁しんでれら』


児童相談所に勤める小春(土屋太鳳)は平凡な毎日を送っていたが、ある夜、不幸に見舞われ全てを失ってしまう。人生を諦めかけた彼女の前に、8歳の娘を男手ひとつで育てる開業医・大悟(田中圭)が現れる。優しく裕福で王子様のような大悟に惹かれた小春は、不幸のどん底から一気に幸せの絶頂へと駆け上がるが……。
https://aishu-cinderella.com/
全国公開中。
©2021『哀愁しんでれら』製作委員会

文=くれい響
写真=佐藤亘

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