1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

オダギリジョー×永山瑛太 「若い人がわがままに作品を作れる そんな映画の未来を繋いでいきたい」

CREA WEB / 2021年9月17日 16時0分


 2000年代の日本映画を支えた“立役者”たちが、監督と出演者として初の本格タッグを組む。しかも、舞台はテレビドラマ。

 共闘作「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」を通し、「ものづくり論」を語り合った。


作品のクオリティにはこれからもこだわっていきたい


「働き方改革なども重要ですが、クオリティが下がったら意味がない」

オダギリ 『あずみ』(2003年)では共演シーンはなかったから、初めてお会いしたのは、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』(’07年)の打ち上げでしたよね。「あれ? 瑛太くんがいる」と思ったのを覚えています。

永山 はい。リリー・フランキーさんに呼んでいただきました。僕は全く出演もしていないのに、ぽつんと座っていて……(笑)。

オダギリ でもお互い人見知りだから、その場ではほとんど喋らなかったですけどね(笑)。

’00年代に映画界で共闘した仲間


「絶対的にお芝居を楽しんでいるのが伝わってくるんですよね」

永山 ちゃんとお話ししたのは、今回の作品の衣装合わせのときでしたね。実は前に、雑誌で写真を撮る連載をやっていたんですが、どうしてもオダギリさんに出てほしくてオファーしたらお断りされてしまって……。それで、「オリバーな犬」のオファーも勘ぐってしまった部分はあります(笑)。

オダギリ 確かに(苦笑)。でも僕は元々、瑛太くんを’00年代の日本映画をともに盛り上げた仲間のように感じていましたよ。それこそ西川美和監督が『ゆれる』(’06年)の後に『ディア・ドクター』(’09年)で瑛太くんとやっていた流れもあったし。

永山 嬉しいです。20代の頃からオダギリさんの存在はずっと気になっていて、仕事への取り組み方や距離感が素敵だなと思っていたので。自分の世界観をもちながらも、作品の中で丁寧にテーマ性を背負って、自分にしかできない表現を追求している。

 僕もすごく影響を受けましたし、ファッションやヘアスタイルも含めて、「いまオダギリさんはどこに向かっているのか」注視していました。今回の台本にはオダギリさんの色々な要素が詰まっていて、出られるなんて本当に幸せ者だと感じました。

組んで分かった“嬉しい誤算”


永山 監督は、一つひとつのことに答えを出さなければならないポジションだと思うんです。今回、オダギリさんの瞬発力とイメージのすり合わせを生で見て、肌で感じられたことが大きかったです。オダギリさんの次の言葉をみんなが待っている、心地よい現場でした。

オダギリ 今回の作品での瑛太くんの芝居には正直驚いたんです。台本を書いていたときはあそこまでぶっ飛んだ役をイメージしていなかったけど、瑛太くんが作ってきてくれたキャラクターが面白かった(笑)。台本の意図しているところは決して崩さず、その中で自由に遊んでくれていました。作品の良いスパイスになってくれて、感謝しています。

映画に救われた瞬間


オダギリ 世の中には色々な映画があるけど、僕は誰が撮っても同じような作品じゃなく、個性が前面に押し出された映画が好きです。ティム・バートンやデイヴィッド・リンチの世界観を見るたびに「ものづくりしてるな、この人じゃないと作れない映画だな」と感じて、自分も頑張らなきゃと勇気をもらえます。自分もオリジナリティを突き詰めたいと思える。

永山 僕は最近、「大豆田とわ子と三人の元夫」のオダギリさんを観て、お芝居って面白いなと感じました。同一人物だけど仕事中とプライベートではまるで別人に見えてくるキャラクターで、それでいて普段のオダギリさんが話しているような感覚で演じていて。そのころ、自分が漫画的なキャラを演じていたこともあって「自分ももっと肩の力を抜いていいんじゃないか」と感じました。

 松たか子さんとの2ショットでも、「次はどんな表情をするんだろう」とオダギリさんばかり観ちゃいました。日本であんな芝居をする人はいないし、絶対的にお芝居を楽しんでいるのが伝わってくるんですよね。

オダギリ いやぁ、恐縮です。同業者にしか気づかない事があると思うので、そんなふうに感じてもらえるのはとても嬉しいですね。

「映画館に行く」文化を守りたい


永山 ここ20年くらい、シネコンが続々と出てきたことで、大作とローバジェット(低予算)の作品の二極化が進み、“中間”がなくなってきたように感じています。

オダギリ それこそ、僕たちが若いときに参加していた作品は中間の規模が多かったですよね。日本映画が一番活発で、面白いときでした。

永山 NetflixやAmazonが出てきて、どんどん映画館で映画を観る文化がなくなっていくんじゃないかと不安です。ミニシアターの支援企画に参加もしているのですが、「これで本当に大丈夫か」と危機感は募りますね。


ポンチョ 96,800円/Vivienne Westwood MAN(ヴィヴィアン・ウエストウッド インフォメーション) カットソー 23,100円、パンツ 52,800円/ともにJULIUS(JULIUS TOKYO STORE) シューズ 121,000円、メタルパーツ 35,200円/ともにJOHN LAWRENCE SULLIVAN ソックス/スタイリスト私物

オダギリ コロナ禍に入って、閉館に追いやられてしまう映画館も増えてきていますしね……。

永山 はい。そんななかで、どうしたら若い子が映画を撮りやすい環境になっていくのか、常々考えています。ヒットすればいいのか、賞を獲ることがすべてなのか……。そもそも、そういったことを成しえないと、存在の証明ができないのか。たとえば1本の作品だけに何十億も使うんじゃなく、分配して、そのぶん色々な若手に撮らせるようにならないかなと思っています。

大切なのは効率化でなく、質


オダギリ テレビの現場って、時間にしばられることが多く、映画とは撮影スケジュールの立て方も違うんです。スケジュールに細かく時間割りが書かれていて。でもそれだと、「時間内に撮りきる」が第一目標になってしまい、クリエイティブの部分がこぼれ落ちていく。そのため、今回はスケジュール表から時間の項目を抜いてもらいました。

永山 確かに、映画に近かったですね。連続ドラマだとカット割り表がみんなに配られて「こう撮ります」と事前に指示される場合もありますが、今回は「こういうカットも撮ってみよう」とその場で生まれるアイディアも多かった。


オダギリ 働き方改革なども重要ですが、時間を気にしすぎてクオリティが下がったら意味がない。労働時間を改善しつつ、クオリティを下げない時間的余裕を作るべきだと感じました。バランスは難しいですが、今後もこだわっていきたい部分です。

永山 僕もいつか監督をしてみたいと思っているので、「オリバーな犬」での遊び心に溢れたものづくりはすごく楽しかったです。「カメラは水平じゃなくて斜めでいいし、人物と一緒に揺れたら面白い」など、オダギリさんならではの自由な演出の数々に刺激を受けました。

オダギリ そう言っていただけて、とても光栄です。瑛太くんがどんな映像を作るのか、とても楽しみです。とことんわがままに作ってくださいね!


オダギリジョー

俳優。1976年2月16日生まれ。岡山県出身。『アカルイミライ』(’02年)で映画初主演を飾り、以降第一線で活躍を続ける。初長編監督作『ある船頭の話』はヴェネチア国際映画祭他、高い評価を得る。最新作「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」が9月17日からNHKで放送。待機作として、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」がある。


永山瑛太(ながやま・えいた)

俳優。1982年12月13日生まれ。東京都出身。『サマータイムマシン・ブルース』(’05年)で映画初主演を果たし、今日に至るまで多数の映画・ドラマに出演。ドラマ「オリバーな犬」では奇抜な役どころに扮した。最新作は映画『護られなかった者たち』(10月1日公開)。

●2人の創造力を刺激する作品はこれ

オダギリジョーさん
『フォービデン・ゾーン』


「初めて観た際の衝撃が忘れられません。作り手の『常識なんてどうでもいい』という“創作の自由”に刺激を受け、僕自身もそんな大人を目指すように。CREA読者の方は一生目にしないカルト映画かも知れませんが(笑)、これを機に観ていただければ」

デラックス版DVD 5,586円 販売元:フルメディア ※品切れ中


永山瑛太さん
『爆笑コメディ劇場』


「喜劇俳優が昔から好きで、ずっと観ていられるんですよね。キャラクターだけでなく、演じている本人も面白くて惹かれます。連ドラ等の長丁場だと日常生活でも役を引きずってしまうことがあるのですが、大事な息抜きになっています」

DVD10枚組 1,898円 販売元:コスミック出版

Text=SYO
Photographs=Takuya Nagata(W)
Styling=Tetsuya Nishimura〈Odagiri〉、Taichi Sumura〈Nagayama〉
Hair & Make-up=Yuki Shiratori〈Odagiri〉、Katsuhiko Yuhmi(THYMON Inc.)〈Nagayama〉

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング