1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「とにかく阿部さんが大好きです(笑)」 阿部サダヲ×長澤まさみが語る互いの魅力

CREA WEB / 2021年9月25日 19時0分


 NODA・MAP番外公演『THE BEE』で、阿部サダヲと長澤まさみが共演する。

 演じるのは、脱獄犯に妻と息子を人質に取られた男・井戸と、その逆襲で井戸が人質とする脱獄犯の妻。

 筒井康隆の短編小説『毟りあい』を原作として、野田秀樹が書いた傑作の9年ぶりの日本上演である。

 ここ最近共演機会が増えている阿部と長澤が、刺激的な劇空間を立ち上げてくれそうだ。


90分を疾走 ある意味「スポーツ」に近い舞台


──野田作品に初参加となる長澤さんから、まず出演が決まった感想を聞かせてください。

 長澤 NODA・MAPはいくつか拝見しているんですけど、役者さんがイキイキ演じている舞台上と、のめり込んで観ているお客さんとの一体感があって、この世界にいつか自分も入ってみたいと思っていたので嬉しいですし、頑張らなくちゃと思っています。

 特にこの作品は、出演するのが4人だけなので任されているパートをしっかり演じなきゃいけないでしょうし。私はほぼ出ずっぱりだから体力的にも大変そうだな、毎日ヘトヘトになって帰るのかなと思ってます(笑)。

 阿部さんのほうがもっと本当に出ずっぱりですけど。


 阿部 そう。僕もここまで出ずっぱりなのはやったことがないので不安になっています(笑)。でも、90分駆け抜けちゃえば終わるから、ある意味スポーツに近いのかな。だから楽しみでもありますね。

 野田さんの作品って、この『THE BEE』もそうですけど、重いテーマを描きながらも、役者の気持ちとしてはスカッと終われたりするんです。

 身体で表現したり、小道具を何かに見立てて使ったりすることで芝居ができていくので、それが上手くいって乗っていけると、役者同士で達成感みたいなものが味わえるというか。今回も、そこへいけたらいいですよね。


──阿部さんが演じられるのが、これまで野田さんが演じてこられた井戸役。以前、野田さんからいつかこの役をやってほしいと言われたことがあったそうですね。

 阿部 2012年上演時の松本公演を観に行ったときに、「サダヲ、こういうのやりたいだろ」と言われて、「はい。すごくカッコよかったです」って答えたんです。一番カッコいいと思ったのは、「剣の舞」の曲に合わせて踊っているところだったんですけど、踊りながら内側からすさまじいものが出てくる感じがあって、ちょっと興奮したんですよね。

 長澤 そのシーンは私も楽しみです。

 私、阿部さんが踊っているのがすごく好きなんです。舞台で初めて阿部さんを観た『天保十二年のシェイクスピア』で、息切れもしないで歌って踊っていたのがカッコよくて、その姿が忘れられないからかもしれないんですけど。

 最近共演させてもらった作品でも必ず踊っていて、それもとても魅力的だったんですよね。あと、狂気的な役も、自然にその空気をまとえて、阿部さんに演じられない役はないと思ってます。

初共演が叶ったときは本当に嬉しかった


──一方、長澤さんは、井戸の人質となる妻をどう捉えておられますか。

 長澤 難しいですけど、抗えない中にいる人だから、状況は違っても、こういったことは生活の中にもあるなと思うんです。周りに流されて自分の意見がなくなってしまったり。だからそういう普遍的なことを役に投影できるといいなとは思っています。

 阿部 長澤さんが妻の役をやるって聞いて、ぴったりだと思いました。そうだ、長澤さんがいたじゃん、と。

──どこがぴったりだと思われたんですか。

 阿部 じゃあ、どこがぴったりじゃないと思うんですか(笑)。あのストリッパーの格好も似合うだろうし、啖呵を切るのも上手いし、ぴったりじゃないところがありますか(笑)。

 長澤 ハハハハハ!

 阿部 そして、笑いもできる人ですからね。レポーター役をやるときはふざけてほしい。

 長澤 ふざけていいんですか?

 阿部 はい。僕はインタビューを受ける側ですから、グイグイきてください。


──おふたりは、昨年公開された映画『MOTHER マザー』が初共演でした。そこから、同じく昨年上演された舞台『フリムンシスターズ』、そして今回と、急に共演が続いています。ご一緒されてみていかがでしたか。

 長澤 私はずっといつか阿部さんと同じ作品に出たいと思っていましたから、共演できたときは本当に嬉しくて。今回も話を聞いた途端、「ヤッター!」って飛び上がりました(笑)。

──一緒にやりたいと思う理由は?

 長澤 それはやっぱり、ほかの誰にもない、阿部さんにしかないものを持っていらっしゃるからです。なのに芝居が押し付けがましくないから、こっちが頑張らないと追いつかないんですよね。そのさっぱりとしているところがまたいいんです。

 お芝居を見て勝手に、こういうふうにやるんだ、すごいなと思うことはありますけど、あくまでも対等な共演者としていられる感じがあって。そうなれるのは、阿部さんが人に対してリスペクトがある人だからだろうなと思いますけど。とにかく私は阿部サダヲさんが大好きです(笑)!

 阿部 嬉しいですけど、目の前に本人がいてなかなかこんなふうに言えないですよね(笑)。

 いや本当に、共演して思いましたけど、長澤さんがいるとみんなが幸せになるんです。みんなに気を遣ってくれるし、話していて楽しいし、大女優さんなのに小劇場まで下りてきてくれるというか(笑)、すごく接しやすくて親しみやすいんですよ。一緒にお芝居をやっていても楽しいし。

 長澤 ほんとですか!?


 阿部 長澤さんって、これはどういうことですかみたいな質問をしないタイプだと思うんですよね。とにかくやろうぜっていう。僕はそういうふうに進めるほうが好きなんです。話し合いとかをするよりも。

 長澤 確かに、演出家さんと話すのは大事だと思いますけど、私もまずは自分で考えたことをやってみるっていう感じです。

 阿部 そういう意味では、感覚が合う気がします。性格とかはまた違うんでしょうけど。

「お芝居ってわからないですよ」


──だからなのか、これまでの2作も、ずっと前から何度も共演しているふたりに感じられました。それも、相手に合わせるふうではなく、より個性を際立たせながら噛み合っているのが面白かった。良き共演者であるためにこうありたいとか、考えることはありますか。

 長澤 そんなこと考えたことありますか?

 阿部 ないかな。

 長澤 だからいいんじゃないのかなと思います。相手に気に入ってもらおうとするのが普通だと思うんですけど、阿部さんは一切ない。公演が終わったらすぐ帰っちゃうし(笑)。

 阿部 今回は少し楽屋にいるようにします(笑)。ただ、長澤さんも人に対するそういうスタンスは同じだと思います。


──舞台という場所にはどんな魅力を感じておられますか。

 阿部 舞台は稽古があるのがいいですよね。

 長澤 納得しながら取り組めますよね。理解できなかった部分がわかったり、お互いの解釈が合致したりしながら前へ進んでいけるのが舞台の良さだなと思います。でも、わからないままやって「いいね」と言われるときもあるので、お芝居って難しいなと思いますけど。

 阿部 わからなくてもやるのがいいですよね。野田さんもよく言ってます。あと、お芝居を始めた頃に僕、松尾スズキさんに「そこ『ツインピークス』でやって」と言われて、舞台用語か何かかなってわからないままやったら、松尾さんに「うん、いいよ」って言われました(笑)。だから、お芝居ってわからないですよ。


──そんな中で『THE BEE』に参加することは自分にとってどんな挑戦がありそうでしょう。

 長澤 私は参加するだけで挑戦なんですけど、映像で拝見してもライブのようなスピード感や高揚感がある作品だなと思うので。阿部さんについていって、そういう空気感を出せたらなと思います。

 阿部 野田さんが汗ボタボタ垂らしている姿だけでもライブ感がありましたよね。あれがカッコいいんです。でも、僕、汗をかかない体質なんですよ(笑)。

 長澤 汗が出る装置を仕込んだらいいんじゃないですか。弾着みたいに。

 阿部 セットに忍ばせておくとか。でも、自分で出さないとね。いや、出なくても気持ちはそれぐらい入れます。ね。やりましょうね。

 長澤 はい。頑張ります!

阿部サダヲ(あべ・さだを)

1992年より「大人計画」に参加、同年に舞台「冬の皮」でデビュー。劇団の看板俳優として活躍するほか、ドラマや映画にも多数出演。主演映画『死刑にいたる病』が2022年公開予定。


長澤まさみ(ながさわ・まさみ)

2000年に映画『クロスファイア』でデビューし、以後映画、ドラマを中心に活躍。2011年に『クレイジーハニー』で初舞台。映画『マスカレード・ナイト』が現在公開中。

文=大内弓子
撮影=深野未季
ヘアメイク=スズキミナコ
スタイリング=藤井希恵

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング