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生理の辛さや悩みは医師に相談 受診の目安やピルのメリットは?

CREA WEB / 2021年10月16日 13時0分

 ホルモンに大きく影響される私たちの体を理解して、快適に暮らすめための連載!

 生理にまつわる辛さや悩みは、人それぞれ。ひとりで我慢せずに医師に相談すれば、もっと快適に暮らせる人も多いはず。今回は、受診すべき目安や、ピルのメリットについて産婦人科の先生に伺った。



 女性の子宮はライフスタイルの多様化により、大きな変化に直面している。

 日本では、晩産化、少子化が進み、また子どもを持たない人生も当たり前の選択肢のひとつとなった。仮に12歳で初潮を迎え、妊娠・出産せずに50歳で閉経したとすると、年12回として、生涯で456回もの生理を経験することになる。かつての日本では30代までに4~5人産むこともごく普通のことだったが、そのころの生涯の生理はわずか約50回だったという調査結果がある。

 現在では、出産をするにしても、晩産化、少子化は進む一方。その分、回数が激増した生理といかに上手く付き合うかは、女性のQOL(生活の質)に大きく関わる問題だ。埼玉医科大学病院産婦人科助教の高橋幸子先生に心得を伺った。

過去の自分の生理と比較して辛ければ受診を

「子どもを産む、産まないという考えとは関係なく、卵巣は基本的に毎月真面目に排卵し、子宮は妊娠に備え着床のためのベッドを毎月リメイクしては生理という形で排出しています。本来、妊娠や授乳を繰り返すことで卵巣や子宮は一定期間休むことができるのですが、妊娠しなければずっと働き詰めの状態。生き方の選択肢は増えても、体の機能は古代から変わらないため、そこがうまく合致しないのが現代女性の特徴です」(高橋先生)

 現代女性は生理と向き合う期間が長くなりがちだからこそ、もっと気にかけてほしいと先生は言う。

「なかには生理痛が辛い、不正出血がある、生理の量が多い、生理がしばらく来ないなどの悩みを抱える方もいらっしゃるでしょう。生理の悩みは我慢してやり過ごすのではなく、次に掲げる基準を目安に、ぜひ婦人科を受診するようにしてください」

①1回の生理で痛み止めを飲むのが「3回まで」を超えて、4回以上飲んでいる場合
②1カ月に「3回以上」の不正出血がある場合
③日中、夜用のナプキンが「3時間」もたず、漏れて洋服が汚れてしまう場合
④生理が「3カ月以上」来ていない場合

「これらを“3の基準”と呼んでいます。①は子宮内膜症の可能性があり、②の不正出血はホルモンバランスの乱れや子宮頸管ポリープによっても起きますが、子宮頸がんが潜んでいる可能性も否定できません。③は子宮筋腫が原因として考えられます」

 ④の無月経については、卵子を包む卵胞の発育に時間がかかり、なかなか排卵しない「多嚢胞性卵巣症候群」であることが多いという。排卵日が特定できないうえ、いつ生理がくるか分からず、洋服を突然汚してしまうかもしれないという不安を伴う。

 どれもQOLに大きく関わるが、特に②と③は早めに検査につなげてほしいと言う。③の原因として考えられる子宮筋腫は子宮にできる良性のコブだが、妊娠を希望する場合、コブの発生場所によっては受精卵の着床を妨げ不妊症の原因にもなる。さらに、筋腫があると子宮自体が大きくなり周辺の臓器を圧迫し、便秘や頻尿、腰痛の原因にもなりやすい。

「子宮筋腫はすぐに治療が必要なわけではありませんが、筋腫の有無を知っておくだけでも、いざ妊娠したいとなったときなど、その情報が役に立ちます。また、生理痛や経血の量は人と比べようがないものの、30~40代になれば、過去の自分となら比較できますよね。“3の基準”を頭の片隅に置きつつも、明らかに昔より痛い、量が多いと思ったら婦人科を受診してください」

ピルで生理の不快はコントロールできる


 こうした生理にまつわる諸問題、明確な原因がない場合は、ストレスなどによるホルモンバランスの乱れが背景にある。日本では生理は「健康のバロメーター」と捉えられ、生活習慣で自然に整えるべきという考えが欧米と比べ根強い。

「このため、症状が辛い生理をピルの使用で軽くしたり、ずらすことに抵抗を感じる女性も、日本ではまだまだ多いんです」

 ピルとは卵胞ホルモン(エストロゲン)と、子宮内膜を維持する黄体ホルモン(プロゲスチン)の両方が入った薬をいう。服用すると脳が“妊娠した”と思い込み、ホルモン分泌をやめることで排卵を抑制し、子宮内膜を厚くしないよう作用する。

 高い避妊効果をはじめ、生理痛や経血量を軽減するほか、生理周期を整えることができ、フランスでは約33%の女性がピルを利用しているという国連の調査もある。また、PMS(月経前症候群)を和らげる効果もある。

「PMSは生理前のイライラや体が重だるいといった心身の不調で、30~40代で悩んでいる女性はとても多いです。ピルを服用すればホルモンバランスが一定に保たれ、PMSの症状も抑えることができます。生理は自然なままにしておきたいという考えも尊重しますが、一方で生理に関連する諸症状はピルで自らコントロールできることも、もっと知ってほしいですね」

 そう話す高橋先生も、最近はスマホのアプリで月経管理をする女性が増え、「診察していても、スマホ片手に過去に遡って生理日を正確に伝えられる方がとても多くなりました」と感心する。

 今、生理周りのアイテムが続々誕生し、女性の体のための技術“フェムテック”として注目されている。オンライン診療でピルを処方してくれる産婦人科も登場。子宮内に装着して黄体ホルモンを放出する「ミレーナ※」も、避妊や月経困難症の緩和に有効と話題だ。今こそ、正しい理解で生理の悩みと向き合い、日常をより快適なものにしていくチャンスだろう。

※ミレーナ(子宮内システム)は、子宮内に装着することで黄体ホルモン(プロゲスチン)が子宮に放出され、ピルと同等かそれ以上の避妊効果が得られるT字型の器具です。生理痛や過多月経の軽減効果もあり、一度装着すると最長で5年にわたり効果が続きます。装着時に痛みを伴うため出産経験者に推奨されますが、出産経験がなくても装着することができます。ミレーナは医師が装着、除去を行う。まず婦人科で相談してみよう。

●いま知るべき、子宮の大事な情報

■小さな傷で済む子宮の手術が続々登場。でも早期発見がマスト!

子宮頸がんや、子宮の内膜にできる「子宮体がん」の治療は、子宮を摘出する手術が基本。従来の開腹手術ではお腹に大きな傷が残っていたが、最近は小さな傷が数か所だけで済む腹腔鏡下手術やロボット支援手術が可能になった。ただし、こうした体への負担が少ない手術が受けられるのは早期のがんのみ。やはり検診が重要!

■20~30代の子宮頸がんが激増。まったくひとごとではない!

「子宮頸がん」は、子宮の入り口にある子宮頸部にできるがん。性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で、治療は頸部を大きく切除したり、子宮を摘出しなくてはならない。初交の低年齢化により近年は20~30代の患者が激増し、妊娠前に子宮の摘出を余儀なくされることも。2年に1度は必ず定期検診を。

●お話を聞いたのは……

産婦人科医 高橋幸子(たかはし・さちこ)先生

山形大学医学部卒業後、埼玉医科大学総合医療センター研修医を経て、現在は埼玉医科大学病院産婦人科助教。診療の傍ら、「性教育」の専門家として、小学校~大学でも精力的に講演活動を実施。書籍、TV、webメディアなど各方面で情報発信を行っている。
https://sakko0607.wixsite.com/sakko

Text=Tomoko Uchida
Illustrations=Ayumi Takahashi

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