親子で一緒に見てはいけない!? トラウマ必至の昼ドラ『ぼくの夏休み』

日刊サイゾー / 2012年8月19日 8時0分

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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。

 現在放送中の昼ドラ『ぼくの夏休み』(フジテレビ系)は「太平洋戦争真っ只中の日本にタイムスリップしてしまった現代の幼い兄妹が、戦火の中、時に大人たちの厳しさに苦しみ、時にその温かさに触れて成長していく物語」というのが、放送開始前に伝えられた概要だった。公式ホームページには愛くるしい兄妹の笑顔が全面に映し出され、エンディングのスポットで使用する親子写真を視聴者から募集するなど、ほのぼのとした雰囲気に包まれていた。放送が子どもたちの夏休みに重なることもあって、親子で一緒に見る、戦争モノの道徳ドラマだと思われていた。

 しかし、そんな予想は早々に裏切られる。オープニングから、手足を縛られた少年と少女が中年男性に激しく折檻されるシーンが映し出される。その中年男性は、別の場面では妻や使用人に対し粗暴に体を求める、鬼畜男だ。さらに、逃げまどう子どもたちをたいまつ片手に狂気じみた表情で追い詰める大勢の村人たち......。子どもと一緒に見るには、思わず目を背けたくなるシーンの連続だ。

 ショッキングな場面はなおも続く。舞台が現代に移ると、主人公の兄妹は両親の離婚問題により、茨城にある母の実家に預けられることになる(その境遇だけでも、物語の容赦のなさの片鱗がうかがえる)。子どもたちだけで茨城に向かう道中、電車内で「死ね、死ね」とつぶやきながら携帯ゲームに興じていた兄の前に、突然見知らぬ老婆が立ちはだかる。老婆は「そんな言葉使うんじゃない!」と繰り返しながら、自らの胸をはだけ、戦争で負ったグロテスクな大やけどの傷痕を見せつけるのだ。思わず言葉を失う兄妹だったが、電車を降りた彼らを待っていたのは戦中の世界だった。

 せめてもの救いは、このドラマの放送開始が、子どもたちの夏休みの開始よりも早かったことだろう。親子で見るのには少々ヘビーなシーンは、大人一人ならそのまま目が離せないくぎ付けのシーンへと変わる。

 確かに、物語としてツッコミどころは多々ある。しかし、それを補って余りあるほど、登場人物たちの心理描写が丁寧に描かれ、演者たちの熱演に惹きつけられる。

 主人公である兄・和也の少年時代(第1部)を演じたのは、ドラマ初主演で昼ドラ最年少主演となった綾部守人。眉毛をハの字にし、口角だけをわずかに上げる独特の困惑顔で視聴者の不安を煽り続けた。妹・はる菜の少女時代を演じたのは、NHKの朝ドラ『カーネーション』で主人公・糸子の少女時代を演じた二宮星。誰からも愛される(それゆえ、傷つけられる)少女を、その百面相ともいえる豊かな表情で演じ、物語の強力な推進力として機能していた。

 脇を固めるのも、キャラ立ちした面々だ。和也が身を寄せる上条旅館の主人には升毅。カネと保身のため、鬼畜的な所業で和也たちを苦しめる。その二男・勇作役の森永悠希は爬虫類のような目つきで視聴者の怒りを呼び起こす、完璧なヒールっぷりだった。彼らの謀略により、はる菜は女郎部屋に売られ、兄妹は離れ離れになってしまう。それでも、若き日の樹木希林を思わせるような強烈な個性を画面から漂わせた伊藤麻実子演じる菊ちゃんの助けで、はる菜は体を売ることなく女郎部屋を逃げ出し、ついに2人は再会を果たす。が、その刹那、米軍の空襲が2人を襲うのだった。

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