地方FMというアウェイの地に築かれた、毒舌王の強烈な磁場『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』

日刊サイゾー / 2012年9月19日 8時0分

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しゃべりと笑いと音楽があふれる"少数派"メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。

 芸人・有吉弘行の才能は、説明するまでもなく、すでにテレビで十分に開花しているように見える。その「いかにも開花した感じ」には、『進め!電波少年』(日本テレビ系)時代の彼が、お笑いの能力とはほぼ無関係な感動路線で売れたという前フリが異様に効いているということも影響しているだろう。少なくとも視聴者には、有吉はいきなり面白く生まれ変わったように見えた。「ヒッチハイクの人」から「毒舌王」へと。

 だが、そんな鮮やかでマジカルな変身譚が、事実であるはずはない。芸人が才能を開花させるためには、必ず適切なフィールドを必要とする。どんなに能力があっても、それを発揮させてくれる場がなければ、世に知られぬまま終わる。しかし、そのフィールドを手に入れるためには、まず先に能力を認められなければならない―芸人に限らず、あらゆる才能の前には、そんな無限ループが立ちはだかっている。その無限ループを突き破れなければ、どんなに才能があろうと、無能の人と呼ばれて終わる。

 あらめてそんなことを考えたのは、彼のラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系 日曜20:00~21:55)こそが、有吉の才能を最大限に引き出すことのできる究極のフィールドであると感じているからだ。この番組を聴いた者は必ず、テレビにおける有吉の面白さには、まだ先も奥も果てしなく存在していると知ることになる。

 普通に考えれば、お洒落イメージの強いFMラジオというのは、純粋な笑いを志す芸人にとってあまり良いフィールドではないかもしれない。ましてこの番組は、JFN系列の番組ではあるが、その中心であるTOKYO FMでは放送されていないのである。だが有吉は、東京では放送されていないのを逆手に取るように、この番組を前代未聞の解放区に仕立て上げることに成功した。間違いなく、内容の過激度では現在のラジオ番組の中で群を抜いているし、比べるとしたら往年の『ビートたけしのオールナイトニッポン』あたりの伝説的番組を引き合いに出すしかない。

 番組は有吉のフリートークとリスナー(この番組では愛を込めて「ゲスナー」と呼ばれる)からのメール、そしてネタコーナーというオーソドックスな構成になっているが、番組の自由すぎる空気を作り出しているのは間違いなく、有吉の思いつき次第でどこへ飛んでいくかわからない変幻自在のフリートークである。『24時間テレビ』(日本テレビ系)の裏で、番組冒頭からロクにやったこともない加山雄三のモノマネで「サライ」の一番を朗々と歌い切る。アシスタントの若手芸人には単なる思いつきで足の角質を一週間分集めてこさせた上、名前が悪いと言いがかりをつけて突如「イノシシ太郎」に改名させる。『キングオブコント』決勝進出を決めた前途有望な若手を呼びつけて、最下位になるよう呪いを掛けるなど、なんの意味もない、誰も得しない思いつきを暴君のごとく連発していくという完全なフリースタイルは、もちろんそれだけでは終わらない。その人を食ったようなスタンスは、リスナーと、月替わりで呼ばれるアシスタント(太田プロの後輩芸人。デンジャラス安田のみ先輩)にまで多大な影響を及ぼし、全方位的に言いたい放題な、ルール無用のバトルフィールドを作り上げていく。

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