生きることの意味と価値を教えてくれる対照的な2作品『人生の特等席』『ミロクローゼ』

日刊サイゾー / 2012年11月23日 15時0分

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 今週も続々と封切られる新作映画の中から、生きることの意味と価値を教えてくれる対照的な2作品、直球勝負のハリウッド製ドラマと、意表を突く変化球の和製ラブファンタジーを紹介しよう。
 
 クリント・イーストウッド主演の『人生の特等席』(11月23日公開)は、大リーグの老齢スカウトマンとその娘の葛藤と和解を描く感動ドラマ。かつてメジャー最高のスカウトマンと呼ばれたガス(イーストウッド)は、データ野球全盛の時代にあってコンピューターを毛嫌いし、高齢のため視力も衰え、球団の経営陣からその手腕を疑われ始める。引退の窮地に立たされたガスを、長年離れて暮らしていたひとり娘のミッキー(エイミー・アダムス)が助けることに。拒絶されながらもスカウト現場に同行するミッキーに、ガスはようやく重い口を開き、隠されていた過去を語り始める。

 2008年の監督・主演作『グラン・トリノ』の後に俳優引退を口にしたイーストウッドが、4年ぶりに銀幕復帰。長年イーストウッド組で助監督や製作として巨匠に学んだロバート・ローレンツが初メガホンをとった。時代が変わる中「古き良きアメリカ」を守ろうとする姿勢は、確かにイーストウッドからローレンツへと引き継がれている。スポーツ業界の無骨な面々にも臆さない、勝ち気な表情のエイミー・アダムスの魅力は、『ザ・ファイター』(11)でも証明済み。表舞台のスター選手でなく裏方のスタッフ陣にスポットを当てた点や、選手の挫折と引退という影の部分も描いた点で、共通項の多いブラッド・ピット主演作『マネーボール』(11)と見比べるのも一興だろう。

 一方、11月24日公開の『ミロクローゼ』は、山田孝之が1人3役、時空を超えた3つの舞台で大立ち回りを演じる愛の物語だ。絵本のような世界で、菩薩のように美しく微笑むミロクローゼ(マイコ)に恋をしたオブレネリ・ブレネリギャー。どんな恋の悩みも電話口で一発解決するプレイボーイの青春相談員・熊谷ベッソン。一目惚れした花屋の店員ユリ(石橋杏奈)を探し求めて現代劇・西部劇・時代劇を渡り歩く浪人タモン。3者3様の奇想天外なストーリーが、ときに交錯しながら、怒濤のクライマックスへと突き進んでゆく。

 マネキンを使い、カルト的人気を博した短編ドラマ『オー!マイキー』で知られる石橋義正監督が放つ、ポップでシュールでエキサイティングなトリップムービー。先の読めない展開と圧倒的なビジュアルに身を委ねるうち、愛と人生の素晴らしさに覚醒してしまうはず。熊谷ベッソンの音楽ビデオ風ダンスシーンの高揚感もいいが、タモンの殺陣を歌舞伎風に仕立てた超絶シークエンスは繰り返し見たくなる中毒性さえはらむ。山田孝之と石井監督の才能と魅力がはじける刺激いっぱいの快作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『人生の特等席』作品情報
http://eiga.com/movie/77444/>

『ミロクローゼ』作品情報
http://eiga.com/movie/56029/>


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